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僕はFifth Avenueをねぐらにしている。 エンパイアー・ステイトビルのビルの周辺に僕の仲間も沢山いるのでおしゃべりには事欠かない。 食事はファストフードのお店が増えたので、なかなか快適だ。 それに、マジスン・アベニューに住む歯医者のマッケンジーは僕のために毎朝、窓の外に食事を毎日置いてくれている。それはパン屋に勤めている彼女がマッケンジーを訪ねて来た翌朝が豪華だ。そのパンを僕たち仲間も楽しみにしているんだ。クロワッサンもあれば、チーズ入りのフランスパンやコーンの入ったパンもある。 僕とマッケンジーとの出会いは、去年の春だった。 彼の姪がうっかり窓から紫色の風船を飛ばしたんだ。まだちっちゃい女の子さ。僕はその時、その周辺にいて、女の子が飛ばした風船の紐をくわえてその窓に持っていってあげたんだ。その女の子はもちろんとても喜んでくれた。 その時にその女の子を抱っこしていたのがマッケンジーさ。 彼はこう言った「賢い鳩だ。ありがとう。僕は君に恩返しをしたいが…、 さあ、なにがいいかな? 鳩か…。餌がいいね」 僕はその時、心のなかでこう思った「僕は言葉だけの人間さまのことをあまり信用しないが、もし君が本当にそうするなら、僕は人間を見直すよ」 マッケンジーとはその時からの付き合いさ。 さっそく彼は、僕に毎朝食べ物を窓の外に置くようになった。 ほとんどが彼の前の晩の夕食のレフトオーバーだった。パンプキンパイや、キッシュ、寿司、ローストチキン、マフィン。その日によって当たり外れがあった。僕たちは、彼は鳩のことは何も知らないと苦笑した。 この春には、マッケンジーに彼女ができた。 それから僕と僕の仲間は、朝食をマッケンジーの窓の外のテーブルですることにしている。彼の彼女は、フィフスアベニューでも有名なパン屋の売り子をしているんだ。だから、お店が終わったら、売れ残りのパンを沢山もらってマッケンジーを訪ねる。僕たちはそれを楽しみに上から見ている。 今日も彼女はパンを入れた大きな袋を抱えて、彼のアパートNOを押した。 彼女は、赤いカーディガンに白いシャツ、ジーンズ姿でポニーテイルのブロンドの髪を揺らしていた。石の階段の五段を急いで駆け上がったからだ。 彼女の名前は、セイラ。 なかなか、マッケンジーは親切で気が利いている。 彼女と一緒にお部屋を出ていくのだけど、パンを僕たちにあげていることをさとられないように、何かを忘れたふりをして、階段を三段下りたところで部屋に戻ってくるんだ。そして、窓を急いで開けて僕たちに口笛を吹く。 セイラが来ない日は、僕たちはパンがない。だからマッケンジーは、夕食の残りのチャイニーズフードやスパゲティーを置いている。タバスコのかかったやつをね・・・。僕たちは辛いものが苦手だ。 僕たちはマッケンジーのことはたいてい知っている。 彼は、いつも7時にアパートに戻って来る。 ドアを開けて、まず最初にシャワー室に入る。それが長いんだ。そしてバスローブを来てソファーにねっころがる。しばらくジャズを聴いているが、ゆっくり起き上がりコーヒーを沸かし、それを飲みながら夕刊を読む。 彼は野球が好きで四月の上旬は大変だった。彼はいままでに三度も僕たちへの朝食を忘れた。彼はヤンキーズファンで、スタジアムに行く日は僕たちのことを忘れる。うっかりするんだ。
でも、そういう時にも僕たちは行き場所がある。ファーストフードのお店の裏に行けばたんまり食料はあるのだから、そんなに困ることはないんだ。
マッケンジーは、土曜日の夕方から両親の家に帰る。だから、日曜日の朝は僕たちはマッケンジーのところに行かない。それから夕方から読書に夢中になるときも。彼は朝まで本を読んでいて、朝方になって眠ることがある。その時は僕たちの食事を忘れる。遅刻寸前で、大慌てでアパートを出るんだ。まったくなってない。 僕たちの仲間はNYに住みついて一年になる。 僕たちの前のすみかはアッパーイーストサイドだった。 空から下を眺めていると、人間の動きがとてもよくわかる。 僕がマッケンジーと同じ言葉を話せたら、たくさんのことを彼に教えてあげたい。しかし、教えてあげても、彼はたぶん理解できないことだろう。 たとえば、彼のいつも行くキヨスクの前で立ち話をするジョアンナが何を考えているかを、僕たちのほうがよくわかっている。 一日中空の上から眺めているとね…。 ともかく、マッケンジーは、誠実な男だ。僕たちは彼と来年はさよならするけど、僕たちの信頼できる人間のリストに彼は記録されることになるだろう。 瑠璃子のメモ 【曲のご紹介】 One step ahead of you 吉田次郎★メイド・イン・ニューヨークCDより。 Jiro Yoshida*electric&acoustic(nylon)guitar Andy Ezrin*acoustic piano Matt Garrison*electric bass Gene Lake*drums Ole Mathisen*tenor sax 吉田次郎HP 訪問コメントが少し遅れるかもしれません。どうぞ宜しくお願いします。 良き春の日をお過ごし下さいませ。 感謝★瑠璃子 転用不可
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