笠原瑠璃子の真骨頂なつぶやきダイアリー

過去の記事は写真のすべての表示 からが簡単です。音楽は重なりません。 良き日をお過ごしください。感謝★

エトセトラ・エッセイ

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「ザァーン」

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 夜中に起きることはめったにないが、昨夜は早く就寝したので、早く目が覚めた。
 夕食にキムチを入れたピラフを作り、喉が渇いていてシャワーを浴びる前に冷蔵庫を覗き、ジュースを飲む。・・・・サンレイのマンゴジュース。
 文章を書きたくなる時は、突拍子もない感じで、いつもそれが不思議な感覚だと思っている。書かねばなない時は、いや、書かねばらぬと思うと、手が構えるが、・・手は構えないなあ・・何かの構えのようなものがあるが、ねぼけ半分で書く文章が私は好きで、何も考えていない時に書いた文章はたくさんあり、ボックスの中にまっしぐらに入れることもあり、読み返すこともないが、まっ白のスペースに字がさっさと埋まっていくのがいい。ブログを書くときも、あまり構えてないときが多い、いや、まったく構えていないので、なんだか妙なことを書いたなあ・・と、後で思うことが多いが、そういう文章のほうが自分なのかもしれない。

 今日は、ベッドから降りたときに、「ザァーン」と思った。
 このザァーンは、きちんとしたイメージがあった。
 小澤征爾さんが振ると、音楽が鳴り出す。
 いや、小澤征爾さんでなくてもいいのだが、・・・素晴らしいと思える音を操作する人の持つ力のこと。

「ザァーン」
これは当然、彼が手を降ろしてから鳴る音楽のこと。
 彼が手を振る前に音楽など鳴りはしない。
 




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 さ、これからシャワーを浴びます。
 
 昔から不思議だなあと思っていた・・。指揮者でそんなにも音が違うとは・・。
 しかし、今日、ベッドから右足から降りた瞬間、指揮者の集中させたエネルギーのかたまり、ザァーンに続く音を思った。「ザァーン」の後に、どんな音楽が鳴るかは、やはり指揮者の頭の中にある。

朝のまどろみの中のお話です。今日も寒いですね。良き日をお過ごしください。







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【音楽のご紹介】

曲 情熱大陸

ヴァイオリン 瀧口直毅
ヴァイオリン 上山文子
ヴァイオリン 木村厚太郎
チェロ     田村朋弘
ピアノ     戸田友紀子

CD【K−Style Music】より。
ホームページ★k-style-music.com





ご協力
ブログ「花*花*花」
http://blogs.yahoo.co.jp/jakki0947








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僕は、アパルトマンの一室に飽きたら、メトロに乗って一駅にあるカフェに寄ってカフェを飲むことにしている。そこのカフェでキヨスクで購入した新聞を読む。それから、セーヌ沿いをゆったり歩く。



セーヌ沿いの曲がったところに小さい階段があり、教会の横に犬のよく集まる公園がある。僕は、そこのベンチが気に入っている。
しばし僕はそこで日の光を楽しんで、手紙を書いたり、文章を書いたりする。



日が落ちる前に、僕はそのベンチから立ち上がり、フランスパンを一本買ってまたアパルトマンに戻る。



一日が終る頃、僕は音楽を聴く。
僕はこれでも物書きのはしくれで、毎日座った生活をしている。
かなり長い間書いてきた。
もう、昔より速度は落ちたが、一日に五時間は机に就いている。



ベッドに入る前に、必ずミルクティーを飲む。これも僕の習慣だ。
今日の一日、僕が書いたことはくだらないことだったか、そうでなかったのか・・・。そういうことは僕が知ったことではない。
僕は物書きに生まれたのだ・・・。今はそう思っている。









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僕のアパルトマンの玄関は、そう、記号がついている。
この玄関のナンバーは、僕の人生を物語っている。長年住んでいるので、このナンバーを見ると、僕は、やれやれと思う。









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メトロ・・・。
僕はふらりと外に出る時は、いつもメトロに乗る。別に大した用事がない時もそうだ。メトロに乗ると自分を日常生活に引き戻してくれるからだろうと思う。人の流れの中にいることが必要な時もある。



メトロの汚さも好きだ。
パリの街の良さは、なんとも僕は言葉ではなく、体で知っていると言える。
だからふらりと町に出て歩きたくなるのだ。


特別なことなんて、何もないものだけどね。
何もなくてもね・・・・。





写真イメージ文★瑠






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春浅し花かんざしの立ち姿眺めてもよし立ち去るも恋★瑠


花かんざしとうに忘れた昔にも色合い添えて君に捧げよ★瑠


風に揺れ身を守りきぬこの心花にたとえて愛でてあげたし★瑠


夕暮れに一人泣くのは寂しいと道ずれにした花金木犀★瑠


雀来て冬枯れ枝に華を添えさえずりゆらす白銀の恋★瑠





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ご協力★ブログ「花*花*花」★水に流れているのは、花簪です。
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日本画 「むくげと蝶」
日本画家・高島文子氏









 日没直後の夕日の残照が、ジェラバ姿のアリの姿を美しいシルエットに変えていた。それは、立ったり、座ったり、跪きながら地面に額をつけ、規則正しい動きをしていた。デューンは、遥か彼方まで大小の盛り上がりの曲線を描きながら、アリが祈っている場所から波状の紋様を見せていた。


「アリ、見知らぬ街ではどのようにして東の方角が分かるの?」
「マダム、太陽の動きに敏感になればいいんですよ。東とは限りません。メッカの方向を向いて祈るんですから、モロッコからは東でも日本からは西です。北極からは南、南極からは北になります」
 彼は、すまして答えた。私は、思わず笑った。
 観光客を乗せて歩くラクダが戻っている。
 商売は、どこででもできるのだ。
 お金が生活の手段である限り、自然のすべてのものが人間によって、お金と引き換えられる。氷の上でも、雪の上でも。例え墓場でも。
 ラクダはひき肉にすると最高に美味いそうだ。
 人間の運び屋からひき肉まで。ラクダレースの賭け事にまで借り出され、ラクダも使い回しをされる。
 星の王子様に出てくるバオバブの木は、砂漠にもあるのだろうか?
 バオバブの木は柔らかく使い物にならないので、それを誰も切り倒さない。家具になる木だったら、とっくに絶滅しているはずだ。人間に不必要なものは、排除されるか、放っておかれるかのどちらかだ。











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 太陽が沈み、風が止まると、辺り一面が音のない世界になった。
「砂漠は、よそ者を迷わせると言います。土地の人は体でそれを知っています。羅針盤なんて要らないんです。もっとも、私もよそ者ですがね・・・」
 アリが私を振り向いて呟いた。
 ローズサンドの砂の色が茶色になり、そして灰色に変わった。
「アリ、エルフードまで運転させてくれない?」
「いいですが、免許書を持ってきていますか?」
「ええ、セジャーダほどのね・・・」
 アリが苦笑いをした。
 モロッコの免許書は異様に大きい。
 道のない砂の上をオーベルジュ・デルカウワの道まで、車を運転する。車が傾く度に体が揺れる。声を出しそうになる。
 アリは無愛想な態度を保った。
「あと、三時間くらいかしら?」
「イン・シャー・ラー」
 心の中で舌打ちをする。アリにとって、未来は完全に神の領域なのだ。人間の意志とはまた別に、過去、現在、未来が流れているのだという。人間世界との因果関係はどうなるのだろうか。今の時が明日とつながらないならば、一瞬、一瞬、どこかに飛んでいってしまうのだろうか。「イン・シャー・ラーは、一秒先は見えないよ、神の御心だからね。例え人間に意志があったとしてもどうにもならない。人間は弱い存在だよ」と、アリは、得意気に答えた。











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日本画 「朱鷺月光」」
日本画家・本多孝舟氏









「マダム、そろそろ出掛けましょうか?」と、カフェでお茶を飲んでいる私に声をかけた。


 メルズーガは、砂の中に埋もれるようにして存在している小さな村で、エルフードから一時間ばかり走ったところにあった。
 オーベルジュ・デルカウワというホテルの道路の入り口からは、道がない。
 アリがゆっくりと車を砂丘の方向へ向けた。
 砂の中を走ると、砂漠の静けさが伝わる。風が強く吹いている。
 車と風に煽られて、砂漠がフロントガラスに立つ。前方を見えなくした。


「マダム、車を止めて歩きますか?」
「ずっと先まで歩けるの?」
「歩けると思いますよ」
 ローズサンドが太陽を浴び、黄金色に染め上げられている。
 砂が私の右足のミュールを捉えた。やわらかい砂が私を前のめりにさせた。
 膝が砂に触れ、両手をついた。束ねていた髪の止めが外れ、白いスカーフがローズサンドの上に落ちて、風で舞い上がり、ローズサンドを撫でながら流されていった。
 私はそれを追う気にはなれなかった。


 風は凪いでいたが、デューンと呼ばれる砂の紋様が風で少しずつ砂の隆起の形を変えていく。このまましていたら、デューンに埋もれることができるかもしれないと私は思った。










http://25.tok2.com/home/hanahanahana/ainoowari.mp3
ボリューム調整は右です。








日本画・本多孝舟氏
本多孝舟氏ホームページ
http://www.geocities.jp/kosyu4959/
本多孝舟氏ブログ「日本画家 孝舟の部屋」
http://blogs.yahoo.co.jp/kosyu4959



文・瑠

御協力「花*花*花ブログ」
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「お願い」
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★本多先生との前回と前々回のコラボです。どうぞご覧下さい。








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 スペインのアルヘシラスからタンジェまでのフェリーは、二時間の予定だったので、ゆっくり食事ができると思い、瑤子はレストランへ行ったが、満席だったので、コーナーにあるバーでビールを飲んだ。辺りを見渡すと、ヨーロッパ人が半数を占めている。


 陽気に盛り上がっているスペイン人のツアー客や、フランス語で話しをしている若者のグループもいたが、東洋人は見受けられなかった。
 北アフリカに近づくにつれ、瑤子の体に得も言われぬ力が湧いてくるような気がした。まったく未知のものの中に自分が置かれた時に感じる、期待と不安と、生きることへの愛おしさのようなもの。それに、郷愁が入り混じったような感覚になった。


 グラナダで見た白亜の家並みや、ジプシーの住むクロモンテの丘に見た独特の神秘的な光景が、遠い昔のことのように感じられる。


 北アフリカへの第一歩目は、グランクッソの入り口から見るメディナの道に積まれた色とりどりの日常雑貨に迎えられたと言ってよい。
 オリーブや野菜、果物、香辛料のいきいきとした色。行き交う女性たちのジュラバの様々な色が目に飛び込んでくる。
 瑤子は、深呼吸をして空を仰いだ。













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 なんという空の青さだ。
 そして茶色の土。黄色や赤の花々がモザイク模様のモスクに映えている。
 瑤子は、自然な足取りで、メディナの中に入っていった。確かに、観光客を意識すれば、メディナはガイドなしでは歩けないのかもしれない。


 メディナの中は、生活の縮図のようで、瑤子の好奇心をかきたてた。
 車の通らない勾配の険しい縦横無尽に走る細い道に、人がごった返し、荷物を運ぶロバが人を避けながら歩いて行く。
 時折、衣装を着けた水売りを見かけた。


 皮細工、銅製品、金のアクセサリー、カフタンショップ、ランジェリーショップ、絨毯の店、家具屋と、果てしなく店が続く。
 マーケットに入ると、新鮮な魚が、所狭しと並べられ、肉やには、丸のままの羊や牛が下がっていた。
 立ち食いエスカルゴのスープのお店の匂いが強烈で、瑤子は顔をそむけた。店のぼうやが、瑤子に向かって、「ホンダ、スズキ、カラテ、トヨタ」と言いながら瑤子の手を引っ張るので、苦笑いをしながら、試食をするはめになった。匂いはきついが、スパイシーで、なかなかいけるものだった。











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 瑤子は、フェズ行きの列車に乗っていた。
 タンジェから六時間もかかると言う。窓の外は、太陽がまさしく沈もうとしていた。燃えているような赤だ。


 まるで、西に行くに従って、太陽が大きくなっているかのようだ。見惚れているうちに、あかね色に染まった空に、家の回りで野良仕事をしている人たちがシルエットとなって、浮かび上がってきた。
 この色具合は、たとえ五感に刻み付けたとしても、表現できないだろうと思った。


 瑤子は、さまざまな色合いのイメージで満たされていたが、デッサンやメモをする気にはなれなかった。むしろ、それ以上に気持ちが高揚していた。その気持ちが自分が生きているという実感とほぼ類似していたので、心の底から喜びに満ちていた。


 目を閉じて、しばらく眠ろうとしたが、瞼の内側には、伝統的アラブ文化とモダンな西欧文化の微妙に入り混じったアラベスク模様と様式、近代建築が林立する新市街とメディナの旧市街地のコントラストが、不思議な力で瑤子の心を捉えていた。


 メディナの雑踏は、中世さながらの雰囲気でありながら、ジェラバ姿で行き交う人たちのエネルギッシュな生活臭を感じた。はたまた、新市街地で見る洒落た高級ブティック店の並びや、カフェでティータイムを過ごす人たちとメディナの生活の落差は大きい。新市街の彼女はヒールを履き、オートクチュールの洋服を纏い、彼はアルマーニのスーツといういでたち。五つ星のホテルで、優雅に食事をするカップルであることは間違いない。


 その近くの広場の屋台レストランでは、羊の肉を焼く煙がもうもうと立ち上り、香辛料やミント、コリアンダーの匂いが入れ混ざっている。
 その屋台の並びは、人で混雑していて、息が詰まるようだった。瑤子は、その屋台の一軒で、ミントティーを飲んだ。ジェラバの男性が、東洋人だよね・・
という顔をして、上から下まで一通りの視線で瑤子を見た。














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 パリで予約していた、ホテルジネン・フェズに着いたのは、十一時をまわっていた。広大な敷地に建っていた。ホテルの中は広々としたフロントから続く大理石造りの建物に、深深としたベルベル絨毯が敷きつめられていた。旅で疲れた格好と、ローヒールでは気がひけるようなホテルだったが、愛想の良いベルボーイのおかげで、ふっと気持ちが軽くなった。


 シャワーを浴びてから、ナイトキャップをするつもりだが、果たしてバーは開いているものかと思った。ちょっとしたお洒落をして、一階に降りると、ピアノバーがあると言う。

 バーでは、黒人男性が英語でブルースを歌っていた。
 やはりここでは、手っ取り早く、マティーニに決めた。
 二杯目を注文する頃になると、男は、フランス語のシャンソンを歌っていた。
 私は、マティーニの中のオリーブの大きさに笑いたくなっていた。
 疲れとお酒がうまく調和し、半分夢を見ているのではないのだろうかと思っていた。バーには、私ともう一人の老齢のご婦人の二人で、彼女は私にフランス語で話しかけて来たが、ただ、目配せとちょっとした挨拶だけをしただけだった。彼女はシェリー酒を飲んでいた。あまりにも疲れていて、人と話す気分にはなれなかった。ただ、不思議に毎日こうして過ごしているような居心地の良さを感じていた。


 考えてみると、パリを出て以来、旅を続けるのに必要不可欠な会話以外、会話という会話をしていないのだが、それを大して必要だとも思わなかったことに気が付いた。それに、仕事柄、言葉のない世界に常にいることも改めて思った。


 写真が綺麗なのは、言葉で表さなくてもいいところにある。魂を色と形で
表現すればいいのだ。
 ピアノ弾きは、指先からの音色で魂を表わす。


 言葉には、おおかたごまかしがあるし、正確な感情を伝えることは難しい。
 愛を文章にするにしても、口幅ったい言葉を並べ立て、何度も角度を変えて言わなければならない。













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 ピアノ弾きがふっと、瑤子を見て、微笑んだ気がした。
 ピアノは、「As time goes by」を奏でている。映画カサブランカの主題曲だ。


「えっ? なんだって? そんな昔の事は覚えちゃいない。そんな先の事もわからない・・・・・・でも確実に時は過ぎているのだろう・・・」



 瑤子を見て、再び、ピアノ弾きが微笑んだ気がした。
 もし、明日晴れたら、メディナで写真を撮ろうと瑤子は思った。そして、あさっても晴れたら、たぶんこの地に住み着くようになるかもしれない・・・、
と、半ば冗談のような不思議な気分を楽しんだ。












エッセイ文★瑠


ご協力・ブログ「花*花*花」
http://blogs.yahoo.co.jp/jakki0947







★瑠璃子のメモ

このブログは、最大文字で編集しています。
パソコンの表示から文字サイズを「最大」にして頂ければ
きちんと整列した文字になると思います。
宜しくお願いします。良き一日でありますように。

訪問コメントが遅れております。
六月二十八日(土曜日)           











http://25.tok2.com/home/hanahanahana/AsTimeGoesBy.mp3
ボリューム調整は右です。









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写真提供・Mr.ティディ











「イメージ音楽を聴きながらお読み下さい。音楽は(━)バーを下ろして下さい」
http://jp.youtube.com/watch?v=EhvMfwVG_1U














 マラケシュのジャマ・エル・フナ広場に三人の女が手をつないで立っている。観光客がアクロバットや大道芸を楽しんでいる。蛇使いの老人が客に蛇を巻きつけて、稼いでいる。








 夕日が沈もうとしている。
 立ち並んだ屋台から、もうもうと煙が上がっている。食欲を誘うカバブの焼ける匂いが強烈にしてくる。
 一人の女が初めて声を発す。
「私たちは、山を脱出したのね、ここにはすばらしい生活があるわ」
 蛇使いの老人が、三人の女たちを見てニヤリとした。
 ガラガラ蛇は、ちょうど興奮をして、首をもたげているところだ。







「ここはね、昔、処刑場だったのさ。刀で切り落とした首をいくつも晒してあったんだぜ。死者の広場さ」と運転手が言った。
 女たちは行くところがない。三人は、大道芸人の住処に入っていく。どうやら、今夜はそこに休ませてもらえそうだ。







 誰も居なくなったジャマ・エル・フナで一人の女が月の光の下で踊る。
 スカートをちょっと持ち上げくるりと回る。アトラスを背景に踊った時のように。しかし、心なしか女から目の光が消えている。女は、両手に染料のヘンナで綺麗な模様を描いていて、それだけが月の光にオレンジ色にきらきらと光った。
「ヘンナはね、ベルベル人の間では、魔よけなんだ。ベルベル語では、『平和の使途』という意味なんだ・・・」
 運転手が説明した。







 途中、女たちは、やっとの思いで山から降りる。後を振り返りもしない。
 彼女たちの親はジェラバの袖で涙を拭く。
 山間には、いくつもの湖がある。砂漠地帯のオアシスだ。水を飲むロバの大きな目が彼女たちを見ている。ロバの首が上下するたびに、チリンと鳴る。







 オリーブの木陰で若い男が帽子を顔に寝転がっている。
 一人の女がその男に近づく。
 男が帽子を取って、起き上がる。
「やあ」と、笑った歯が煙草の脂で黒い。しばらく女は男の横にしゃがんでいた。そして、その男が泣く。その泣き方がとてもいい。声は出さない。男泣きだ。男は、女が去るのを止めないが、どんなに心が痛いかがよく分かる。







 男は、ロバの傍らにすたすたと歩いて行って、オアシスに頭ごと水に顔をつける。ロバが男の顔をぺろりと舐めた。







 この話は、私がお世話になったハッサニアというおばあさんから聞いた話だ。彼女は2006年に他界したと聞く。ハッサニアは、英語が話せなかった。私におやすみの挨拶の代わりに、「スリープ!!」と言っていた。その笑顔を時々思い出すことがある。ベルベル人だった。
 私は、今年になって、もしかしてこの物語はハッサニア自身の若い頃のお話
ではないかと思ったりしている。












文章・瑠璃子


写真提供・ブログ「heaven」
http://blogs.yahoo.co.jp/t_de6


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(しばらくの間、モロッコの旅へどうぞ)
http://jp.youtube.com/v/T97FwNNariQ&feature=related

貼り付けのご協力
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「花・花・花」ブログ

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