砂時計の読書日記

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★★★★
武士の家計簿    磯田 道史   新潮社   2003.04.
 
  偶々に見出された 「金沢藩士猪山家文書」 という武家文書は、まさにタイムカプセル。
江戸時代の約37年間に及ぶ精緻な “家計簿”、明治になって東京単身赴任中の家族との手紙の遣り取りなどにより、明らかになった1842〜1895年の猪山家の暮らし振り。
それらを通じ、幕末から明治への時代が、これまでと違った面から見えてくる。
 
第1章 加賀百万石の算盤係
第2章 猪山家の経済状態
第3章 武士の子ども時代
第4章 葬儀、結婚、そして幕末の動乱へ
第5章 文明開化のなかの 「士族」
第6章 猪山家の経済的選択
 
 
 新書。
 副題は 「加賀藩御算用者」 の幕末維新。
 
何年か前に本書を原案、タイトルは 『武士の家計簿』 とそのままの映画があった。
その時から興味はあったのだが、先送りとなったまま、ようやく読むに至った。
原作本だと頭から思い込んでいたのだが、小説ではなく原案だと最近知ったばかり(笑)。
学術書と言うほど堅苦しくなく、分かりやすく面白い内容だった。
時代小説や時代劇などで、江戸時代と武士に関して漠然と雑学があれば、十分に楽しめるレベルで考察されている。
 
研究者である著者に、古書店から送られてきた古文書販売目録の中から、「金沢藩士猪山家文書」 という武家文書を見付けたのがはじまりだったという。
段ポール箱一杯の文書の中には、約37年間分の精巧な “家計簿” が完全な姿で遺されていた。
これを記した猪山家は、加賀藩御算用者を務めた、いわば数字に通じた実務の専門家であり、資料としてこれ以上は望めないものだ。
武士の暮らし振りが活き活きと復元され、江戸時代に対する考え方を覆し、時代の変化の裏付けともなっている。
 
大きく分けると、猪山家とはどういう身分家柄であり、その “家計簿” から武士の生活振りを伺う話と、幕末から明治となった中での士族の話となる。
映画化されたのは、この時代には武士はほとんど借金漬けで、そこから脱却を図った猪山家の話の部分ではないだろうか。
着たきり雀状態まで家財一切合財を売り払い、借金と利息を交渉整理し、家計の立直しを図り、実際に成功させ、明治の世まで無事に渡りきった猪山家は、まったくひとつのドラマのようだ。
それと同時に、御算用者という実務者が下に見られていた武士の世界、戦乱から長く経ち土地を実質支配していない武士、身分的特権と義務のバランス崩壊など、明治維新の成功の必然と結び付ける考察も興味深かった。
 
新書の類は、小説以上に当たり外れを大きく感じてしまい、切欠がないと選びようもなく手を出せずにいる。
こういった良い本に当たると、作り話 (小説) ばかりでなくと思うのだが、なかなか選書が難しい。

 

閉じる コメント(10)

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映画があったのは知っていましたが、本でしたか〜
読んでみたいです!!

2015/11/25(水) 午後 8:40 LIBRA

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>libraさん
よくもまぁこんな精緻な記録文書が残っていたものだと思うほど、リアルな財政逼迫&再建が明らかにされてました。
新書のイメージが覆る面白さでした (^-^)

2015/11/26(木) 午後 0:06 [ 砂時計 ]

> 砂時計さん 想像力がたくましくなるものですよね、宇和島藩の離婚率とか笑っちゃいました。

2015/11/28(土) 午後 8:35 [ わさび ]

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>わさびさん
研究者の方々が“ミミズののたくりもどき”を解明してこうして示して下さるので、当時がリアルに迫ってきますよね(笑)

2015/11/29(日) 午後 11:19 [ 砂時計 ]

こんにちは!(^O^)/

以前この映画を観に行ったんですよ。
下手な料理番が料理上手な嫁を貰って、合理的で無駄のない料理でひっ迫した危機を乗り切る、といったような話だったと思います。
小説ではなくて原案だったのですね。
そちらも面白そうですね。

ナイス☆

2015/11/30(月) 午後 1:35 完熟とまと

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>完熟トマトさん
こんばんはv
映画では料理番という役どころになってましたか。
祝いの膳を絵に描いた鯛で、などのエピソードが活かされたのでしょうね。
家財のそんなものまでそんな値段で売り払ったのかぁと、あまりの詳細さに驚き楽しんでしまいましたよ (^-^)
ナイス、ありがとうございます。

2015/11/30(月) 午後 11:33 [ 砂時計 ]

すみません!
映画は「武士の献立でした。
タイトルが似ていたので勘違いしてしまいました。
そうですね〜。家計簿と料理番は、主婦だったらどちらも一緒だけど、お役目では違いますわね〜。
舞台は同じ金沢でしたけど・・。
申し訳ありません!m(__)m

2015/12/1(火) 午後 3:41 完熟とまと

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>完熟トマトさん
こんばんはv いえいえ、ご丁寧にどうも (^_-)☆
映画『〜献立』は『〜家計簿』に続いて撮られた、同じ脚本家による作品なんですね。
加賀藩を舞台にしているのも同じだし、ベースは同じと見ました。
2週連続TV放送なんてやってくれたら、是非に見たいです(笑)

2015/12/1(火) 午後 11:40 [ 砂時計 ]

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磯田道史さん、新聞記事などで名前はだいぶ前から知っていたのですが、初めてテレビで見たときにその若さにびっくりしてしまいました。専門とはいえ、幅広く深い知識にいつも驚かされます。この本も興味がありつつスルーしていたのですが、やっぱり読んでみようかなぁ。

2015/12/2(水) 午後 4:13 [ sinobu ]

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>sinobuさん
新聞で連載をされてた著者さんだと、本を手にしてから気付きました (^_^;)
専門的だけれど分かりやすい文章は、昔の研究者のイメージと違いますよね。
機会があれば、是非に手にとってみて欲しいですv

2015/12/3(木) 午後 0:01 [ 砂時計 ]


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