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偉大な友に捧げる讃歌

素晴らしい人生は、
生命の炎が燃え続ける限り学ぶことであり、
格闘するすべての魂や、
勇気・希望を鼓舞することである


本書はフランスの詩人ピエール・ジャン・ジューヴの評伝『生きているロマン・ロラン(Romain Rolland vivant 1914-1919)』である。1920年にパリのオランドルフ社から出た。ジューヴの自筆で詩人ルネ・アルコス宛の献辞が書き込まれている。

「古くからの友、ルネ・アルコスへ

良い先生のもとで
困難な時期をともに過ごした
兄弟である君に

P・J・ジューヴ

1920年10月 フローレンスにて」

献辞にある「良い先生」とは、フランスの作家ロマン・ロランのことだと思われる。ジューヴは第一次大戦中にスイスでロランと出会い、彼の平和主義・人道主義に傾倒した。アルコスもロランの友人で、アベイ派の詩人として出発。第一次大戦後に書肆サブリエを設立し、『リリュリ』『愛と死との戯れ』『ベートーヴェン研究』など、ロランの主要作品の豪華版を出版した。

本書でジューヴは、「私はロマン・ロランについて書かれた最初の伝記を読んで、自分自身を思い知ったことを今でも覚えている。軽く後ずさりせざるを得ないほど、ロランは並外れていた」「ロマン・ロランには私たちのような未熟さはなく、ずいぶん前からいかなる幻想にも頼っていない。輝かしい敗北者として、あふれる人間的な善良さをもって使命を果たしてきた。ロマン・ロランは苦しみと喜び、悲観主義と穏やかな理性を調和させている。そのことによって、私たちに神の存在を示唆し、私たちを救ってくれるのだ」と畏敬を込めて綴っている。


第一次大戦中、戦争に反対する立場を取ったことで、ロランは祖国の敵として非難された。そうした事情を踏まえてなのか、ジューヴは「ロマン・ロランを道徳的な拠り所として生きると公言することを恥じる必要はない」と述べる。フランス人は人に笑われることを恐れるあまり、人を称賛することに慎重だと指摘し、「現在のような時代に気高い人を讃えないことは、良心や人類の利益に反する重大な犯罪なのかもしれない」「素晴らしい人生は、生命の炎が燃え続ける限り学ぶことであり、格闘するすべての魂や、勇気・希望を鼓舞することである。私は自分を支えてくれた多くの人と、人生の糧を分かち合いたいと願っている」と執筆の動機を述べている。ジューヴをはじめ、一部の人たちにとってロランという存在がいかに大きなものだったかを感じさせる。


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