砂時計の読書日記

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★★★★
殿様の通信簿   磯田 道史   朝日新聞社   2006.6.
 
 幕府隠密による元禄大名の行状報告書、現存1冊のみという史料 『土芥寇讎記』。
江戸時代の難解な言葉で書かれた原文、内容を、現代語に直しながら、「殿様」 たちの生々しい生活ぶりにせまる。
そこには、200年以上もまえに、初めて現代人と同じような生活を経験してしまった人々がいた。
過去の歴史をみているのに、現代をみているような感にとらわれる。
「戦国から元禄」 へという時代は、戦国の生き残りの老人と豊かになってくる若者の 「世代ギャップ」 のありさまがみてとれる。
豊かになれば、歌舞音曲と恋愛と宗教にしか興味をもたなくなり、ひたすら個人の享楽世界にのめり込んでいく人間。
われわれは、殿様ではないけれども・・・
 
徳川光圀――ひそかに悪所に通い、酒宴遊興甚だし
浅野内匠頭と大石内蔵助――長矩、女色を好むこと切なり
池田綱政――曹源公の子、七十人おわせし
前田利家――信長、利家をお犬と申候
前田利常1――家康曰く、其方、何としても殺さん
前田利常2――百万石に毒を飼うべきや
前田利常3――小便こらえ難く候
内藤家長――猛火のうちに飛入りで焚死す
本多作左衛門――作左衛門砕き候と申されよ
 
 
歴史エッセイ。
新潮から文庫版にもなっている。

映画 『武士の家計簿』 の原案著者 (小説ではない) と言えば、多くの人に分かるだろうか。
『土芥寇讎記』 から行状報告を抜粋して、タイトル通りの “殿様の通信簿” となっている部分はわりと少ない。
だが、その頃やその殿様の行動原理を紐解いてくれるエッセイで、面白さは抜群だ。
そしてそこから、戦から豊かさに移行していった時代という現代との共通点を見出しているところに、歴史を学ぶ意味があろう。
TV放送時代劇に馴染みがあり、正しくなくともなんとなく江戸時代を知っている読者は、なるほどと史実を学べる。
反面、江戸時代に馴染みがない読者でも、これを入口に興味をもつのでは、という入門書にも思える。
江戸時代、250前後の藩があり、13代あたりで明治維新をむかえ、大名経験者は3千人以上。
その中のほんの数人ではあるが、殿様と時代のありようを知る一端として、気軽に読めて濃い内容だったと思う。
 
★★★
テミスの剣   中山 七里   文藝春秋   2014.10.
 
 昭和59年埼玉県浦和市で、ラブホテル街にある不動産屋夫婦が殺害され、金庫から現金が盗まれた。
若手刑事・渡瀬とベテラン刑事・鳴海のコンビは、ある容疑者を苛烈な聴取で自白させるが、裁判では供述を一転させてきた。
しかし死刑判決が確定され、獄中で自殺を遂げた。
事件から5年後、腕のいい鍵屋による同じ手口の犯行が起こり、渡瀬は冤罪の可能性に気付く。
ひとり事件の洗い直しを始めた渡瀬は、引退した鳴海が証拠を捏造したことを認めさせ、当時の法曹関係者に真実を告げた。
―― 真犯人・迫水が出所直後に、刑務所近くの公衆トイレで刺殺された。
けしかける様に、被害者遺族に送られていた、迫水の出所日時を書いた手紙の存在は、何を指すのか。
 
冤獄
雪冤
冤憤
冤禍
終冤
エピローグ
 
長編ミステリィ。
 
警察の自白強要体質、冤罪を題材としたシリアスな作品。
中山七里作品では名脇役としてお馴染みの、渡瀬警部の若かりし頃の話である。
その他にも、警察関係者揃い踏みで作品間のリンクが色濃い。
『静おばあちゃんにおまかせ』 の静おばあちゃんの判事としての晩期でもあり、その法曹人としての姿勢は渡瀬に大きく影響したようだ。
最後は墓参りの場面で、そこには孫と恋人が連れ沿って登場する。
 
冤罪の可能性に気付いた時、関係者はどうするか。
闇に葬ろうとする者、正そうとする者、利害と正義の対立が王道的に描かれている。
読了したのは約2ヶ月前で、かなり高評価したはずなのだが、タイトルやメモを見ても、内容がなかなか思い出せなかった。
う〜ん、今になって思うと、良い作品だったが似ている作品も世に多く、インパクトはなかったようだ。

 

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