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シンフォニックメタルとはその名の通り交響曲の良さを持ち合わせた音楽で、Keyによる荘厳なオーケストレーションが大きな特徴となったサブ・ジャンルである。特にメロディック・パワー・メタルでもシンフォニック・メタル的な要素を持つバンドは多く存在するが、こちらで扱うバンドはそれとは一線を画す音楽的特徴を持ち合わせたアーティストを取り上げるとする。
ちなみに、この手のジャンルはゴシックメタルと呼ばれるデス・ヴォイスをフィーチュアしたサウンドを提示していたり、あるいはデス・ヴォイスを楽曲中に盛り込んだサウンドを提示するバンドも多く存在するなど、両者は切っても切れないサブ・ジャンルの親戚関係にあるのも大きな特徴である。
【NIGHTWISH】
この手のジャンルの雄。STRATOVARIUSとともにフィンランドの英雄でもありながら、フィンランド国内で世界的に成功したバンドの一つでもある。当初は典型的なメロディック・パワー・メタルであったが、徐々にツー・バス・ドラムの連打をやめ、荘厳な音色を極上のシンフォニック・サウンドに結びつかせている。
【WITHIN TEMPTATION】
オランダ出身にしてNIGHTWISHの典型的フォロワー。当初はゴシック・メタル・バンドであったが、徐々にサウンドをシンフォニックにアレンジさせていくようになり、最終的には本物のオーケストラとの共演を果たした。現在もわずかに音楽性を変遷させながら、シンフォニックメタルに留まらない幅広い音楽を提示している。
【PARADISE LOST】
デビュー当初は典型的なデス・メタル・バンドであったが、徐々に軟化を見せ始め、セカンド・アルバム『GOTHIC』によってゴシックメタルは開拓された。しかし、のちにシンセ・ポップ・サウンドへのアプローチが進められた結果、現在は想像がつかないほどへヴィメタルとは無縁の音楽性を提示している。NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATIONの躍進もあって開拓者が自ら地獄へ真っ逆さまに落ちる羽目に。
【OPETH】
ミカエル・オーカーフェルト(Vo&G)率いる北欧スウェーデン出身のプログレッシヴ・デス・メタル・バンド。便宜上この手のジャンルに入れざるを得ないが、Keyの装飾と、彼らの持っている暗黒性は明らかにゴシックメタルに由来するもの。
【LACUNA COIL】
イタリア・ミラノ出身のゴシック・メタル・バンド。典型的なゴシックメタルというわけではなく、女性Voのクリスティーナ・スカビアによるソプラノ声を活かしたソフトなサウンドも提示されているため、時にはポップ・メタルとも呼ばれている。
【EPICA】
オランダ出身のAFTER FOREVERを脱退したマーク・ヤンセン(G)が結成したプロジェクトが、シモーネ・シモンズ(Vo)を加入させて正式にバンドとして移行した。音楽性はシンフォ/ゴシックもしくはパワーメタルの典型。
【SIRENIA】
ノルウェー出身のシンフォニックメタル/ゴシック・メタル・バンド。当初はデス/ドゥームの要素を持ち合わせていたが、次第に荘厳な音楽性に変遷する。
【DELAIN】
WITHIN TEMPTATIONのKey奏者であったマタイン・ヴェスターホルトを中心に結成されたバンド。女性Voのシャルロット・ヴェッセルズはこの手の音楽の中でも屈指の歌唱力を持つメンバーとして知られている。
【ENEMY INSIDE】
ドイツ・バイエルン州アシャッフェンブルク出身のダーク・メロディック・メタル・バンド。ナスターシャ・ジュリア(Vo)とエヴァン・K(G)を中心に結成された。影響されたアーティストとしてAMARANTHEやLACUNA COILやEVANESCENCEを挙げている2018年度一押しのニュー・カマー・バンドのひとつ。
【ALL ENDS】
IN FLAMESのメンバーであるビヨーン・イエロッテ(G)の妹エマ・イエロッテ(Vo)が起ち上げたことで知られるバンド。当初はゴシック・メタルに括られていたが、その実、音楽性は決して狭くなく、典型的なゴシックメタルのように欝々としていない。
【AFTER FOREVER】
NIGHTWISH加入前にフロール・ヤンセン(Vo)が在籍していたことで知られるシンフォニック・ゴシック・メタル・バンド。Key奏者が脱退し、ギタリストとドラマーが病に倒れたことから徐々に崩壊を見せ始め、2007年にセルフ・タイトルを冠したアルバムをリリースするが、結局2009年2月に解散した。
【EVANESCENCE】
耽美的な風貌で知られるエイミー・リー(Vo)の存在によって健康男子のハートを鷲掴みにしたアメリカ出身バンド。アメリカのバンドらしくオルタナからの影響も感じさせるところが他のバンドとの差別化を図るのに大きなポイントとなるが、それが直接的な成功には至っていない。実際、アルバムには2011年3月に起きた東日本大震災を受けて作られた楽曲も存在するものの、あまり話題にはなっておらず、来日公演も何度か敢行しているものの、のちに所属レコード会社による身売り騒動やエイミー・リー(Vo)の出産などでドタバタ劇を繰り広げている。
【BEYOND THE BLACK】
シンフォニックメタルの救世主と言われる若手バンド。ドイツ出身らしくメロディック・パワー・メタル的な要素も持ち合わせている。
【SENTECED】
当初はメロディック・デス・メタルの典型であったが、徐々にゴシックメタル風のサウンドにシフトしていく。クオリティの高いアルバムをリリースし続ける数少ないバンドであったが、2005年に永眠。
【THERION】
北欧スウェーデン出身のシンフォニック・メタル・バンド。当初はブルータル・デス・メタルで、その後メロディック・デス・メタルに変遷し、叙情に荘厳なサウンドを増強させてシンフォニックなへヴィメタルを提示する、と目まぐるしく音楽性が変遷したことでも有名。
【APOCALYPTICA】
1993年にシベリウス音楽院でエイッカ・トッピネン(チェロ)、パーヴヴォ・ロトヨネン(チェロ)、マックス・リリャ(チェロ)、アンテロ・マンニネン(チェロ)の4人が集い、METALLICAのカヴァーを自分たちの得意なチェロで演奏する話が持ち上がって結成された。現在の正式メンバーもまたチェリスト3人とドラマーの計4人という変則的布陣となっている。
【HIM】
通称”ラヴ・メタル”と呼ばれるゴシック・メタル・バンド。まるでハードポップであるかのような聴きやすさが彼らの魅力。
【LOVEX】
バンド名から想起できるようにHIMの典型的なフォロワー。それでいて、彼らはグラムメタルの要素も兼ね添えているところが魅力だといえる。
【TO/DIE/FOR】
大衆的なロックに近いゴシック・サウンドを提示する北欧フィンランド出身バンド。時には母国フィンランドのHIMに通じる箇所も少なくない。
【ELEINE】
北欧スウェーデン出身バンド。日本で開催される<LOUD & METAL MANIA 2017>にて相まみえることとなる。
【SLEEPING ROMANCE】
イタリア出身のシンフォニック・メタル・バンド。イタリア出身としてはLACUNA COILよりも、むしろNIGHTWISHフォロワーに限りなく近い。
…とこのようにシンフォニック・メタル/ゴシック・メタルは切っても切れない深い縁があるのだ。両者の違いは誤解を恐れずに言えばデス・ヴォイスが入っているか否かだけだ、と言っても過言ではないだろう。そういう意味では多様性がありそうで実際には言葉通りの範疇に収まっている、というのが正直なところ。
NIGHTWISHは絶対で、WITHIN TEMPTATIONはそれに次ぐ魅力があると個人的に思うのだが、実際それ以外のバンドの音楽を聴く機会はほとんどなく、特に開拓者のPARADISE LOSTの落ちっぷりは致命的。そういったいきさつもあってか、NIGHTWISHとWITHIN TEMPTATION以外はほとんど知らない、というファンも少なくないのが実情で、日本市場においてHR/HMに占める割合はそれほど大きくない。
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