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「菅原伝授手習鑑」寺入りの段、寺子屋の段 「釣女」 ■夜の部 「曽根崎心中」生玉社前の段、天満屋の段、天神森の段 3月23日(金)、石川県立音楽堂・邦楽ホール。平成19年3月文楽地方公演。 昼の部、夜の部とダブルヘッダーで観劇。楽しかったー。大満足。「菅原伝授手習鑑」の寺子屋の段、大泣きしてしまい、最後まで涙が乾く暇がなかった。 まずは解説。去年の地方公演でも解説はあった。地方公演には解説がつきものなのかな。解説は昼の部、夜の部ともあるので、両方観た私は解説も2回観ることに。太夫、三味線、人形遣いの三方ががそれぞれ説明するのも去年と一緒。昼の部の解説は、太夫が竹本津駒大夫さん、三味線が鶴澤清丈さん、人形遣いが吉田幸助さん、夜の部は、太夫が豊竹呂勢大夫さん、三味線が豊澤龍聿さん、人形遣いは吉田清五郎さん。 このうち鶴澤清丈さんと豊澤龍聿さん、吉田幸助さんの解説は去年も見ている。この3人は喋り馴れていて本当にお上手。よどみなく言葉が流れていて感心しちゃう。でも、鶴澤清丈さんのメール顔文字ネタ、豊澤龍聿さんの火サスネタは去年と一緒だよ。まあ、それでも笑っちゃったし、お二人とも美男子なので許しましょう。私一番のお気に入りの解説は、人形遣いの吉田幸助さん。このかたの解説の何がいいって、人形使いなのに、娘の人形を使うとき、なぜか喋り方が娘になっちゃっているところ。妙に女らしくて色気があって笑っちゃう。小石に躓きそうになって「ああ、危なかったわ」なんていうところなんて、人形の仕草も吉田幸助さんの喋り方もすごく可愛い。もっと観ていたい。 昼の部の「菅原伝授手習鑑」。もちろん初めて観るので、「一字千金ニ千金」の義太夫とか、よだれくりとか、松王とか、最初はキタキターって感じでひとりで意味なく盛り上がる。寺入りの段の最後で、松王の息子の小太郎が、母親に他所に使いに行ってくるから待っていなさいと言われると、自分も連れて行ってと駄々をこねるところ。この子の最期が解っているだけに、ここはひどく不憫に感じる。 寺子屋の段。源蔵が小太郎の文庫を割ると「南無阿弥陀仏」の幡が出てくるところで、目の前が霞みはじめちゃう。母親が泣きながら「最期に別れた時に、何時にない後追ふたを、叱った時の、その悲しさ」と言うのだけど、さっきの寺入りの段の最後を思い出して、ウルウルが耐え切れなくなり、涙がとどめなく流れ落ちてしまった。さらに、小太郎の最期を語る源蔵の「潔ふ首さしのべ」「にっこりと、笑ふて」。もうこうなると歯止めが利かない。ここからずーっと泣きとおし。とくに松王夫婦が白無垢で出てきてからは涙で前が見えない。見えないのに、耳からは義太夫のいろは送りが聞こえてくるんだから、もうどうにでもしてくれって感じで泣く。 そんなふうにかなり泣いてしまって恥かしかったのだけど、上には上がいる。同じように啜り泣いている人は結構いたけど、なかでも私の隣の隣のオバサンが凄かった。泣き過ぎて咳き込んじゃって、止まらないの。こんなすごい泣き方する人ははじめて。これに比べたら、私はまだまだであります。 休憩を挟んで「釣女」。これは狂言の「釣針」だよね。太郎冠者がいっちょ前に黄色い足袋を履いている。かわいい。義太夫の文句の最初の部分は、狂言の台詞とほとんど一緒。「かように候者は、このところの大名でござる」「太郎冠者あるか」「お前に」「念のう早かった」 でもなんか変。よくよく聞いていたら、台詞のアクセントが関西訛りなんだ。そうか、義太夫だもんね、当たり前だ。太郎冠者が「天にあらば比翼の鳥、地にあらば連理の枝」というところでニヤニヤ。だって、そのひょうきんなかしらでそんなロマンティックなことを言われたってさ。終わり方は、あっさりした狂言と違って、これでもかのねちっこい終わり方。 昼の部が終わって、大満足。いい意味で夜の部は観ずに帰りたい気持ちになった。夜の部は「曽根崎心中」。天満屋の段で、お初の登場シーンがカッコイイ。正面の暖簾越しに、斜に客を見据える感じで構えている。それにくらべて、近松の書く男ってどうしてこう救いようがなく情けないんだろう。ケンカでぼろ負けするわ、ボロボロになって惨めに女の所に来るわ、内掛の中に匿われるわ、挙句に暗闇で鍵をあけられなくて焦るわ。徳兵衛は最初から最後まで惨めで、ここまでする近松って、サディスティックだなと感心しちゃう。 天神森の段。「早う殺して」で徳兵衛がお初を刺すとき、人形が縦に重なり合うでしょ。徳兵衛が上でお初が下で。お初は客席からは後頭部しか見えない、この構図にびっくり。人形なのに、何この生々しさは。このお話しでは、お初徳兵衛が可哀想というより、徳兵衛の情けなさとか、心中の舞踏的な美しさを楽んでしまったんだけど、それでよかったんでしょうか。 今回は、前回の伊賀越でどうしても納得できなかった子殺しが、ストンと腑に落ちた感じ。それに自分ががどんな大夫が好きなのかも解ってきた気がする。といっても、まだ顔と名前が一致しないんだけど。
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「寺入り」は何度も聴きたい浄瑠璃ですけど、CDでは省略されているので現場で楽しむしかないんですよね。お気に入りの太夫さんできたみたいですね。ぶすっとした表情の綱大夫さんでしょうか?
2007/4/3(火) 午後 7:34
ゆうおおさんのブログで予備知識があったからでしょうか、「一字千金ニ千金」のところでおおーと感激しました。大夫さんの写真を確認したら、まさしくその人でした。何でわかったのでしょう?
2007/4/4(水) 午後 11:17
近江町市場でお寿司が食べたいです。ダブルヘッダーしたら腰に来るようになりました。
2007/4/10(火) 午後 3:31 [ - ]
私も腰が痛かったです。帰りの雷鳥で座っているのが辛かったです。近江町市場のお寿司屋さん、よく聞きますよね。食べたことあります?
2007/4/12(木) 午後 11:21
わーお!どこに行くのもサンダーバードですか。近江町市場は何度も行きましたよ。観光客向けのお店ばっかりで、どこが本当に美味しいか知らないのですわ(笑)
2007/4/13(金) 午前 0:02 [ - ]
電車に乗るのが好きなんです(笑)。金沢は車で行ってもいいんですけど、駐車料金を払うと結局JRのほうが安くついたりするんですよ。今回は駅のすぐそばでしたしね。近江町市場って、私もなぜか歩いてるだけで終わっちゃうんですよねー。
2007/4/14(土) 午前 8:07