砂時計の読書日記

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★★★★
狂骨の夢   京極夏彦  講談社 1995.05.
 
  釣堀屋の主・伊佐間は、宿も用意せずに出掛けた逗子の海岸で、朱美と名乗る女と出会う。
体調不良から彼女の家に世話になり、彼女のこれまでの人生を聞くことになるのだが・・・
「妾は人を殺したことがあるんでございますよ」
今は、幻想小説界の大御所・宇多川崇の内妻だという彼女は、子どもの頃に酒屋に奉公に出され、実家の家事で天涯孤独となり、奉公先の主人の計らいで嫁いだものの、良人は病の義父を残し徴兵から逃れ、愛人と一緒に姿を消したと過去を負っていた。
その後、良人は首なし死体となって発見され、彼女に容疑が掛けられ、その地を離れることになったのだが、それら全ては一度無くした記憶を、宇田川の助けで取り戻したものだった。
しかし最近、山間に生まれたのに、海の側にいた幼い記憶があるような、波の音が何かを呼び覚まし、彼女を不安定にしていた。
そして教会を訪れた彼女の、何回も夫を手にかけたという妖しい告白は、強迫観念に脅える居候の元精神科医・降旗を、神を信じ得ぬ牧師・白丘を惑わす。
逗子の海に漂う金色の髑髏、葉山山中での集団自決、宇田川殺害、復員服の男・・・
それぞれに抱え縛られ続ける夢と、現実の事件の縺れは何を意味しているのか。
京極堂が指定した憑き物落としの場は、謎の寺院・聖宝院文殊寺。
いくつもの惨劇を引き起こしてきた、時を越えた妄念が落とされた時、記憶の深淵が明らかになる。
 
 
長編。
京極堂シリーズ第3弾。
 
相変わらずに分厚く、複雑に絡まり合った話は読み応え抜群(笑)。
それにしても京極堂の落とす憑き物に、フロイトの精神分析やらキリスト教の話まで関わってくるとは。
それだけでなく、南北朝の頃からの妄念に、神代の頃からの妄念ときて、ここまで様々の薀蓄には突っ込み様もなく、それが憑き物落としという形で理屈付けられるところが更にスゴイ。
何その妄想? と思う現象すべてに理屈がつけられていく様は圧巻である。
シリーズの雰囲気から完全に浮きそうな榎戸のキャラクターが、そうでもなくシックリしていて且つ重要でもあり、それでいて万能でもないところも、相変わらず不思議だ。
“朱美” の登場当初とのイメージとは違う (当然なのだが) しなやかな強さが、結末に爽やかさを添えていたのが印象的だった。
 
 
『陰摩羅鬼の瑕』 http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14347659.html
『塗仏の宴 宴の支度・宴の始末』 http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14079449.html 
 
 

閉じる コメント(8)

『魍魎の匣』に続き 高評価ですね♪
姑獲鳥の夏のみで止まってる私 シリーズに突入しようかなぁ?
っと思いつつ魍魎の匣の厚みに決心がつきません^^;

2015/9/6(日) 午後 2:13 にゃ〜ご

お、これも高評価ですね。私もわりと好きな作品です。
シリーズの中ではやや毛色が変わっていたような印象なのですが、どうでしたっけ!?(笑
読み返したくなってきた(笑

2015/9/6(日) 午後 7:02 [ ワンビート ]

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シリーズの中ではいい意味で地味と言われている作品ですね。これはこれでとても好きでして。特に最後のシーンは印象的ですねえ。私がえのさんの大ファンになったのはこの頃からでしょうかねえ。。。

2015/9/6(日) 午後 11:28 ゆきあや

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>にゃ〜ごさん
このシリーズは好みかどうかの一点に尽きますね。
この薀蓄に突っ込みの入れようはないです、はい(笑)
『姑獲鳥の夏』は関口のせいか、やや病的な雰囲気が気になりましたが、『魍魎の匣』では木場さん、本作では伊佐間さんといい味出してました。
このシリーズは読みたい!と強く思ってからの方がよろしいかと (^_-)

2015/9/6(日) 午後 11:47 [ 砂時計 ]

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>ワンビートさん
「やや毛色が変わって」と他からも聞いてますが、まだ3作目でシリーズの本領がわかっておりません(笑)
評価感想は考え込むと全く分からなくなるので、瞬間判断です〜

2015/9/6(日) 午後 11:51 [ 砂時計 ]

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>ゆきあやさん
えのさんの存在が話そのものを壊さないことが不思議でなりませんが、段々と不可欠な存在に思えて参りました(笑)
朱美さんの女っぷり、素敵でした (^-^)

2015/9/6(日) 午後 11:56 [ 砂時計 ]

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この作品も二度読んだはずなのに、かなり抜け落ちてる…(^_^;)やはり「地味」ゆえ??でも復員服の男とか、金色の髑髏とか、場面場面が頭に残ってます。何度も手にかけるというのが、ほんと怖かった…。
節操ないほどの幅広すぎる薀蓄に、言いくるめられるかのようなラストの憑き物落としの場面は、毎回圧巻ですよね。それを味わいたくて、あの分厚い本に次々と手を伸ばしてしまう気がします。

2015/9/16(水) 午後 4:46 [ sinobu ]

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>sinobuさん
「言いくるめられるかのようなラスト」ですか(笑) 確かに。
突っ込みようがない幅の広い薀蓄に、設定の時代背景の妙もあって、類のないシリーズですよね。
本作が「地味」となるとこの先のシリーズがどういう風なのか、楽しみです (^-^)

2015/9/16(水) 午後 11:48 [ 砂時計 ]


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