砂時計の読書日記

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★★★★
魍魎の匣   京極夏彦  講談社 2004.01.
 
  刑事の木場は、仕事からの帰途の駅ホームで、少女の転落事故に遭遇した。
瀕死となった美少女・加菜子は、姉によって巨大な箱型をした建物、美馬坂医学研究所に運ばれたが、衆人環視の中、その姿は忽然と消えた。
姉がかつて銀幕で輝いていた美波絹子こと柚木陽子であること、加菜子が大財閥・柴田家直系の血を引くこと、そして加菜子誘拐予告状の裏には何が隠されていたのか。
木場は職域を越え、事件を追う。
一方、作家の関口は編集者と共に、巷間を賑わす奇妙な連続バラバラ殺人事件を追っていた。
少女達の四肢が箱詰めにされていたことから、筥(はこ) を祀り、魍魎を封じるという霊能者・御筥様の信者との繋がりが浮かぶ。
そして、匣の中にぴたりと納まった美少女を目にし、現実との境を失くした文士・久保竣公の妄想と嗜癖。
柴田家から、加菜子の行方捜索を依頼された探偵・榎木津も加わり、事件を結ぶ線は明らかになったかに思われたが・・・
やがて関わったすべてが京極堂の元に揃い、巨大な箱型建物、美馬坂医学研究所に向かった一同に、すべてが明らかにされ、科学者の禍々しき夢が、夢に引きずられた者たちが破局をむかえる。
 
 
長編。
デビュー作に続く、京極堂シリーズ第2弾。
 
初出版はノベルスで1995年、その後、文庫版や愛蔵版 (ハードカバー) にもなっている。
今回、図書館の貸し出し枠 (6冊) の都合上、1冊になっている愛蔵版で読むことにした。
因みに文庫版は上下、上中下となっている。
・・・内容に関してでないのは不粋なのだが、やはり一言言いたい。
重い!
これまでも超大作と感じた作品はあったが、約1000頁を1冊にというのは、かなり無謀だ。
比喩でなく重たくて、集中切れや時間切れでなく、本を保持していられなくなって、しばしば読書を中断させる始末だった。
やはり、愛蔵版は愛蔵すべきもので、読むべきではないのかも(笑)。
 
さて、肝心の内容に関しての感想だが・・・
このシリーズの特殊性は、京極堂の薀蓄?詭弁?が受け入れられるか、ダメかが別れ道ではないだろうか。
昭和20年代を舞台とした作品世界の完成度の高さは、好きか嫌いか以外に、何を言うこともなかろう。
   〈ネタバレ含む〉
ある少女の転落事故を発端に、連続バラバラ事件が発生していて、事件の主筋だけを抽出すれば複雑なわけではない。
が、その枝葉にあたる話が枝葉レベルではなく、絡ませ方の妙が見事。
一見まるで繋がらないようでいて、複雑に絡みあっていて、そこには潜在的にあった思惑までもが、切欠を得て表出してきている。
 
医学的な話が、昭和20年代という舞台にも現代にも通用する考えや表現なのも、作品を色褪せさせないポイントであろう。
京極堂の魍魎の話には、全くついていけていないのだが、だからこそ〈簡単に突っ込めないからこそ)読みたい気にさせてくれるのかもしれない。
 
謎解きでは、想像外の有り得なさそうな真相の真実味に感嘆した。
ただひとつ見栄を張ると、加菜子の転落事故については推測が当たっていた。
 
この妄念に満ちた作品世界、木場を主にもってきたことが現実的人間味になり、受け入れ易くなっていたように感じた。
 
『陰摩羅鬼の瑕』 http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14347659.html
『塗仏の宴 宴の支度・宴の始末』 http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14079449.html 
 

閉じる コメント(10)

おぉ、なかなか良い評価でしたね!
私は、他の京極作品に比べると、やや気持ち悪さを感じるところがあって、シリーズ中ではやや下の方です。と言っても、シリーズ全作高評価なんですけどね。
この後の作品も感想楽しみにしています^^

2015/8/11(火) 午後 8:22 [ ワンビート ]

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うおお、高評価!嬉しいー!もう好きすぎてどれがお気に入りだったかわからないほどのシリーズです。本作はおぞましい内容ではあるのですが、大好きです。次作は少しだけ毛色が違うのですが、それはそれでまた良いんです。私、愛蔵版で集めていましたが上中下で集め直してますよ。なぜって、重いからです!(笑)

2015/8/12(水) 午前 0:00 ゆきあや

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インパクト度でいうとナンバーワンなのではないかと思う本書。「ほう」とか「みつしり」とか、頭から離れません。このつかみどころのない世界で、現実感を引きずりつつ翻弄される木場さんが素敵でした。

2015/8/12(水) 午前 0:51 [ sinobu ]

高評価ですね^^
私は巷説百物語のシリーズが大好きで その他の物も読みたいと思っていたのですが 京極さんは一作品が長い!w
愛蔵版とは言え よくそれを一冊にしたもんだ(笑)

「愛蔵版は愛蔵すべきもので、読むべきではない」もしくは「読書と筋トレを同時に!文武両道を目指す方向け」なのかも〜(*^m^*)

2015/8/12(水) 午後 0:10 にゃ〜ご

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>ワンビートさん
そうですよね、冷静に考えると箱の中の美少女なんて不気味以外のなにものでもないのに、作品世界にすっかり取り込まれました。
シリーズ全体の質の高さが、ブ厚さに負けない気力をくれます(笑)

2015/8/12(水) 午後 5:45 [ 砂時計 ]

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>ゆきあやさん
夏にこのシリーズを読めば、多少なりとも涼を得られるかとも思いましたが、そうはならず、暑い中の厚い本との格闘になりました(笑)
さらに、ゆきあやさんの愛は熱いですね (^_-)☆ ・・・失礼。
もっとゆっくり読み進むつもりでしたが、次々と手が出そうです♪

2015/8/12(水) 午後 5:50 [ 砂時計 ]

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>sinobuさん
連鎖的に引き起こされた不気味な事件の切欠が、思春期の少女の衝動である不条理さには、読了して全体を俯瞰して愕然としました。
木場さんの存在が現実に引き留めてくれて、初めてなりたつ世界観ではないかと思うと同時に、男気に惚れ惚れしました (^-^)

2015/8/12(水) 午後 6:01 [ 砂時計 ]

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>にゃ〜ごさん
京極作品は『姑獲鳥の夏』に続いて2作目で、まずは脇見をせずにこのシリーズ一本でいこうと思ってます。
1作品が長いだけに気合が必要ですので、この勢いに乗ろうかと(笑)
う〜む、確かにタプタプ二の腕には有効かなぁ??

2015/8/12(水) 午後 6:09 [ 砂時計 ]

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おもしろいですよねえ、このシリーズ。
「信者がひとりもいない宗教を何と呼ぶか知ってるかい?
残念ながら現在ではこれを狂人と呼ぶ。
信者あっての宗教さ。
妄想が体系化して共同幻想が生まれて、始めて宗教たり得るのさ。」
『姑獲鳥の夏』より。
書き留めておきたくなる一言も多くて・・

2016/7/19(火) 午前 5:44 [ パッション3 ]

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>パッション3さん
しかしながら読み始める時には、かなり気合が必要です(笑)
書き留めておきたくなる言葉の数々が、上っ面でないところが京極さんだなと思って読んでます。

2016/7/19(火) 午後 9:04 [ 砂時計 ]


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