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http://25.tok2.com/home/hanahanahana/sisiriaano.mp3 曲名シシリアーノ 【北村美奈さんのNYでのコンサート【NYフィルハーモニックのコントラバス/NYシティオペラのビオラ/のトリオ】 ニューヨークのハーバードのOB会の演奏 ジョセフィーヌは、イタリア中部の田舎に生まれた。 春になって、ゆるやかな丘に新芽をつけた糸杉の細長いまるい樹形が 風に揺れて太陽の光線できらきらと光っている。 ところどころに点在する赤瓦屋根の家が緑色の田園風景にきわだっている。 オリーブ林とブドウ畑が続く道を彼女は、母が使っていた古いヴァイオリンと 楽譜の入ったバッグを抱えて足早に歩いている。 その道は、ジョセフィーヌが町の音楽学校へ通う道である。 ジョセフィーヌは、十八才。 彼女は子供の頃から音楽が好きであった。 ヴァイオリンを初めて手にしたのは、五才の頃であった。 母が音楽の教師であったために、小さい頃から手ほどきを受けた。 母のヴァイオリンを譲り受けたのは、八年前である。 そのヴァイオリンは、母が大切にしていたもので、ジョセフィーヌが 子供用のヴァイオリンから母のヴァイオリンに変えたのは、彼女が十才の頃で ある。ジョセフィーヌの母は、彼女が十才の頃に病死をしてしまったのだ。 父親は皮工芸の職人である。ジョセフィーヌは、父の希望である町の音楽学校 にこの春から通うことになった。父と二人暮らしの日々は八年目をむかえている。母のいない生活は、ジョセフィーヌの人生にとって大きな打撃となった。 彼女は、母の愛情に満ちた笑顔を毎日おまもりのように心に抱きながら過ごしてきた。 父親は、朝早くから夜まで町の工房で働いている。 ジョセフィーヌは家では、たいてい読書をするか、家の仕事をしている。 もちろんヴァイオリンを弾くのは日課のことである。 母はバラが好きな人だった。家の庭には、つるバラと木バラが見事に茂っている。その世話をするのはジョセフィーヌの楽しみである。 坂道が続く城壁の町、アッシジは石造りの建物が並んでいる。 ピンク色の石を使った建物に太陽が照ると、あたりをあたたかくつつむ。 ジョセフィーヌは、週末にはレストランで働いている。それでも学費には充分 ではない。ジョセフィーヌは、学校からまっすぐ叔母の家に寄って、父親の皮工房に立ち寄る。叔母は、ジョセフィーヌの母親の姉だ。叔母は昔から家の一階に小さいカフェを経営し、二階を住まいにしている。叔母のカフェは、学校からジョセフィーヌの足で十分のところにあり、彼女は昼食はそこで済ます。叔母は世話好きでとても明るく、母親の不在を不憫に思い、ジョセフィーヌの小さい頃からなにかと気を遣ってくれている。ジョセフィーヌが母親の不在の辛さを癒してくれたのも叔母の愛情に助けられた。叔母は彼女の母親とはまたちょっと違い、とても大らかで何ごとも笑い飛ばすような人だった。敬虔なクリスチャンでもあった。夕方、ジョセフィーヌがカフェに顔を出すと、叔母はサンドイッチとカフェの入った魔法瓶を渡してくれる。ジョセフィーヌは、そこで夕食を食べ、夜遅くまで働く父親にその包みを届けるのだ。 【みなさまへのお願いです】 これは【手動】にしております。上の音楽と重なるからです。 どうぞ、▲で再生してください。よろしくお願いします。 http://25.tok2.com/home/hanahanahana/mina1.mp3 曲名Stravinskyが「Pucinella」で書いた曲 【北村美奈さんのNYでのコンサート【NYフィルハーモニックのコントラバス/NYシティオペラのビオラ/のトリオ】 ニューヨークのハーバードのOB会の演奏 ジョセフィーヌは、音楽学校を出たら試験を受けてどこかの管弦楽団に入るのが夢である。もちろん、自分の気に入ったヴァイオリンを購入することも。しかし今の彼女には、それは夢である。ジョセフィーヌが母から譲り受けたヴァイオリンは、母が若いころ祖父から買ってもらったというヴァイオリン。あたたかい音色を出してくれてはいるが、ジョセフィーヌが十三才の頃に友人と遊びに行ったクレモナの楽器屋で、手にして弾いたヴァイオリンの音色が忘れられない。それは、ジョセフィーヌの体にぴたりときた。顎と肩からのライン、そして左手の感触はジョセフィーヌの心を虜にした。 「まるでわたしのためのヴァイオリンね…」と彼女がつぶやくと、そのヴァイオリン職人は、にこりとして、「そうだろうね。その楽器は僕が初めていい音色に仕上がったと思ったヴァイオリンだよ」と、満足そうに笑った。 ジョセフィーヌは、思わず、「私が大人になって、お金持ちになったら、このヴァイオリンを買うわ。ここにお店の名前とおじさんの名前をメモしてくれる」とはしゃいだ。すると、おじさんは、真面目に「いいよ」と言いながら名刺を差し出した。 そして「君の名前は」と尋ねた。 「ジョセフィーヌ」 「いい名前だ」 「では、ジョセフィーヌ、僕に一曲このヴァイオリンでなにかを弾いてくれるかい」と彼女にそのヴァイオリンを差し出した。 ジョセフィーヌは、そのとき、まるで自分が大勢の観客の前で弾くような気持ちになった。彼女は、ちょっと気取っておじさんの前でかわいくお辞儀をした。そして、ゆっくりヴァイオリンを構え弾き出した。 母が大好きだった、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第五番K.219、アダージョ。 ヴァイオリン職人は、ジョセフィーヌが弾き終わって、大きな拍手をしてくれた。 「上手い。君はいい音色を出すね。ヴァイオリンを愛している。きっとこのヴァイオリンはジョセフィーヌのためにいい音を出すことだろう。僕は誰もこのヴァイオリンを買わないように奥にしまっておくことにするよ」と言った。 ジョセフィーヌは、「ほんとうなの」と笑った。 彼は、真面目な顔をして「ほんとうだよ」と肯いた。 そのときから、その名刺は、ジョセフィーヌの宝になった。 クレモナ。 それから五年。そのヴァイオリン職人は、いま元気でいるのかな…。そして、あのヴァイオリンは、どうなっただろうと、ジョセフィーヌを思いを馳せることがある。そう思うと、いつもヴァイオリンを弾く弓が踊った。 【瑠璃子のメモ】 北村美奈さんのカーネギーホールでのデビューコンサートの音楽は到着しておりますが、まず、ニューヨークのハーバードのOB会の演奏曲でこの紙面を作らせていただきました。次回に、美奈さんのフルートソロでお楽しみください。感謝 良き春の日をお過ごし下さいませ。 感謝★瑠璃子 転用不可
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