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日曜日の夜、WOWOWで「チャーリーとチョコレート工場」が入っていた。アイロン掛けをしながら、横目で見るともなしにみるつもりだったのが、最初から引きこまれて夢中で見入ってしまった。アイロン掛け中断。ユーモア、ナンセンス、皮肉、パロディ、残酷、気味悪さ、キッチュ(これでボキャ切れ)がまぜこぜの、原色がマーブル模様になった色彩豊かなサイケ世界。頭の中に「好き!好き!大好き!」が駆け巡る。楽しい。とにかく文句なしに楽しい映画。 原作「チョコレート工場の秘密」では、物語が前半と後半にハッキリ分かれている。前半は、チャーリーが黄金切符を引き当てるまで。後半は工場見学を経て、チャーリーがウォンカ(訳ではワンカでなかった?)の後継者となるまで。私は、この話の前半が大好き。家族全員が、チャーリーの幸せを願っている。その幸せの象徴が、チョコレート工場への黄金切符なんだよね。 原作で、チャーリーが切符を引き当てるまでの流れは、まるでサスペンスである。特に、ジョーじいちゃんのヘソクリが無駄に終わった後が切迫している。チョコレート工場の招待客5人のうち4人は決まっちゃうし、お父さんは失業して家庭はますます貧乏だし、家じゃ4人の老人が寝たきりだし、寒いし、お腹をいつも空かせているし、体力を温存するためなるべく動かないように努めなきゃだし、チョコレート工場からは甘い匂いが漂っているのにチョコレートなんてどこの世界の話だなんて感じで、とぼとぼと雪道を歩くチャーリーの目の前に、雪の中、キラリと光るものがある。金貨だ! もうお腹が空いてしようが無い。この金貨を拾ってチョコレートを買って食べよう。そして残りはお母さんへ渡そう。お腹が空いているから、黄金切符のことなんてすっかり忘れてる。夢中で買ったチョコレートにその場で噛り付くチャーリー。すると・・・なんて感じ。 逆に、原作の後半はあまり好きではない。チャーリー以外の子供は全員「悪い子」で、その子らは全員淘汰されてゆく。悪い子供達の淘汰のされかたがちょっと残酷。児童文学だから、もちろん最後に救いはあるけど、後味が悪いなぁという感触なのだよね。こんなに悪い子だとあとで痛い目に遭いますよ、みたいな脅しにも似た説教臭さが。 しかし、映画では、前後半通して、そんなことはどうでもよくなるような楽しさ。特に「ウンパ・ルンパ」が最高。「ウンパ・ルンパ」というのはチョコレート工場の従業員として雇われている小人の集団。なぜか全員同じ顔。それもハナ肇みたいな風貌のオジサン顔だ。この「ウンパ・ルンパ」達が、聞き分けの無い子供がひどい目にあうと、それをはやしたてるように踊り歌う。この歌のシーンが笑っちゃう。同じオジサン顔の小人が歌って踊るミュージカルというだけで可笑しいのに、セットがシュールなうえに、歌が凝っている。ビートルズ風の楽曲なんてすっごく上手く出来ていて、アイロンを握り締めながら一人で笑い転げてしまった。そして圧巻なのが、「ウンパ・ルンパ」によるボヘミアン・ラプソディー風の歌。クイーンも真っ青、堂々たる迫力のパフォーマンス。もう笑い涙無しには見られない。お腹が痛くなるぐらい笑える。 「ウンパ・ルンパ」は他にもちょこちょこと可笑しいことをやっていて、ベン・ハーの奴隷船風に船を漕いだでみたり、オジサン顔なのに美人秘書になっていたり、パリッと背広を着てソファーに腰掛けたセラピストにも変身する。文字で読むと残酷で説教臭いとも思える物語の後半部分が、この愛すべきキャラクターのお陰で、原作の風刺はそのままに、遊園地的な一大エンターテイメントへと化していた。 そしてウォンカ。ジョニー・デップ。この人が普通の役をやっても、私は何も感じないのだけど、今回のようなキワモノをさせると、ほんとうに素敵。クルクル変る表情、高くハジケた喋りかた、よしもとも真っ青のベタな体当たり芸と見飽きない。彼にはもう一生、キワモノだけやっていて下さいと平にお願いしたい。 ただね、先に書いたチャーリーがゴールデンチケットを得るまでの、飢餓感や焦りがあまり感じられないのが残念。あそこがいいのにな。でも、原作にはないウォンカのトラウマが付け足されている。それが「悪いものは罰せられる」というテーマ以外のことに繋がっている。最後の一家揃っての食事のシーンは、それが表れていてとても暖かだった。それにさ、両親が誕生日のチョコレートをチャーリーに渡すシーンでは、思わず涙ぐんでしまった。所詮私は「一杯のかけそば」に弱いのさ。
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私もこの映画大好きです!とてもダークなファンタジー!映画館観に行きましたよ。原作を読みたくて探したんだけど、今書店にある新訳版よりも、圧倒的に旧訳のほうが素晴らしいというウワサ。図書館でもいつも予約でいっぱい。ryさんが読んだのは旧訳版でした?私もWOWOWで観なおそーっと。
2006/10/15(日) 午前 2:17 [ サンジ ]
原作は、合併で福井市の図書館になったこちらの図書館では、いつも寂しそうに棚にありますよ(笑)。ちなみに新訳です。新訳旧訳では論争があるみたいですね。私ももういちど観よう、ウンパ・ルンパ、最高っす。
2006/10/15(日) 午前 9:32
先日、知り合いの方から、不要だからと、「チョコレート工場の秘密」をいただきました。(まだ読んでいませんが) 昭和48年発行で、田村隆一訳ですが、これって、旧約版?
2006/10/18(水) 午後 7:27 [ mariko.mw17 ]
新訳では、チューインガムの女の子が「アゴストロング」なんて名前になっていますが、その本はきっと旧訳ではないでしょうか。だとすると、絶版の貴重品だと思います。噂では、オークションで6,000円ついたとかつかないとか・・・
2006/10/19(木) 午前 8:04
え〜、すごい。箱こそちょっと汚れているけれど、本自体は新品同様で、チューインガムの女の子のところ読んだけれど「アゴストロング」という言葉は出てこなかったです。6千円ですか、うん、でも、せっかくいただいたので、売らないことにします。
2006/10/20(金) 午後 5:53 [ mar*ko_*w1* ]
間違いなく旧訳ですね。しかも箱までついて。6千円はあくまでも噂ですが、でも私だったら、オークションでどんな値がつくかムラムラしてしまいます(笑)。そうですよね、せっかく貴重なものを頂いたんですから、大切にしてくださいねー。
2006/10/20(金) 午後 11:47
わお。私もコレ観ました。スコスさんとは違ってひとこと程度の感想なんで恐縮ですが、トラバしてみたので読んでやって下さいませ〜〜。
2006/11/15(水) 午後 7:55
おふくさん、コメント頂いていたのにレスが遅くなってしまってごめんなさい。TBありがとう。
2006/11/22(水) 午後 10:18