夜型生活者の呟き

江古田潤の、コピーライター&ゴーストライターの無為な一行。近著「屁理屈屋」。

小話

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がらにもなく、小説もどきのものを友人にプレゼントしたことがありまして、それの再焼き直し版をアップいたします。感想をお寄せいただけると飛び上がって喜びます、たぶん。
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消息





マアジャン打ち外伝 〜消息



 深夜三時。ぼくたちは『ちよ』に舞い戻った。
 村田がニタニタ笑いを浮かべ、
「マスターが(連行される前に)こっそり、
 俺のポケットに押し込んでいったんだ」
 と、店のドアキーを挿し込んだのだった。
  
 とはいえ、その後も2着3着が多く、トップは2回だけ。
 結果としては一万円をちょっと欠ける程度にしかならなかった。
 よし、明日だ。
 明日は必ず連勝して2万円かせいでやる。
  
 ぼくはそう思い、朝もやの中、帰宅することになり、
 そして。

 次の日。
 また膠着状態のなか必死で深夜まで対局していると、
「こらぁっっ」。
 昨日の刑事が入り口に立っていた。
「まったく昨日、言われたばかりなのにお前たちはっ」

 ぼくは『あーあ』と声をかくして、牌を投げ捨てる。
 その後、由貴に電話することもなかったし、
 会ってもいない。
 彼との関係がどうなったのかも分からずじまいだ。

 北風がびゅうとなり、警察署からすぐ出てこれたのは、
 ぼくが未成年だからだった。
 以降、みんながどこで遊んでいるのか、定かではない。

                           



(了)
 
 


 
 

警察




マアジャン打ち外伝  〜警察





 刑事は3名、居た。ぞろぞろと店内に入ってきて、
「はい、ゲームやめて。手はそのまま、そのまま」
 を連呼する。
 
 結局、村田は現役高校生ということで、お説教にあい、
 ぼくらはと言うと、何時ごろからやっていたのか、
 いつもはどう生活しているのかを調書に取られた。
 
 ところが。
 三笠ちゃんだけ、再犯だったらしく警察署に連れていかれることに。
「大丈夫、ヨンパチ(警察で拘留できる期限。検察が拘置請求しないかぎり
 この48時間で釈放される)打たれて、おしまいだから」
 にたり、と三笠ちゃんは笑ってそういった。

「はい、解散、解散。未成年者は早く帰宅すること」
 灰色のブルゾンを着た刑事はそう宣言すると、
 マスターと三笠ちゃんを連れて出て行った。

「な、どうする、今夜。まだ1時過ぎだぜ」
「ちょいと時間、潰してから『ちよ』に戻りましょうよ。
朝までやるでしょ? 北野さん」
 ぼくの問いかけに村田は平気でこう言い放った。
 
 森本も同様のニヤニヤ笑いを浮かべている。
「そうだな、深夜のゲーム喫茶でも行ってから、戻ろうぜ」
 ぼくも異論はなかった。
 由貴に頼まれた金額には、まだぜんぜん届いていない。

刑事







マアジャン打ち外伝 〜刑事来訪








 まったく。
 今日三度目の舌打ちをしながら、
 トントンと階段を上がり、ぼくは「ちよ」に入店した。
 二万円・・・。トップ十回分だ。
 テン5、つまり千点五十円の「ちよ」ではそんな計算になる。
 
 ぼくは気合いをいれて卓に着いた。
 メンバーは三笠ちゃん、村田、森本、ぼく。
 配牌はそこそこ。タンピン系で堅実に行く。
 その初戦は二着で終わったが、二局目でトップ。

 その後、二着トップ三着と堅実に稼ぎながら、
 今の稼ぎ総額を数えていた。まだ五千円程度だ。
 通常なら十分だったが、由貴のことを思うと・・・。
 もう一勝負する気で卓に残る。と。

 「はい、皆さん手を置いて。そのまま動かないように」
 店のドアを開け、灰色のブルゾンを着た男が立っていた。
 「練馬警察です。責任者はどなたですか」
 「ポン」
 この店のメインメンバーである三笠ちゃんは、
 かまわず打っている。
 「あ、私ですが・・・」
 マスターがおずおずと声に出した。
 「今、何時だと思っているんです。深夜一時過ぎ。風営法違反です」
 刑事さんなのだろう、男は店内を見渡しながら大声を出した。


 
 

摘発






 マアジャン打ち外伝〜摘発




 まったく。
 そうボヤきながら、ぼくは歩いていた。
 当時、流行りだったスリムのジーンズ、焦げ茶の皮ジャン。
 バレンタインの前日だというのに、ぼくの言葉は呪詛だらけだった。

 どうしてもお金が欲しいの。

 そう可愛らしい声で森田由貴は私にお願いしてきた。

 彼氏がね、別の女の子を妊娠させちゃって・・・。
 好きな人の子供が他の女の体の中にいるなんて、私、許せなくて。
 
 ようは浮気した彼氏の尻拭いにカンパを集めているらしい。

 まったく。
 再びぼくはそうボヤく。
 男女の恋愛のもつれなんて、当事者同士で解決することだろ、
 第三者のぼくには関係ないし、法的根拠もない。

 高校中退でも、独学で齧った法律知識をぼくは復唱していた。
なんでそんな金を貸さなきゃならないんだっつうの。
 呟きながらも毎日のようにぼくは歩いていく。
 麻雀荘「ちよ」はすぐそこだった。

 だって。
 と森田由貴は言った。
 「カンパ集まったけれど、あと2万円、足りないんだもん」
中学2年のとき同級生だった彼女は、
 学校のミスコンで優勝するほど可愛い顔の持ち主だった。

 「あといくら、足りないんだ?」
「そうね」
  由貴は、小さく尖った小鼻をぼくに見せながら首をかしげる。
 「2万円でいいと思う、北野君に頼むの」
 「2万円?」
高校中退したぼくでも、当時、かなりの高額だった。
 セブンスターが170円だった時代である。
 現役高校生である彼女にとっては、
 それこそ、仕事をしている過去の同級生である、
 私に頼むしかなかったのだろう。

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