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正統派へヴィメタルとはメタルとしてのカッコ良さを打ち出した音楽であり、特に”これが正統派だよ”という音楽性は存在しないが、ギター・リフに重心を置いたサウンドを特徴としている。一方、正統派ハードロックはノリのよいリズム感を強調しながらもギター・リフを主体として楽曲が提示されている。
特にJUDAS PRIESTが最も有名であるが、実のところ他にも正統派と呼ばれているアーティストも少なくない。IRON MAIDENも正統派だが、音楽を聴いてみると様々な要素が含まれていることが分かる。
【JUDAS PRIEST】
IRON MAIDENとともにHR/HMの頂点に君臨するメタル・ゴッド。当初は典型的なハードロックだったが、徐々にギター・リフに重量感が加わり、へヴィメタルに変遷していく。少なくとも彼らが正統派へヴィメタルに完全に変遷したと言えるのは1982年から。スピード感のある楽曲もいくつかあるが、メロディック・パワー・メタルのように流れる感覚を伴う強烈な疾走感はなく、楽曲全体にパワーが漲っているというよりは、むしろエネルギッシュなサウンドが魅力となっている。
【HALFORD】
名盤『PAINKILLER』を残したのちにJUDAS PRIESTを脱退したロブ・ハルフォード(Vo)が結成したプロジェクト。当時、メタルらしからぬ音楽性に移行していたJUDAS PRIESTに対し、彼らは100%へヴィメタルの音楽性を提示した。
【BLOODBOUND】
当初はメンバー全員がブラックメタルのような白塗りメイクを施していた北欧スウェーデン出身バンド。当初はオーセンティックなへヴィメタルを演奏していたが、のちにメロディック・パワー・メタル的な疾走曲も提示するようになる。
【LORDI】
北欧フィンランド出身バンド。ブラックやデス風のような見た目とは違い、80年代にあった古き良き正統派サウンドを提示するバンドで、クオリティの高いアルバムをリリースし続けている。そういう意味でも彼らの存在はやはり貴重。
【SINERGY】
女性Voのキンバリー・ゴスを筆頭にCHILDREN OF BODOMからアレキシ・ライホ(G)、IN FLAMESからイェスパー・ストロムブラード(G)など、北欧メロデス界で知られるメンバーを中心に結成されたバンド。キンバリー・ゴス(Vo)とアレキシ・ライホ(G)の恋が実ることなく、バンドも同時に自然消滅した。
【FIREWIND】
ギリシャ出身バンド。メロディック・パワー・メタルにカテゴライズされることも多く、特にツー・バスの連打による疾走感とメロディ量の多さはそれに由来するもの。ただ、一方でメロディック・スピード・メタルのように速くもなければ、JUDAS PRIESTのようにギター・リフが重すぎることもない。
【MANOWAR】
アメリカ出身のメタル・バカ代表。バンド名は「軍艦」を意味する”Man of War”が由来。右拳を握り締め、その手首を左手で掴んで頭上に掲げるポーズは「マノウォー・サイン」と呼ばれており、彼ら自身やファンの間だけではなく、他のバンドやミュージシャンもライヴなどでポーズをとることがある。
【ARMORED SAINT】
活動期間は決して短くなく、ロサンゼルスに活動拠点を持っていながら正統的なHR/HMを提示するバンド。のちにANTHRAXに加入するジョン・ブッシュ(Vo)が在籍していることでも知られている。
【BLACK TIDE】
アメリカ合衆国・フロリダ州マイアミ出身バンド。80年代にあった古き良き正統派HR/HMをデビュー当時まだメンバー全員の10代が提示したとあってファンの度肝を抜かせた。VAN HALENやGUNS N' ROSESなどからの影響を口にしていたものの、実際にはブリティッシュHR/HM由来の泣きや劇的さも備えている。
【BATTLE BEAST】
ドスコイ系女性Voを擁する北欧フィンランド出身バンド。叙情メロディを奏でるバンドが多い北欧にあって、80年代にあったACCEPTのような古き良き正統派サウンドを提示する。2010年代を代表するバンドのひとつ。
【BEAST IN BLACK】
元BATTLE BEASTのアントン・カバネン(G)が中心となって結成された。本家BATTLE BEASTよりもっと正統的で、ピュアなサウンドを提示している。
【SABATON】
NOCTURNAL RITESからクリス・ローランド、REINXEEDからトミー・ヨハンソンを加入させて豪華ギター・コンビを形成する贅沢なバンド。迷彩服を身にまとい、音楽的には戦争コンセプトでファンを魅了する。
【POWERWOLF】
まるでブラック・メタルのような白塗りペイントを施したヴァンパイア軍団。BURRN!などでは”90年代のBLIND GUARDIANが提示したような音楽”と書かれているが、むしろあれほどの疾走感はなく、どちらかというと暑苦しいサウンドであることから、より正統的なパワー・メタルの色合いが強い。SABATONとともに2010年代を担うバンドとして期待されている。
【BURNING WITCHES】
中欧スイス出身にしてロマーナ・カルクール(G)率いるオール・メンバー女性のみのバンド。デビュー・アルバムのプロデユースはジャーマン・スラッシュ・三羽烏の一角を担うDESTRUCTIONのシュミーア(Vo&B)が担当した。
【SPIRITS OF FIRE】
ティム・リッパー・オーウェンズ(Vo:元JUDAS PRIEST)、クリス・キャファリー(G:元SAVATAGE)、スティーヴ・ディジョルジオ(B:元TESTAMENT)、マーク・ゾンダー(Dr:元FATES WARNING)らが集結して結成した。正統派ど真ん中のサウンドだけにJUDAS PRIESTやPRIMAL FEARのような音楽性が持ち味。
【A NEW REVENGE】
ティム・リッパー・オーウェンズ(Vo:元JUDAS PRIEST〜ICED EARTH)、ケリー・ケリー(G:現NIGHT RANGER)、ルディ・サーゾ(B:元WHITESNAKE〜QUIET RIOT)、ジェイムズ・コタック(Dr:元KINGDOM COME〜SCORPIONS)らが集って結成された。正統的なHR/HMが特徴。
…などと、正統派へヴィメタルは何を以って正統派なのかが曖昧である。ただ、メロディック・パワー・メタルのようにツー・バス・ドラムをひたすら連打するようなことはそれほど多くなく、ギター・リフに重心を置いている以外は何もないので、いかに楽曲で勝負するかがカギとなる。
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