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マロニエ荘。
和之 「岡崎に帰るって聞いて飛んできたんだ。」
磯 「はあ。」
磯を見つめる和之。
和之 「東京に残って欲しい。俺、この秋には徴兵される。
だから時間がない。今のうちに母さんに孝行がしたいんだ。」
磯 「母さんて。」
和之 「母さん。俺の母さんなんだろ。
あの後、父さん問い詰めて、白状させたんだよ。
事情は全部聞いたよ。だからもう、嘘つかないでくれ。」
泣きそうな顔で和之を見る磯。
和之 「俺、自分の気持ちを正直に話した。そしたら、父さんも母さんも、はっ、
育ての方の母さんも分かってくれた。
麹町の家には小さい離れがあって、そこで洋裁の仕事もできる。
短い間でいいから、近くで暮らそ。
今までずっと離れて暮らしてきた埋め合わせがしたいんだよ。」
磯の目に涙が溢れる。
和之 「うん、って言ってくれよ、母さん。」
磯 「和之。ありがとう。あたしは今、日本で一番幸せな女だわ。」
和之 「じゃ、いいんだね。」
磯 「駄目。このまま別れまい。」
和之 「けど。」
磯 「私、ずっと諦めとったのよ。わたしはあんたにとって、
ただの行きずりのおばさんで居ろって。それなのにこうして今、
お母さんて呼んでもらえた。あんたのお母さんになれた、それだけで十分だで。
でも今日からまた、おばさんに戻るでね。おせっかいな磯おばさんだで。」
和之 「母さん。」
磯 「母さんじゃないって。あんたの本当のお父さんとお母さんを大事にして。ふん?
その二人の為に自分の命を大事にして生きていかんと。
私は、あんたが元気で生きとってくれるだけでもう、十分だでね。」
磯を抱きしめる和之。
和之 「母さん。」
磯 「母さんでないよぉ…母さんで…」
二人を見つめている桜子と笛子たち。
救護所、表。
女の子幸が、浩樹と遊んでいる。
帰って来た杏子を見つけ、抱きつく幸。
幸 「おねえちゃーん。どこへ行ってたの?」
杏子 「うーん。おうちの人に会ってたんだよ。
でも、もうどこにも行かんから、心配しんでいいよ。」
弘樹を見る杏子。
杏子 「あたし、東京に残ることにしました。」
杏子を見つめる浩樹。
幸を抱き上げる杏子。
杏子 「ねえ、さっちゃん。さちってどんな字?」
幸 「しあわせって言う字。」
杏子 「ほっかぁ、いい名前だねぇ。ねえ、さっちゃん、お姉ちゃんと幸せになろ。」
微笑む幸。幸を抱きしめる杏子。二人を見つめている浩樹。
【しゅしゅしゅしゅ、ぽ〜〜〜〜
岡崎。有森家。
笛子 「ただいま〜。」
居間に徳次郎。
徳次郎「ほっ、おー、よー帰ってきたぁ。無事だったかぁ。良かったな〜。
おー加寿子か、加寿子と亨か。」
笛子 「ほら、加寿子、亨、ご挨拶しなさい。」
亨 「わ。」
加寿子「こんにちは。」
徳次郎「はい、こんにちは。」
冬吾を見る徳次郎。
徳次郎「あんたも大変だったな。」
冬吾 「恐れ入ります。」
八州治「あの、すみません。あれ、重いんですけど何処置きます?
冬吾の絵が一番重いんだ、これ。」
徳次郎「なんだ、この男は。」
笛子 「居候です。」
徳次郎「ほあん?お前、どっかで見たな〜。こんな妙な男、家において大丈夫か?」
桜子 「大丈夫だよ、おじいちゃん。八州治さんはいい人だもん。」
八州治「この家に婿に来たつもりになって頑張ります。」
徳次郎「調子に乗るんじゃないわ!」
八州治「あ、ちょっと調子に乗りました。」
笑う、みんな。
徳次郎「は、行こう。」
書斎。
床に立てたイーゼルに画板を置く桜子。椅子に座っている冬吾。
桜子 「これからは、思う存分ここで絵を描いてください。」
冬吾 「思う存分が。」
桜子 「ん?」
冬吾 「いや、何でもねぇ。桜ちゃんはこれから、どうするんだべ。」
桜子 「ほだね。どうしたらいいんだろう。この2年、お店の仕切りや
お母さんの看病の合間に、細々と作曲の真似事はしとったけど、
たいしたことはできとらん。ほいでも、音楽を忘れたわけじゃないんだ。
できれば、なにか仕事にするなら音楽にこだわりたい。
冬吾さんなら、どうする?」
源一郎とマサの写真に目をやる冬吾。
冬吾 「桜ちゃんのお母さんは確か、学校の先生だったな。
子供達に音楽教えてみたらどうだ。」
桜子 「子供達に?」
冬吾 「んだ。加寿子も亨も、桜ちゃんのピアノを聴くのが大好きなんだな。
桜ちゃんが音楽を好きだから、その気持ちが伝わって楽すくなるんだな。
そったな仕事なら悪くねぇべ。」
夜、居間。
一同が食事をしている。
笛子 「隣組長さんから、就職先世話されちゃった。
郵便配達婦やらないかって。」
桜子 「郵便配達婦?」
笛子 「あたし、やってみようかと思って。いいよね、冬吾。」
冬吾 「もつろんだぁ。」
笛子 「それより、桜子、あんたもこのままだと女子挺身隊にとられちゃうよ。
どうするの?」
桜子 「あたしは、代用教員になりたいと思っとる。」
笛子 「代用教員?」
桜子 「西野先生にお願いして、就職先探してもらおうかと思っとるんだ。
ほら、今はどこの国民学校も教員不足だって言うし。」
笛子 「そう、教師にね。」
桜子 「反対?」
笛子 「ううん。今みたいな世の中で人にもの教せえるのは大変な事だと思うけど。
そうだよね、うん。やるだけやってみり。」
桜子 「うん。」
笛子 「ほいだから、八州治さん。(八州治「うん」)子供達の世話、宜しくたのんますね。」
八州治「あー、俺が?」
笛子 「冬吾はこの足のお蔭で徴用免除になって、かえってこれからは集中して絵が描けそうだで。
子供達が邪魔んならないように外に連れ出してもらえると有難いわ。」
冬吾 「そったなこと人に頼むんでねぇ。俺は絵を描きたいときに描くはんで。」
笛子 「ほいだけど、せっかく八州治さんが居ってくれるんだから。」
八州治「ふん。ううん、そうだよ、おお、いいよいいよ。お、あのー
子供達の面倒、昼間、俺が見るからよ。な、へっへっへっ。
じゃーこれから、よろしくね。おじちゃんとね。へっへっへ。」
冬吾に目をやる桜子。
空襲にあって以来、冬吾は一枚も絵を描いていませんでした。 …(母マサ)
書斎で白紙のスケッチブックの前に座っている冬吾。
昼、座敷。西野が来ている。
西野 「思い出すわぁ。あなたがうちの学校で、滝廉太郎の花をジャズ調で弾いた時。」
桜子 「先生にはご迷惑をおかけしました。」
西野 「その桜子さんが、今度は人を教せえる立場になるのね。」
桜子 「あたしみたいな者でも教師になれるでしょうか?」
西野 「もちろん資格は十分にあるわ。だけど、その前にあなたの覚悟を聞いときたいの。」
桜子 「はい。」
西野 「先生。先生がお辞めになった時の事情に、あたしは今でも責任を感じています。
だけど、あれから教育の現場は少しも変わっていません。
国民学校で教える科目は音楽だけじゃない。修身や国語もあるのよ。
桜子さん、あなた、それに耐えられるかしら?」
桜子 「あたしが子供達に教せえてあげたいのは、音楽だけじゃありません。
生きてるのは楽しい。素晴らしいことなんだって事を教せえてあげたいんです。
あたしは2年前、戦地で婚約者を亡くしました。
つらい時もあったけど、いつも音楽が私を支えてくれました。
戦争に喜んで行けと、子供達にすすめることはできません。
でも、どんなことがあっても希望を持って生きていきなさい。
へこたれるなってことだけは、言えるような気がします。
それだけじゃ駄目でしょうか。」
西野 「そう、わかったわ。心当たりの方にあたってみましょう。」
桜子 「ありがとうございます。」
笛子 「先生、お願いします。」
台所。
桜子が洗い物をしている。
笛子 「よかったね、桜ちゃん。仕事見つかりそうじゃん。」
桜子 「うん。」
笛子 「ねえ、達彦さんのこと、今でも思い出すか。」
手を止める桜子。
笛子 「思い出すと、きついか。」
桜子 「達彦さんは遠い戦地に一人で行って、最後の瞬間まであたしのこと気にかけてくれとった。
どんなに時間が経っても、達彦さんのことは忘れちゃいかんね。」 【かーかー・烏の声
笛子 「忘れてもいいじゃない。あんたはまだ、若いんだから。
あんただってこれから先、また好きな人が出てくるかもしれん。
一緒になりたいって思うかもしれん。
お姉ちゃんはそうなってくれたらいいなと思っとるよ。」
桜子 「やめて。ごめん。今は未だそんなこと考えられん。」
立ち去る桜子。
書斎。
白紙のスケッチブックを前に冬吾がぼんやり座っている。
入り口に来て冬吾を見る桜子。
桜子 「冬吾さん。」
手に持った木炭を折る冬吾。(ポキン)
桜子 「冬吾さん、どぅした?」
冬吾 「描げねぇ。」
冬吾の頬に涙が流れる。
冬吾 「俺はもう、絵が描けねぇんだ。」
桜子が初めて知る、冬吾の苦悩でした。 …(母マサ)
☆☆
なんだかね〜。
予告編などで得た情報があるからか、先入観を持って見てしまう。
今の桜ちゃんは、言ってる事としてる事と感情がバラバラみたい。
西野先生に言ってる言葉も、とってもいい言葉なのに、
何故だか感動しないの。
笛子姉ちゃんに言っている事も、
そんな気持ちでいるのにどうして、よくない方向へ向いているのかな?
と思ってしまう。
小さな楽しみを見つけて観てはいるけれど、
やや興ざめ気味です、ここのところ。
八州治さんの「へっ。」て言葉が、思わず口をついて出そうになる。
(σ_σ;)別人格になりそうで自分が怖い…。
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るるこさん、こんにちは。今日のきらりの一番の泣き所は磯おばさんと和之です。れれっ?は桜子、冬吾のことどう思ってるのよ?でした。私もまた「純情きらり」について記事を書きましたので、トラバさせてください。お読みいただけたらウレシイです。
2006/8/25(金) 午後 1:51
starさん、こんにちは。磯おばさんは感情に流されず、和之の家族を大切に生きるようにと諭しましたね。切ない場面でした。小さな幸せを胸に生きる決心をした磯おばさんでした。杏子さんも新しい幸せを見つけそうですね。再び出掛けますので、後ほどお邪魔いたしますね。
2006/8/25(金) 午後 2:51
rurukoさん、ついうたた寝してこんな時間にお邪魔しました。私もそうですが、やっぱりステラで予告読んじゃうと今放映中の話も余計ヤになってしまいますよね・・・。それにしても温厚なイメージのrurukoさんまで「ヘッ」って言いたくなるこの展開、どうなんでしょう。・・・でもrurukoさん、我々のために頑張って〜!(←勝手)
2006/8/26(土) 午前 2:44 [ hobi ]
今ステラのサイトを覗いたら更新されてました。「”さ”来週」の内容が少しだけわかるのですが・・・。「来週」の桜子に言いたい。どの面下げて、になるから控えめにネ。(若干ネタバレ的コメントでしょうか、ゴメンナサイ)
2006/8/26(土) 午前 2:59 [ hobi ]
hobiさん>八州治さんは“へっ”“はっ”が多いようで、耳に残るのです。ふふ。野木山さんは意味不明の音が多いですし、面白いですよ〜。「あたし」か「わたし」か分からない発音のときは、はっきり発音してね、とか言いながら聞きなおししています。結構楽しんでいますよ(^^)v
2006/8/26(土) 午後 11:55
hobiさん>どの面下げて〜の場面がいずれあるのね。うん、わかった。覚えといてその場面が来たら、言うことにするわ。楽しみだな〜。
2006/8/27(日) 午前 0:00