砂時計の読書日記

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★★★★
ロシア幽霊軍艦事件  島田荘司  原書房 2001.10.

 米国で女優として活躍するレオナに、日本から転送された1通のファンレターは、封印された歴史の謎を解く鍵となった。
祖父がレオナに伝えて欲しいとした言葉を、孫娘がしたためた手紙の内容は、ちょっとした興味から横浜で暮らす御手洗と石岡にもたらされた。
一見、年寄りの無知と混乱に思えるその内容に、御手洗は大いに関心を示し、鍵となっている箱根の格式あるホテル・富士屋を避暑がてらに訪れた。
かつて、日本の命運を決める歴史的密談が多く持たれたホテルには、手紙の内容通りの1枚の写真が残されていた。
そこに映るのは、芦ノ湖に浮かぶ帝政ロシアの軍艦――
大正8年、1919年8月30日、帝政ロシア王朝一家虐殺から1年後のその日、山中の霧の湖に1隻の軍艦が突如出現し、軍人たちを降ろし、翌朝には消え失せていたという。
現実とも思えぬ話だが、確かに当時富士屋に勤めていた者たちは、湖で軍人たちを迎えたという。
元日本軍人の老人の言葉、富士屋に残る写真、帝政ロシア王朝皇女・アナスタシアであると主張し続けた女性・・・
横浜に居ながらに、これらから御手洗が導き出した答えは・・・


長編ミステリィ。
御手洗潔シリーズ。

過去にしろ現在にしろ、いわゆる“事件”のない謎で、『写楽〜閉じた国の幻〜』 などと同じように、作者が学術的研究視点をもって書いた作品である。
『写楽』 では、興味深いと思いつつも、学術的見解と小説の兼ね合いにイマイチ乗り切れなかったのだが、本作は非常に楽しませてもらった。
史実である可能性や革命に対する主義主張には、正直なところ、全く関心も賛同もないのだが、一つの物語として抜群に面白かった。

一種の安楽椅子探偵だろうか。
手紙の中の言葉を切欠に、読み取った事柄を裏付け、結び付け、一つの大きな物語が紡ぎあげられていく。
   〈ネタバレ?〉
山中に突如現れ消えた軍艦に関しては、根拠なく宮崎アニメのような想像が沸き、それが遠からずだったのには苦笑した。
が、アナスタシアであると主張し続けた女性の奇行についての、脳科学に基づく解釈には、流石島田御大、御手洗のキャラクター設定にも沿ったもので脱帽。
○○の血筋が実は生き残っていた、という話の信憑性云々は好まないが、小説ネタとしては、やはり価値がある。

★★★+
ビブリア古書堂の事件手帖 7〜栞子さんと果てない舞台〜  三上延 KADOKAWA 2017.2.

 稀少本、太宰治の 『晩年』 を巡る事件は、一応の決着を見ようとしていた。
しかし、決着の為に栞子が必要とする “本” は、既に別の業者の手に渡ってしまっていた。
新たな取引相手となる、海外のアンティークと洋書を扱う横浜の骨董屋・舞砂道具店とは・・・?
現れたのは、これまで見知ったどんな古書店主ともタイプの違う老獪な男だった。
相場とはかけ離れた高値を示し、1冊の古書を残していった意味は・・・
そこには、栞子の祖父が遺した妄執と巧妙な罠が?
篠川母娘の前に用意された赤、青、白、3冊の皮装丁の古書は、家族と古書を巡る因縁の幕引きとなるのか。

プロローグ
喜び以外の思いは
わたしはわたしではない
覚悟がすべて
エピローグ

日常ミステリィ。
長編。シリーズ第7弾完結編。

鎌倉の駅近くにあるを舞台とした、古書にまつわる日常ミステリィシリーズの完結。
女主人・篠川栞子は、本に関してだけは饒舌で豊富な知識で謎を解くことを主軸に、本を読めない体質の五浦大輔との恋物語と、母親との確執が描かれてきた。
この母親との確執が、よくある母娘問題とは全く違い、本を巡る因縁であるところが、このシリーズならでは。

正直言って、古書の世界と価値は、さっぱり理解できなかった。
(あえて言うなら)“古本” に関しては面白かったのだが、稀少性のある美術品モドキの “古書” については、“本” には思えなかった。
“古書” の世界はあるのだろうが、“古本” と “古書” を同時に扱う古書店って一体何?と思ってしまう。
本作では“古書”の金額に触れていて、店の経営や人生まで及ぶ取引の大きさに、脳内では古書店という言葉が追いついていなかった(笑)。
それとも小説だからだろうか。

シリーズ通して撒いた伏線にしろ、2人の関係にしろ、バランスよく収められた完結編だったと思う。
ただ、祖父母まで遡った因縁ある古書の世界の狭さと、複雑な人間関係は、だからこそとも思えど、些か息苦しかった。
その割に、栞子の妹・文香だけは、“本” と随分距離があったなぁと、ちょっと突っ込んでおく。
楽しく読めるという点での評価は、シリーズ当初からは変わったが、ライトノベルの枠を超えたしっかりした作品である。

ビブリア古書堂の事件手帖 6   http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13251774.html 
ビブリア古書堂の事件手帖 5   http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12336319.html
ビブリア古書堂の事件手帖 4   http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/11223000.html
ビブリア古書堂の事件手帖 3   http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/10500758.html
ビブリア古書堂の事件手帖 2   http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/10369504.html
ビブリア古書堂の事件手帖     https://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/10097446.html
★★★
合理的にあり得ない〜上水流涼子の解明〜  柚月裕子  講談社 2017.2.

 公にできない揉め事を解決する何でも屋、上水流エージェンシー。
殺し傷害以外ならば、“あり得ない依頼”を引き受ける。
経営するのは、不祥事で弁護士資格を剥奪された、美貌の元弁護士・上水流涼子。
IQ140の貴山伸彦を唯一の助手に、知略をめぐらし、依頼を解決に導く。

  「確率的にあり得ない」
建設会社2代目社長が、経営判断を委ねる人物は“未来が見える”という。

  「合理的にあり得ない」
時代の趨勢に乗り、土地売買や投資で稼ぎ、贅沢な暮らしを満喫する男。
しかし、妻が不審な金の使い方をし始め、引き篭もりの息子のことも重なり・・・

  「戦術的にあり得ない」
暴力団からの、1億円の賭け将棋の必勝依頼。

  「心情的にあり得ない」
涼子の因縁の相手からの、家出した孫娘探し依頼。

  「心理的にあり得ない」
他人をカモろうと、ファン心理を利用した野球賭博好きの果ては・・・



ミステリィ。
短編6編。

かなり軽い作品だった。
謎の美女といった登場をする上水流涼子の過去は、「心情的にあり得ない」 で明かされる。
優秀な助手、貴山伸彦が助手となった経緯もだ。
下手に引っ張っていないのは良いのだが、上水流涼子が何となく役者不足に思えてしまった。
“元弁護士で明晰な頭脳と美貌を武器に”という設定なのだが、法知識を駆使するでもなく、駆け引きのプロでもなく・・・
貴山の頭脳は、話の中で引き立てられているが、涼子が優秀だと思わせる何かが足りない。
映像化前提かと思わせるような軽さを、作者さんの新境地と受け取るべきなのか。
“あり得ない依頼” に関連して、詐欺の手法や野球賭博や将棋のあれこれなど、雑学的盛り込みが主だった。
知略というほどもなく、解決に明瞭さが欠け、そのせいか爽快感がなかった。

『防波堤』 /今野敏

★★★
防波堤〜横浜みなとみらい署暴対係〜  今野敏  徳間書店 2011.11.

 みなとみらい署警部・諸橋を頭に、諸橋班6名が暴力団からハマの町を守る。
本人は嫌がれど「ハマの用心棒」と呼ばれ、監察に目をつけられ県警から所轄係長に降格しようと、変わることない諸橋。
諸橋の人事の割をくった、係長補佐という半端な役職を楽しみ、相棒を務める楽観主義者、城島。
いかにもマル暴刑事、取り締まり対象と区別つかない強面の浜崎。
班内の若手熱血、日下部。
マイペースでコンピューター関連に強い、八雲。
一見気弱そうだが、逮捕術の名人、倉持。
きれい事では、一般市民の平穏な日常を守ることはできない。
暴力団は暴力団なのだ。
全力をもって排除すべき連中なのだ。

  「防波堤」
常磐町の神風会のただ1人の組員・岩倉が身柄を拘束された。
時代が変わった中、昔ながらに地域に溶け込み、組長・神野の人脈で、どこにも属さず生き残るあの神風会が?
商店街の秋祭り実行委員会に脅しをかけたというが・・・

  「噛ませ犬」
鶴見署管内で起きた発砲事件に、端は発した。
暴力団事務所への発砲にしても、手打ちをしたばかりという事情の裏に何が?

  「占有屋」
神風会・岩倉が素人相手に大立ち回り?
裏にあるのはビルの競売と任意売却、そして田家川組の関与が・・・

  「ヒットマン」
八雲がSNSからヒットマンの情報を得た。
関西からのヒットマンの標的は?

  「監察」
暴力団お断りを掲げる店からの、トラブルの個人的通報に駆けつけた諸橋と城島。
ハマの用心棒を知らない連中を挙げると、何故か早々に弁護士が乗り出してきた。

  「鉄砲玉」
飲食店で暴れた男が諸橋の名を口にしたという事件が、続けて起こった。
物を壊しはしたけれど、誰にも怪我はさせていない、いかにも暴力団的な手口を繰り返す男の真の狙いは?


警察小説。
短編6編。ハマの用心棒シリーズ第3弾。

前作 『禁断』 の後日談的な面もある、短編によるシリーズ第3弾だった。
『禁断』 と、あまり間をおかずに読んだのが幸いし、報復する獄中組長・田家川にすぐに思い当たった。
ただ単独の1冊の作品としては、物足りなさがかなりあった。
諸橋班のキャラは活かされているのだが、神風会の岩倉が騒ぎを起こすという、そんなことがあるのかと諸橋も内心で思うような事件が端緒がパターン過ぎる。
地元暴力団、関西勢力、暴力団を認めない諸橋、その諸橋も馴れ合わないが特別視する神風会、そして監察とややお決まりである。
暴力団がどうやって、不動産業など経済活動に喰い込んでいるか、短い中にしっかりネタが組み込まれてもいた。
が、ちょっと記憶に残りそうにはない。

★★★
悪魔の百唇譜  横溝正史  角川書店 1976.3.

 昭和35年の蒸し暑い6月、世田谷区成城町の路上に停められた自動車に、パトロール中の警官が不審を抱いた。
トランクの中から、胸を鋭利な刃物で刺された女の死体と、血に塗れたハートのクイーンのカードが発見される。
被害者は、中国人の内妻となった元ホステスの本郷朱実と判明。
さらに同日、世田谷区弦巻町の路上でも、自動車のトランクの中から、10代後半と見られる男の死体とハートのジャックのカードが発見された。
2つの事件は、落ちぶれた流行歌手・都築克彦を中心に結びつきを見せる。
関係をもった女たちの唇紋をとり、人には知られたくない姿を克明に添え記した “百唇譜” の存在が、事件を引き起こしたと思われたが・・・
2つの事件の場所と時刻、同じ凶器によるカードにも残る刺し傷を満たす犯人がいない?!


長編ミステリィ。

『悪魔が来りて笛を吹く』 に続いて、角川書店の金田一耕助ファイルシリーズからの1冊。
金田一耕助シリーズは映像化も多い中、タイトルにまったく聞き覚えのないものを選んでみた。

う〜ん・・・
横溝正史というビッグネームに対する期待が大きいだけに、いかにもなタイトルに反して、なんとなく平凡に感じる作品だった。
女を “百唇譜” で脅迫、それも高校生男子を交えてというのだから、相当な話なのだが・・・
他作品での時代背景ならではの迫力を感じさせる印象が強いだけに、このネタが現代では逆にインパクトが弱くなっているのかもしれない。
唇紋という隠微さも、現代では効力が薄く感じてしまったようだ。
金田一さんの電話に起こされて出掛けるまでの朝食場面の、生活感溢れる描写など楽しませてもらった反面、これぞ横溝作品というイメージからは遠かった。

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