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人手不足を錦の御旗に、日本人はいつまで働き続けなければならないのか。政府・未来投資会議で成長戦略の素案を作成した。それによると、年金原資の先細りもあって、70歳まで働き続ける場を確保することが盛り込まれた。そして企業の努力義務として、定年廃止や定年延長、他企業への再就職、企業支援などの選択肢を示した。
定年延長に関しては、今春日本郵政グループや日本製鉄、三井住友銀行などが定年を65歳に伸ばした。けれども、これまでも希望者は契約社員として65歳まで雇われるケーズは多くあり、制度的にそんなに大きな変化ではない。問題はそこにはない。体力的に健康な人が給料がダウンしても、少し労働時間を減っても元気な間は働くという気持ちがあればよいのである。しかるに、たくさん賃金をもらえば、同時に年金給付を受ければ、賃金にかかる税金が増えるか、もしくは年金の減額が待ち構えている。そして、そんな人たちには労働よりも休暇を求める傾向もあったのである。
どうしてもお金が欲しい人には、つまり生活費を必要としている人には、そして多分大多数の人々には、老後の生活不安を理由に働き続けることが、なかば強制されているような風潮がある。それらの人たちにはおよそ従来かかわっていた業務とはかけ離れた仕事が割り振られているため、労働は苦痛であるという思いがなくならないのではなかろうか。
もちろん、培ってきた技術や知識を活用し、好きな仕事を続けられている人も少なくないだろうが、多くの人が明日の生活費を稼ぐ目的で働いている現状は否定できないだろう。
この10月には消費税が10%になる。しかもテイクアウトとその場で食する場合とでは8%と10%という二重税率となる予定である。軽減税率を導入するならば、明確に国民が混乱しない方向を選択しなければならないのに、わざわざ混乱を引き起こす制度にすることに何の意味があるのかわからない。
社会保障制度の財源として利用されるはずだった増税分は、教育の無償化に使われることになり、ここでも恣意的な無目的な散財ともいうべき政府の無策がある。
日本国民は税金を払うことを嫌がる傾向にあるが、それは税金が何に使われるかわからない。自分が払った税金で何の恩恵を受けられるのかわからない、という強い思いがあるからである。高負担高福祉が実感できるならば、納税はいとわない。年金の給付年齢が下がっても文句は言わない。行政の恩恵を被っていると感じるところが少ないから、税金はできうるならば払いたくない。それが正直な思いなのである。
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