笠原瑠璃子の真骨頂なつぶやきダイアリー

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エッセイ

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はぐれ鳥たちの所感

 
 最初から景気の悪い話で申し訳ないが、
なんだか最近ぱっとした話を聞かない。
 友人同士で集まる機会があると、必ず
でる話は、仕事が減ったとか、収入が減
ったとか、そんな元気のない話題になっ
ている。
 ごたぶんにもれず、私もサマーバケー
ションというものはなかった。
 考えてみれば昔は景気がよかった。友
人のほとんどが海外旅行をしていて、フ
ットワークも軽かった。ところがだ。最
近の話題は、老後の経済的心配だ。
「働けるだけ働くしかないわよ」「有料
の老人ホームは、相当お金がないといけ
ないわよ」と、そんなことをワインでも
飲みながら面々につい口走っていて、顔
を見合わせて苦笑いをするしかな
くなってしまう。
 それも、卒業をしてから仕事をばりば
りやってきたと自負している、キャリア
ウーマン(この言葉も死語か…)たちの
目はまだまだ鋭いがしょぼくれた表情を
見ると、「ちょっと、ちょっとぉ、そう
いう話しかないの? 早すぎるわよ〜」
と、ため息がでる。
 現代は、男も女も生きにくい世の中な
のだろう。ついにか…。いけいけどんど
んももう終わったと思ってしまう。それ
どころか、私沈没の話から派生して、日
本沈没の話まで・・。
 友人の一人が事情があって前の職場を
退職した。しばらく休養をとっていたが、
英気を養ったのかまた再就職に挑戦して
いる。
 それがだ、励ますどころか、彼女の言
葉につい沈黙しているのに気が付く。女
性がゼロからスタートするとすればなか
なか思うようにはいかないのだ。
「仕方ない。自給千円弱でも遊んでいる
わけにはいかないもん」という、某社キ
ャリア組の彼女。
 実際そうだ。遊んでいるわけにはいか
ないし、どうにかしなくちゃと、誰しも
思っている。
 このどうにかしなくちゃは、人それぞ
れあると思う。自分の時間を増やして少
しは自分のために時間を使いたい。今ま
で成し遂げたいと思っていたことをがん
ばりたい。もうちょっと楽になりたい…。
 しかし、それもこれも基本的な生活が
あってからこそだ。
 この基本的な生活と生活がきちんとで
きる経済生活がなければそういう余裕と
いうものがでてこない。
 いわゆる「基本的経済生活の保障」と
いうのがミソなのである。なにもせずに
基本的な「衣食住」ができるという心配
のない生活のことである。 
「なんと言ってもこの世は金」という口
癖の友人がいる。つい一昔までは、「そ
うだよねえ…」と言いながらも、そんな
にずしりとはこなかったが、やはり経済
的に不安も覚える今日このごろだ。
 家に帰って書庫からひところ前にヒッ
トしたカレル・ヴァン・ウォルフレン著
書の人間を幸福にしないぺけぺけという
システムというのを真剣に読んだ。
 なんだか身につまされる。人の人生は、
来年はこれよりもっとよくなるだろう。
いやよくなるさ、よくなろうとがんばっ
ていけばどうにかなるさだが、能天気で
はやっていけない。
 外に出ると、秋風が吹き薄ら寒い気分
になったが、若い人たちの集団にあって
また気分が揺らいだ。
 マタニティーだ。小耳に挟んだ話は、
どうやらどこでお産をするという情報交
換のようだった。

「メニュー見たの?」
「それだったらFのほうがもっと豪華。
デザートも注文できるのよ」
 
 やっぱりか…。
 最近のことだが、しばらく会っていな
かった産婦人科に嫁いだ友人が言ってい
たっけ。今は産婦人科も大変なのよ、食
事のメニューをフランス料理にしたり、
ケーキを焼いたり、病室を夢のある部屋
にする…。淡いピンクを使ったりふりふ
りのレースのカーテンにしなければ・・。
 そうそう。家族でステイできるような
部屋を作るところもあるし、ホテル並み
の感覚なのよ…。私たちの頃とは様変わ
りなのよ。どう思う? と・・・。
 そうなのか…。競走の世界だ。ただ安
全にお産をするだけでは満足しないよう
に誰かがしてしまったのだ…。
 ま、なんでもパーフェクトがいいだろ
うが、なんだか不可解な気分だ。
 最近、みんなどこへ行こうとしている
んだろうと思うことがある。
 仕事に関していえば、ずっとやりがい
のある仕事に当たればいいと思い続けて
きた。それが自然と自分のライフワーク
になり生きがいになってくる。
 しかしだ、やはり人間のペースに外れ
て、なにかが早く行き過ぎたり、遅すぎ
たりしたのだと思う。
 いやまてよ、人間だけが早くいきすぎ
たのか…。
 ああ、また今日も眠りが浅いと思いな
がら、溜まっているメールに返事を書く。
 2007年。やはり一昔とは確実に違
うのであります。
 
  

昔のように「今を逃せば食べら
れない」なんていうことは、まず
ないので、出回る野菜や花のなか
で、いまの旬はどれなのか、思い
出せないことがある。
 これが、小学生だった頃の思い
出をたどってみると、けっこう記
憶が蘇えるからうれしい。
 近所から頂いた御重に入った栗
ごはん。祖母が楽しみにしていた
ぎんなんごはん。
 どんなに忙しくても、季節ごと
のひそかな楽しみを、なんとか忘
れないでおこぼれにあずかってい
る。この「おこぼれにあずかる」
というのがなんとも私は好きであ
る。
 太陽も風も季節は秋を告げてい
るのに、日常に振り回されている
と、四季を楽しんだり喜んだりす
る機会を逃してしまうのだが、ふ
いの訪問で心が和む。
 このおこぼれを、いつかまわす
側になりたいと思いながら、そう
いう精進はまだまだだ。
 先日、Sさんから燃えるような
赤い花を頂いた。
 子供の頃の風景と重なる。秋の
彼岸の頃に畦道にいっせいに咲く
ひがん花だ。
 月見とてそうだ。毎年、母が団
子をこしらえ「すすきがそこいら
にあるかねえ」と言う。
 そう言われてはじめて、月見の
時期なのだと思う。
 母のお相伴で月を仰ぎながら月
見酒を一杯だけきゅっとやると、
杯に小さいうさぎが二匹いた。
「ああ、負けた」と思う。
 日本の四季は、そういう瞬間に
豊かなものになる。
 春には、一人静かに桜の木の下
に立ち、夏には浴衣で風呂上りに
涼み、秋には月の明かりの下で過
ぎゆく夜をいつくしみ、冬には、
きたる正月のために干し柿の準備
をする。
「静」のなかに四季を感じること
があるというのが日本の心なのか
もしれない。
 とある本を読んでいたら、おも
しろいフレーズにぶつかった。
「みんな春がくれば春に呆け、秋
がくれば秋に呆ける。そしてみん
な呆けさせられることを待ってお
り、一方いかに呆けさせるかを広
告しておる。グループ呆けの中で
のみしか見えぬのが凡夫の性であ
る」
「ほおお」と声がついと出る。
 つるんで花見、つるんで海や山
へ。にまりとする。
 いつのまにか、「一人遊び」す
らも忘れているのかもしれない。
 家に閉じこもり、ゲームやコン
ピューターに夢中になるのは、一
人遊びというより、アウトサイド
拒否症候群なのかもしれない。
 つるまないというのは、やはり
一人、四季の移り変わりを心に納
めながら、我が人生の今を生きる
ということなのだろうと、柄にも
なく神妙な面持ちになった。
 一人、山を歩き、鳥の声を聞き
名もない草花に目を細め、自然界
に溶け込む我…。
 いいかもしれない。
「静」の時間は、思った以上のも
のをもたらすということなのだろ
う。
 車に乗らずに、歩くことは健康
にもいい。目的地から目的地とい
う点と点では、気が付くはずのも
のも見逃してしまう。
 秋晴れの日曜日、めずらしく私
は早起きをし、おにぎり弁当を作
っている。目的地は、温泉地の山。
 山のふもとまでは車というのが
ちょっと手抜きだが、いたしかた
ない。犬をお供にと思ったが、そ
れも止しにした。
 我一人、思う秋
 歩きながら、今日の夕食は温泉
豆腐と温泉のお湯で作る味噌汁に
しようと思う。「温泉豆腐が売り
切れないうちに山を下らなくっち
ゃ」それも雑念だと言われれば、
楽しみが無くなる。なんと言って
も食欲の秋。とろりとした味噌汁
と、新米と野沢菜と…。
 私のイマジネーションは、つま
るところ「食」に尽きた。

目から鱗

「今日日の女の子は家庭的じゃないよ
仕事はできるかもしれないけどね」と、
一郎は言いながらペットにしている熱
帯魚に餌をやった。
 彼は四十歳になってもいっこうに結
婚しようとせず気楽な生活をしている。
市役所勤めなのだが、休みを上手くと
って海外旅行をする他は、たまに飲み
に行くことくらいだ。いつの頃からか
熱帯魚に夢中になっている。部屋には
水槽をいくつも置いていて、彼の寝室
は、四方を大きい水槽に囲まれて、ま
るで海の中に居るような錯覚に陥る。
「まずいよね、これって。癒されるっ
て言うより沈没しそう」
「わかってないよな。人間相手よりず
っと健康的というものさ」
「おばさんも大変ね、こんな変人な息
子をもって。勝手にコーヒー入れてい
いかしら?」
「ご勝手に」
「えーっ、ここにもいるの?」
「そうだよ」
「いっそのこと商売でも始めれば?」
「そういう気にはなれないね」
「ねえ、この青い魚は同じ種類だよね
え…。色の出方がちがうじゃない?」
「さすが麻ちゃん。色が一番きれいに
でているやつはその水槽の中ではキン
グだという証拠さ。他のやつは、キン
グにびくびく遠慮しながら泳いでいる
だろう?」
「そんなのわからないわ」
「じっと観察していたら判るようにな
るよ。恐怖感が本来の色を出させない
でいるんだよ。意味深だろう?」
「うふふ。やっぱり一郎ちゃんは、結
婚しないでずっと変人でいたほうがい
いかもね。おごちそうさま」
「ちゃんとコーヒーはでていたろう?
条件にかかわらずいい水であれば美
味しいコーヒーはできるけど、生き物
はきびしい条件にあるのさ」
 びくびくが本来の色を出さない。一
瞬ドキリとする。一郎をちゃかしたけ
ど、目から鱗。
 

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