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【書評】 最後の恋

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この手の本には手を出してはいけないといつも思いつつまた買ってしまった。

「最後の恋」しかも副題は「つまり、自分史上最高の恋」だよ。そしてやっぱり買わなきゃよかったと後悔している。まっブックオフで中古で買ったから傷は浅かったのだが。

出版社もこういう風に煽るのもうやめてほしいんだよね。ホント。でも買ったお前も馬鹿だろうと言われればそれまでなんだが。

まず最初が三浦しをんの「春太の毎日」 これがあなたの最高の恋? お願いしますよってな感じでもう此処で萎えてしまった。こんな副題に期待したお前が馬鹿なんだと言い聞かせながらも。

でも考えてみたらこういうのはJ−POPのアルバムと同じで最初から最後まで同じテンションじゃ聞くほうも疲れるってことで最初の2〜3曲は肩慣らしみたいなところはある。この本で言えば最初(三浦しをん「春太の毎日」)はちょっと軽い調子でジャブで出して2曲目(谷村志穂「ヒトリシズカ」)はバラード調で少し落ち着かせ3曲目(阿川佐和子「海辺食堂の姉妹」)は当たり障りのないので適当にごまかして・・・・

でも此処まで帯や副題で訴えるならもう少し良心に従っていいもの出してよねと返す返す思った。

アルバムで言えば一番盛り上がる最後から3曲目、2曲目は松尾由美「わたしは鏡」と乃南アサ「キープ」。これはさすがに新潮文庫も慎重に考えたのか(笑)なかなかいい作品を持ってきたようだ。ちょっと機嫌が直る。

そして最後は角田光代「おかえりなさい」でクールダウンって感じ。これって作者にとって史上最高の恋とどういう関係があるのだろうか?

もう二度とあんな宣伝文句には乗せられないぞと思いいつつも乃南アサの「キープ」は良かったと改めて思った。昔の恋に縛られてそれ以降の人生狭めちゃうってあると思う。そこから這い出すには時間を掛けるか大きく発想が転換するようなショック療法かが必要なんじゃないだろうか。それだけでも収穫だったと思うことにした。

名前も作品名も出さなかった作者に特に悪気はない。念のため。
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タイトルからするとかなり過激な話かと思いきや・・・

主人公の奈月。青山の高級娼館で娼婦をやっている友人の麻木子。そして奈月も娼館で働くことに。
娼館のマダム、塔子は奈月に「恋はご法度」という戒めを課す。
麻木子は娼館での事件がきっかけで自殺するが、麻木子の死後、不倫相手だった川端は麻木子の自殺の本当の理由を知るために娼館の会員になり奈月に近づく。

川端と奈月は恋愛関係とは異なった次元でやがて結ばれるのだが、「恋をしてはいけない」という制限があれば恋をしたくなるのが人情。本人はそうではないと思っていても。それが恋であり、愛であり、性であり、生。

なんでもありという状況の中でよりも制約があればあるほど燃え上がるのが恋というものであろう。そのほうが感覚も鋭くなるし官能度も高くなるのだ。

この作品を読んでいて思い出したのは川端康成の「眠れる美女」。究極の制約の中でこそ究極の執着が生まれるのだろう。

余談だが文中での一シーン。キャンティの赤ワインを注文したとあるがキャンティはそもそも赤ワインでありキャンティの白はない。多分この手のずれたディテールが結構あるんだろうなと思いながら読んだ。
しゃれた感じを出そうとしてディテールにこだわるならもう少しちゃんと調べて書いてほしい。

あとは巻きスカートって「いけてる」女性のアイテムのつもりで他の作品にも出てくるんだけど、これって本当にいけてるの?個人的な趣味で言わせてもらえば、ぜんぜんいけてないんだけど。
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う〜ん、なんて言えばいいんだろう。なんとなく石田衣良っぽくないというか。

携帯の出会い系でサクラのバイトしているジュリアと物質的には満たされた生活なのに心がまったく満たされていないスミオの出会いと恋。そして二人は心も身体もその恋に捧げることになる。

ストーリとしてはたしかにこういう結末はあると思う、今の世の中なら。

当事者にとって何がハッピーかというのはあるが、全てがハッピーみたいな終わり方ならリアリティーはないかもしれない。しかしどうせならそういう終わり方でもいいんじゃないのと思ったりもした。

出会い系、派遣切り、就活(シューカツ)、多重債務、格差といった社会現象をまずはじめに設定してから無理やり作ったような、技巧が先走っている印象。それに「池袋シリーズ」や「フォーティーン」や「眠れぬ真珠」と表現方法や文体が大きく変わっている訳でもないのになんだかすごく稚拙な文章に感じてしまう。特に同じ恋愛小説でも「眠れぬ真珠」の方が文章の成熟度ははるかに高いのではないだろうか。それが題材の所為なのか他の理由なのか良く判らないんだけど。

「これって本当に彼が書いたのかな〜」ていう違和感は今でも残ってる。
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キャリア・ウーマンなんて言葉はもう死語かもしれないが、そんな30過ぎて仕事をバリバリこなしている女性の悲喜交々喜怒哀楽を描いた5編からなる短編集。

奥田英朗の人物描写にはユーモアがたっぷりで角が丸い。とがってないのである。僕は勝手に「人物の奥田英朗、場所の石田衣良」なんて言っているが彼の書く登場人物どことなくほのぼのとしていて優しい気持ちになってしまう。

女性にとって30が大きな区切りになるのって日本では顕著なんだけどアメリカってそうでもないよなとか思いながら読んでた。でなきゃ「セックス・アンド・ザ・シティ」があんなに受けないだろうし「ゴシップ・ガール」の独壇場になっちゃうよね。向こうじゃ、中年のかっこいい女性が心の其処から受け入れられる価値観みたいなものが確立されてるんでしょうね。年とかじゃなくて何ができるのかとかそういうほうが重いんだと思う。でも個人的にはサラ・ジェシカ・パーカーとか結構痛い(背も小さいし、ガリガリだし、若いハリツヤないのに其処で一生懸命勝負しているみたいな・・・失礼)けど。

おばさん・・・若作り・・・なんて殺傷力のある言葉・・・作者の言葉使いだけでも結構笑えます。
嬌声と派手な服装と能天気な快活さだけで生きていける時が過ぎると自分のポジションをどこに置くかでいろんな悩みが出てくるんでしょうね。結局は、一歩横に避けて謙って自分の立ち位置を見ることができると、そこに幸せな生き方があるんだよね。

本書のタイトルにもなっている第三篇のガール、安室奈美恵の「GIRL TALK」なんか聞きながら読むと雰囲気ぴったり。

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「私は今も折に触れ一人の男のことを思い出す。彼の名は渚。」
で始まり、

「私は渚と共に無垢なまなざしで世界を見つめるという豊饒の時間を味わった。」
「これに代わる幸福があっただろうか。」
で終わる、20数年前の無垢で官能的で没我的な恋の回想。

男のエロスを象徴するような存在、渚。その男に全てをゆだねる玲奈。

その恋に玲奈は無垢に溺れていく。溶けていく。何もかも。からだも言葉も理性も時間も今自分たちのいる空間でさえ・・・・と感じながら。

身に覚えのある人も少なからずいると思うが、かつて身も心も投げ出して嵌り込んだ恋は、そしてそれが非日常的であればあるほど、いつまでたっても心の中で活き活きと脈打っているということだろう。

ハナブサ・リュウの写真と小池真理子の小説がそれぞれの作品の頽廃、エロス、官能をさらに高めあう効果的な演出。

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