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残穢 小野不由美

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残穢 小野不由美
2012年 新潮社 1600円

実話収集ホラーである『鬼談百景』にリンクした作品として同時に出版された『残穢』。
『鬼談百景』はあまり怖くなかったので、これもそんなに怖くなかろうと軽い気持ちで夕食後に読み始めたのですが、話が進んでいくうちにじわじわと怖さが這い上がってきました。

ドキュメンタリー風のホラーです。語り手は小野不由美自身。あるマンションの一室で起きた怪異を、住人である久保さんとともに追いかける。怪異といっても、なんとなく気配があるという程度。かすかな音、眼の端をちらっと横切るような気配、どこからか聞こえる赤ん坊の泣き声。気のせいなのか、恋猫の声なのか、はっきりとは分からない。

マンションの住民、転居先、周囲の家、一代前の住人、地域の歴史と探索の手を広げていくが、かすかな怪異のみで、特別な何かがあるわけではない。何かが伝染するように、かすかなつながりは、明治大正時代の九州のある事件にまでたどれるのだが、でもそれが怪異の理由であるかどうかは、まったくわからない。

何か分からないものの残穢が、ほとんど何もない日常に訳もなく現れまた消えていく。そのかすかな違和感を語れば、それが怪談になっていくのでしょうか。登場するホラー作家平山夢明氏に「怪談というのは、語ること自体が怪だという側面がある。怪談の内容の問題ではなく、ある怪談について語ること、そのものに怪しいものが潜んでいる」と語らせています。

じわじわと怖いのに、著者も久保さんも調査をやめることができない。それと同じように読んでいる私も、真夜中を過ぎても読むのをやめられない。だって今やめたら怖くて眠れないに違いないから。

ベッドの中にいるのに背筋に寒さを感じて、エアコンのスイッチを入れたら、ミシッと壁が鳴る・・・ひゃあああ・・・エアコンの取り付けた壁は部屋が暖まるといつも音がするんですが・・・今夜ばかりはご勘弁を・・・・夜中に一人でホラーを読むなんて最悪の事をやってしまいました。

・・・・怖いので別の話で気を紛らわします。小野さんの夫も小説家だという話が出てきて、誰だろうと検索したら、綾辻行人だそうで、知らなかったわあ〜。
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密室収集家 大山誠一郎
2012年 原書房 1600円

本格といわれる分野のミステリが5編。ずいぶん前に返却したので、細部は思い出せないが、年代だけはメモしておきました。

『柳の園』1937年
『少年と少女の密室』1953年
『死者はなぜ落ちる』1965年
『理由ありの密室』1985年
『佳也子の屋根に雪ふりつむ』2001年

60年以上にわたって、どれも同じ「密室収集家」という探偵が現れては、あっという間に密室の謎を解いてしまう。探偵さんは年をとらない・・・っていうのは、よくあることで、まったく年をとらない「密室収集家」とは何処の誰なのか?なんてことはどうでもいいのであって、ただひたすらに密室の謎がロジカルに解かれる点が強調される。密室の物理的な仕掛けではなくて、叙述に仕掛けがある。

うすぼんやりの読者としては、謎ときについて行くのが精いっぱい。言われてみればそうその通りで、よくできた密室だと思う一方で、そんなに都合のいいことってあるのお〜とも思う。が、舞台となる時代の雰囲気がよく出ていて、(解決も早くて)飽きませんでした。

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