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ジャーマンメタルとはその名の通り、ドイツ出身のHR/HMバンドのことである。実は、当初からHELLOWEENのようなアーティストは典型的なメロディック・パワー・メタルではないために、1990年にGAMMA RAYのデビューや、ACCEPT、RAGE、RUNNING WILDやGARVE DIGGERらの活躍もあって、ビクター・エンタテインメントの商魂によってこのジャンルが設けられた。
ただ最初からHELLOWEENがジャーマンメタルとして括られたわけではなく、おもなキッカケは先述のように1990年にデビューしたGAMMA RAYに端を発するACCEPT、RAGE、GARVE DIGGERらの「ジャーマン・メタル・キャンペーン」がビクター・エンタテインメントによって始められたことであった。
よってメロディック・パワー・メタルというのは、実は後付けでサブ・ジャンルとして誕生したものであり、その理由はANGRAやSTRATOVARIUSなどもともとドイツ出身ではないアーティストが次々にデビューしたからであった(1990年代当時)。それまでは「ジャーマンメタル = メロディック・パワー・メタル」という解釈もあったが、今現在ではハッキリと括ることが不可能である。さらに言うと「最初からジャーマンメタルに括られなかったHELLOWEENはこの限りではない」とする説が最有力となっており、メンバー・チェンジとコミカルなメロディを追求した結果から、正統派やスラッシュメタルなどの80年代メタルとはかなり距離のあるサウンドを展開しているため、このジャンルにHELLOWEENは入っていない。
【GAMMA RAY】
ドイツ・ハンブルグ出身バンド。元HELLOWEENのカイ・ハンセン(Vo&G)が起ち上げたバンドなだけに、常に注目度は高い。ただ単にメロディック・パワー・メタルだからといってHELLOWEENと同じ音楽を提示しているわけではなく、近年はIRON MAIDENやJUDAS PRIESTなど、実はHELLOWEENのデビュー前の方向性のサウンドを提示している。
【BLIND GUARDIAN】
ドイツ・クレーフェルド出身にして欧州孤高の代表格。メロディック・スラッシュ・メタルから始まって、メロディック・パワー・メタル〜シンフォニック・エピック・メタルへと音楽性を変遷させた。現在は同郷のEDGUYと並んで、ドイツで最も人気のあるアーティストである。
【STORMWITCH】
B級どころかC級の極み溢れる疾走感を伴って爆走するメロディック・パワー・メタル・バンド。90年代HR/HMマニアの間ではわりと有名。
【HEAVENS GATE】
のちに敏腕プロデユーサーとしてその名が知られることになるサシャ・ピート(G)が起ち上げたバンド。サシャ・ピート(G)はベースとキーボードもこなせるマルチ・プレイヤーでありながら、トビアス・サメット(Vo:EDGUY)率いるAVANTASIAにも積極的に参加している。
【AXXIS】
ハードロックの要素あるメロディック・パワー・メタル・バンド。楽曲によってHELOOWEENらしさがほんのり漂っている。
【ACCEPT】
ドイツの英雄SCORPIONSと共に、常にドイツのHR/HMシーンをリードしてきたバンド。HELLOWEENとは一線を画す正統派へヴィメタルであるが、楽曲によってはメロディック・パワー・メタルに近い疾走感を伴っているので、以前はメロディック・パワー・メタルの源流に挙げるファンも実際に存在した。
【RAGE】
HELLOWEENやRUNNING WILDらと共にジャーマン・メタル・ブームを築いた老舗バンド。マンニ・シュミット(G)在籍時には変則的なメロディを提示したり、後任のヴィクター・スモールスキ(G)による造詣深いクラシック音楽の導入など、他のバンドには決してマネできない魅力を兼ね添えている。
【RUNNING WILD】
海賊風のコスチュームに身を包み、ヴァイキング風の歌詞コンセプトと男気溢れる正統派サウンドでファンを魅了するバンド。2009年にいったん解散したものの、2011年に再結成を果たし、復活した。
【U.D.O】
ACCEPTを脱退したウド・ダークシュナイダー(Vo)を中心とする正統派メタルバンド。この当時すでに音楽性の変遷があからさまだった本家に対し、彼らは初期ACCEPTにあるようなサウンドを提示した。
【STEELER】
アクセル・ルディ・ペル(G)率いるドイツ出身バンド(イングヴェイ・マルムスティーンが在籍したネオクラ系バンドと同名であるものの、異なるアーティスト)。音楽性は80年代のドイツにあった正統派HR/HMで、大いにファンを魅了した。
【AXEL RUDI PELL】
STEELERを解散させたアクセル・ルディ・ペル(G)率いるソロ・バンド。音楽性はSTEELERの流れを汲む正統的なHR/HMで、よりパワー・メタルの色合いが強い。
【WARLOCK】
女性Voのドロ・ペッシュを擁する正統派へヴィメタルバンド。当時は女性が正統派へヴィメタルを歌うこと自体が珍しかったため、ファンの度肝を抜いた。 【GRAVE DIGGER】
ドイツ出身の古豪。ジャーマン・パワー・メタルと呼ばれた世代にあってエピックメタルの要素ある独特の正統派サウンドでファンを魅了している。 【SINNER】
のちにラルフ・シーパースと共にPRIMAL FEARを起ち上げるマット・シナー(Vo&B)率いる正統派ハード・ロック・バンド。へヴィメタルのPRIMAL FEARに対し、ハードロックの彼らは8ビートでリズミカルなサウンドを提示する。
【THUNDERHEAD】
テッド・ブレット(Vo)が中心となって結成されたバンド。のちにPRIMAL FEARに加入するへニー・ウォルター(G)が在籍したことでも知られているが、商業的には恵まれなかった。1999年にいったん解散した後、中心人物のテッド・ブレット(Vo)がメンバーを全員入れ替えて再結成している。
【PINK CREAM 69】
ドイツ出身でありながらHELLOWEENとは一線を画す魅力のあるメロディアス・ハード・ロック・サウンドでファンを魅了する。初期メンバーのアンディ・デリス(Vo)はのちにHELLOWEENに加入した。
【ALMANAC】
元RAGEのヴィクタースモールスキ(G)率いるドイツ出身の正統派へヴィメタル/シンフォニック・パワー・メタル・バンド。旧ソヴィエト連邦にして現ベラルーシ・ミンスクで生まれ育っただけに、クラシック音楽の造詣も深いヴィクター・スモールスキ(大学ではギター、作曲、編曲の学士号を取得)が作り上げるサウンドは、彼の前バンドであるRAGEのクラシカルな面が強調されている。
【PANZER】
DESTRUCTIONのシュミーア(Vo&G)、HAMMERFALLのポンタス・ノルグレン(G)、元ACCEPTのステファン・シュヴァルツマン(Dr)を中心に結成されたスラッシュ気味のアツアツの正統的なパワー・メタル・バンド。バンド名はドイツ語で「戦車」という意味。有名人が集っただけに演奏面は問題なし。
このようにジャーマンメタルはドイツ出身である以外は、音楽性がほとんど一致していない。むしろ1980年代から活躍しているアーティストが多く、今現在でも世界的に有名になって精力的に活動を続けているバンドも少なくない。90年代HR/HMマニアにとっては魅力的なアーティストばかりだ。
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