LAメタルとはその名の通り、ロサンゼルスで結成され、活動しているバンドのことを指す。しかし、その実音楽性は様々で、特に”これがLAメタルだよ”という決まりきった定義は存在しない。別名としてグラムメタルともいう。
ちなみに、LAメタルだからと言って必ずしもアメリカを拠点として活動しているバンドがすべてだというわけではない。
【BON JOVI】
カントリー調の要素あるハード・ロック・バンド。もともとHR/HMにカテゴライズしにくいほどソフトなサウンドを提示していただけに絶大な人気を誇っている。
【VAN HALEN】
エドワード(G)とアレックス(Dr)のヴァン・ヘイレン兄弟によって結成されたバンド。現在はエドワード(G)の長男ウォルフガング(B)も在籍しており、ファミリー・バンドの様相を呈している。
【DAVID LEE ROTH】
VAN HALENを脱退したデイヴィッド・リー・ロス(G)がスティーヴ・ヴァイ(G)、ビリー・シーン(B)、グレッグ・ビソネット(Dr)という名プレイヤーを集結させて結成したプロジェクト。豪快なアメリカン・ハード・ロックが特徴となっている。
【MOTLEY CLUE】
1981年ロサンゼルスにて結成。ドラッグやセックスなどというロックンロールそのものの歌詞コンセプトで注目を集めた。
【QUIET RIOT】
特に1982年〜1983年にわたって大きな成功を収めたバンド。ランディ・ローズ(G)、ルディ・サーゾ(B)などというBURRN!でお馴染みのメンバーが在籍していたことでもファンの間では有名。
【RATT】
MOTLEY CLUEと双璧をなす、と言われたバンド。のちにオジー・オズボーンのバンドに迎えられるジェイク・E・リー(G)が参加していたことでも知られる。
【DOKKEN】
アメリカのバンドでありながらドイツを拠点に活動もするバンド。他のバンドとは違い、あま〜いメロディのギター・サウンドとメロディック・パワー・メタルに近い疾走感から本国アメリカよりもドイツで人気がある。
【POISON】
派手なルックスで人気を集めたバンド。演奏力はプロだとは言い難いレベルで、サウンド・プロダクションにも恵まれずスカスカなサウンドだったが、当時はそれでも人気を博していた。
【WARRANT】
デビュー時は成功を収めたが、後が続かなかったバンド。グランジ・ブームによって一気に失速、2000年以降はバンドのフロントマンであったジェイニー・レインとの確執が表面化する。2008年ついにジェイニー・レインを解雇するが、3年後の2011年8月彼は宿泊していたホテルで遺体となって発見された。
【W.A.S.P.】
バンド名は”ワスプ”と読む。過激なパフォーマンスがエスカレートし、マリリン・マンソンの影響もさることながら、残虐な行為(の物まね)をコンセプトにしたショウも披露した。1997年の来日公演では神戸連続児童殺傷事件の直後で物議を醸したため、それ以降は自粛した。
【Y&T】
もともとYESTERDAY AND TODAYと名乗っていたバンドで、Y&Tに改めた(というよりは縮めただけ)バンド。バンド名はTHE BEATLESのアルバム『YESTERDAY AND TODAY』が由来となっている。
【GREAT WHITE】
決してセールスには恵まれなかったバンド。のちにLAメタルとは一線を画すブルースに根差したハード・ロック・バンドに変遷するが、これまたセールスには結び付かず、LAメタルの失速とともにバンドも90年代前半に陰りが見え始め、ジャック・ラッセル(Vo)を除くメンバーが一気に脱退する。プロジェクトを結成するものの2003年演出に使用した花火がカーテンに引火して火災が発生し、同プロジェクトのギタリストを含む100名が死亡するという大事故を起こしたため、プロジェクトはお蔵入りとなって2006年に再結成した。
【STRYPER】
クリスチャン・メタル・バンドとも呼ばれる彼らはその名の通り、メンバー全員が敬虔なクリスチャンで、キリスト教を賛美する歌詞や、聖書をステージから投げ入れるなどのパフォーマンスで知られている。特にBURRN!のインタビューでも「神のご加護によって我々は順風満帆でいられる」などといった快答が返ってくるのは有名。
【KING KOBRA】
1984年に結成されたアメリカ出身バンド。ドラマーのカーマイン・アピスがオジー・オズボーンのバンドから離れたのちに、このバンドを結成した。
【GIUFFRIA】
活動期間の短さもあって知名度は決して高くないが、LAメタル・ブームの潮流に乗ったバンドの一つ。1981年に活動を開始し、1987年に解散した。
【KEEL】
イングヴェイ・マルムスティーン(G)やマーク・エドワーズ(Dr)が在籍したSTEELER解散後に、そのヴォーカリストであったロン・キールを中心に結成された。1989年に解散したが、その後も期間限定で単発的に活動を行っている。
【ROUGH CUTT】
アメリカ合衆国・サンディエゴで結成され、当初はジェイク・E・リー(G)が在籍していたことでも知られている。ポール・ショーティノ(Vo)がのちにQUIET RIOTに、ジェイク・E・リー(G)がオジー・オズボーンのバンドに、クロード・シュネル(Key)がDIOに、ショーン・マクナブ(B)がDOKKENにそれぞれ加入したことでも有名となった。
【BADLANDS】
ジェイク・E・リー(G)が結成したブルース・ロックの要素あるグラム・メタル・バンド。セールス面に恵まれることはなく、2枚のアルバムを残してレコード契約を解除された。
【LIZZY BORDEN】
1983年にアメリカ合衆国・ロサンゼルスにて結成される。バンド名はリード・ヴォーカリストの芸名で、19世紀末に殺人容疑で告発され、無罪放免となった悪名高い女性として知られるリジー・ボーデンから名付けられた。
音楽的には
ALICE COOPERや
KISSなどから多大な影響を受けている。
【CINDERELLA】
アメリカの英雄BON JOVIのサポートを得てチャンスをつかんだペンシルバニア出身のハード・ロック・バンド。ブルース・ロックをベースに持ちつつも、きらびやかなポップ・メタルを体現して見せた。
【WHITE LION】
デンマーク人ヴォーカリスト、マイク・トランプのハスキーで甘い歌声と、ヴィト・ブラッタの構築美溢れるテクニカルでフラッシーなギター・ワークが売りのニューヨーク出身バンド。
【NIGHT RANGER】
1982年にデビューしたサンフランシスコ出身バンド。ブラッド・ギルスとジェフ・ワトソンのツイン・リード・ギターに、ジャック・ブレイズとケリー・ケイギーのツイン・リード・ヴォーカルという変則的布陣で注目を集めた。1989年ジャック・ブレイズがDAMN YANKEESを結成させるために脱退したことに端を発して解散に至った。
【WINGER】
レブ・ビーチ(B)にロッド・モーゲンステイン(Dr)というセッション・ミュージシャンとしてのキャリアもある凄腕のメンバーに、バレエの素養がある華やかなフロントマン、キップ・ウインガー(Vo&B)を擁するバンド。キップ・ウィンガーはこのバンドに加入する前にALICE COOPERのベーシストを務めていた。
【SLAUGHTER】
元VINNIE VINCENT INVASIONのマーク・スローター(Vo)とダナ・ストラム(B)を中心に1989年アメリカ合衆国・ラスベガスで結成されたバンド。音楽的には華もエッジもあるパーティ・ロック・サウンドを展開している。
【ICON】
アリゾナ州フェニックス出身のバンドがロザンゼルスに活動拠点を移し、デビューしたバンド。ソングライティングには確かな実力を感じさせるものの、チャート的な成功には恵まれなかった。
【BLACK N' BLUE】
オレゴン州ポートランド出身のバンドがロサンゼルスに活動拠点を移し、オムニバスへの楽曲提供で注目を集めたバンド。
【BULLET BOYS】
アメリカ合衆国・カリフォルニア州ロサンゼルス出身バンド。特にRATTやKING KOBRAで活動していたメンバーを中心に結成された。
【TESLA】
ソウルフルなジェフ・キースのヴォーカルをフィーチュアしたブルージーなアメリカン・ハード・ロック・バンド。
【JACKYL】
アメリカ合衆国・ジョージア州出身。音楽性はサザン・ロックの影響を受けた骨太なハード・ロック・サウンドであるが、90年代のアメリカに到来したオルタナ系の波には抗えなかった。
【STEEL PANTHER】
アメリカ合衆国・ロサンゼルス出身バンド。基本的にハードロックの他にはコミカルなパフォーマンスやMC、音楽的パロディから”コメディ・ロック”と呼ばれることもある。そのこともあってか、ゲスト参加は有名ミュージシャンの他にセレブやセクシー・ギャルと言ったいわゆる”お姉ちゃん系”も数知れず。
【THE END MACHINE】
元DOKKENの3人のメンバー、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)に、現WARRANTのフロントマン、ロバート・メイソンを迎えて結成。LAにカテゴライズされるものの、Voの声質を活かしたメロディアス・ハード・ロック・サウンドを特徴としている。
…と、LAメタルは一概に何とも言えないのが特徴だ。要はロサンゼルス拠点だから、と思って構わない。バンド数自体は決して少なくないが、その反面、成功に恵まれたバンドというのもそう多くない。結果的にLAメタルは衰退することになる。
BURRN!でもこの手の音楽ジャンルを取り上げることが多く、特に80年代〜90年代にリアルタイムで聴いたファンの言うアメリカのバンドとはこの手の音楽のバンドを指すことも少なくない。実際、今さら「LAメタルの真実」というお間抜けな著書が出版されており、BURRN!でもこれでもかというほど特集している。時間というのは「過去・現在・未来」と3次元になっているが、明らかに終わったジャンルを日本に一つしかないメタル専門雑誌で紹介しまくるのはいかがなものかと思われる。