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メタルコアについて書きたいと思います。この手の音楽の本場はアメリカで、中でもマサチューセッツ州が主流です。
● メタルコアとは
メタルコアとはサブ・ジャンル名通りへヴィメタルとハードコアの要素を組み合わせたものである。ただ、ハードコアとは言ってもへヴィメタルに近いメロディック・ハードコア・バンドにこの要素を取り入れたアーティストが多く、もともとメロディのないハードコアが突然へヴィメタル・バンドに生まれ変わることはほとんどない。
さらに、この手の音楽の源流はメロディック・デス・メタルで、特にIN FLAMESやSOILWORKなどの北欧メロディック・デス・メタルが由来だと言われている。他にARCH ENEMYなどもモダン・へヴィ・サウンドを取り入れてSLIPKNOT型のサウンドを打ち出すことはあったが、その後メタルコアに変遷することはなかった。
● メタルコアの要素を持つ大物アーティスト
IN FLAMES/REROUTE TO REMAIN(2002)
メロディック・デス・メタル・バンドの意識が強いと、この作品が取り上げられる意味の分からない人も少なくないだろう。この作品はSLIPKNOT型のモダン・へヴィ・ロックにメタルコアの要素を混ぜ合わせた作品。
SOILWORK/NATURAL BORN CHAOS(2002)
スウェーデン・ヘルシンボリ出身バンドの通算4作目。メロデスにメロディック・ハード・コア(略してメロコア)にある要素を取り入れて一気にメタルコア・バンドとして彼らの才能が開花する。新たなファン層を開拓することに成功したが、メロデスの意識が強い日本では話題にもならなかった。
AVENGED SEVENFOLD/WAKING THE FALLEN(2003)
メタルコアの要素が強かったアメリカ・カリフォルニア州出身バンドのセカンド・アルバム。初期に近いほどメタルコアの要素が強いが、典型的なメタルコアは本作まで。次作からはデビュー作にもあったメロディック・パワー・メタルのような音楽性を提示することで”アメリカ出身のジャーマンメタル”と呼ばれるようになる。
TRIVIUM/EMBER TO INFERNO(2003)
メタルコアの要素あるスラッシュメタルとして当初はポストMETALLICAと呼ばれた。実際、北欧メロデス風のグロウルに至ってはメタルコア的だが、一方でクリーン・ヴォイスはジェイムズ・ヘッドフィールドによく似ている。
● メタルコアの大物バンド
KILLSWITCH ENGAGE/THE END OF HEARTACHE(2004)
メタルコアの開拓者。本作はメンバーチェンジを経て、メタリック・ハードコアの完成形としての作品である。最も近いのはSOILWORKの『NATURAL BORN CHAOS』で、アメリカ国内では25万枚を売り上げ、ビルボード・チャートにて第21位まで上昇するヒットを記録した。
SHADOWS FALL/OF ONE BLOOD(2000)
ハードコアに北欧メロデスの要素が垣間見える作品。いわゆるメタルコアの黎明期にあるサウンドが提示されていると取ることが出来るが、それだけに重要な作品であるといえよう。
BULLET FOR MY VALENTINE/SCREAM AIM FIRE(2008)
完成度としては次作の方が上だが、メタルコアの旗手としての存在感を示したセカンド・アルバム。BURRN!のブライテスト・ホープに輝いただけあって、楽曲のバラエティが豊かになり、アルバムのメリハリが強化された。
● 後に続くアーティスト
AS I LAY DYING/AN OCEAN BETWEEN US(2007)
KILLSWITCH ENGAGEのアダム・デュトキエヴィッチ(G)をプロデューサーとして迎えた通算4作目。へヴィメタル色が強く打ち出された作品で、本作は全米8位の大ヒットを記録し、グラミー賞の「ベスト・メタル・パフォーマンス」部門にもノミネートされた。2013年5月7日、別居中の妻に対する殺人依頼をしたとしてティム・ランベシス(Vo)が殺人教唆罪により逮捕され、バンドは活動停止状態にある。
ALL THAT REMAINS/OVERCOME(2008)
アメリカ・スプリングフィールド出身バンド。初期はメロディック・デス・メタル・バンドの典型であったが、徐々にメタルコアに移行する。本作はその完成形で、アメリカのビルボード総合チャートにて第16位にランク・インを果たした。
THE AGONIST/LULLABIES FOR THE DORMANT MIND(2009)
カナダ・オンタリオ州トロント出身バンド。現在ARCH ENEMYで活動するアリッサ・ホワイト=グラズ(Vo)が在籍したことでも知られ、もともとファンなだけあって北欧メロデスの要素がそこかしこに感じられる。
● 話題にもならなかったアーティスト
ANTERIOR/THIS AGE OF SILENCE(2007)
イギリスのウェールズで結成されたバンド。おもにIRON MAIDENやMETALLICAなどの要素を持ち合わせており、特にギター・ソロはこの手のジャンルの中でも一級品だとして知られている。
ATREYU/LEAD SAILS PAPER ANCHOR(2007)
バンド名はミヒャエル・エンデ著の『果てしない物語』(のちに『NEVER ENDING STORY』と題して映画化)に出てくる主人公の少年勇者アトレイユから。本作は全米で20万枚を売り上げ、ビルビード・チャート最高第8位を記録したが、話題性は上級メタラーのみに留まった。
DARKEST HOUR/DELIVER US(2007)
アメリカの首都ワシントンD.C.出身バンド。本作はメタルコアの要素に、北欧メロデスにある破壊的要素を織り交ぜている。
SONIC SYNDICATE/LOVE AND OTHEER DISASTERS(2008)
リチャード(Vo)、ロジャー(G)のスンネソン兄弟に、さらに彼らの従弟のロビン(G)を加えた3人を中心として結成されたバンド。本作はサード・アルバムで、メタルコアの要素ある作品として取り上げられており、近年はポップメタルに変遷した。ちなみに、日本では血塗れのえげつないアートワークが敬遠されるためか、日本盤ではメンバーのフォトを載せたアートワークに差し替えられている。
STILL REMAINS/THE SERPENT(2007)
アメリカ・ミシガン州出身バンド。本作はセカンド・アルバムで、他のバンドにはないKeyによるキャッチーなサウンドが魅力。
UNDEROATH/LOST IN THE SOUND OF SEPARATION(2008)
アメリカ・フロリダ州タンパ出身バンドの通算4作目。全米チャート第8位を記録した本作はケオティック・メタルと呼ばれる狂気的なサウンドにメロディアス・パートを織り交ぜている。
UNEARTH/THE MARCH(2008)
ハードコアの聖地マサチューセッツ州出身バンド。雑誌METALHAMMERでIN FLAMESやSOILWORKなどの影響を受けたことを公言し、メタルコアにカテゴライズされるようになる。
このようにメタルコアはその手のジャンルにカテゴライズされるアーティスト数自体が多くないので、人によっては知らないアーティストも少なくないが、魅力のあるアーティストはいくつか存在する。こうしたアーティストについては支持していきたい魅力を放っている。
特に北欧メロディック・デス・メタルから影響を受けているアーティストが多く、メロデスが苦手なのにメタルコアが得意、というファンはほとんど見受けられない。そもそもサウンド自体がへヴィメタルの演奏法を取り入れながら重量感をそれほど出していないアーティストが少なくないため、実際、北欧メロデスが得意な人であれば、メタルコアも得意、というファンがほとんどである。
メロディック・デス・メタルとメタルコアは切っても切れない兄弟のような関係にある縁の深いサブ・ジャンルであることを念頭においてほしい。
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