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分かっていない、と言うか、勘違いしている日本の軍オタが多いようだけど、
ソヴレメンヌイ級は、れっきとした「艦隊防空艦」です。

本級は元々、1960年代に建造された「ヴォルナM」(SA-N-1)エリア防空ミサイルを主兵装とするプロジェクト61(カシン型)駆逐艦の代替として計画されました。
同世代で言えば、アメリカ海軍の「キッド」級ミサイル駆逐艦あたりが「対抗馬」になります。

ソヴレメンヌイ級に搭載されている防空ミサイル「ウーラガン」(SA-N-7)は、セミアクティブレーダー誘導方式で、射程距離が25〜30km程度とエリア防空用ミサイルにしては短いが、これは、同時期に開発された射程90kmの広域防空ミサイル「フォルト」(SA-N-6)を補完する目的で開発された為です。
要するに「ハイ・ロー・ミックス」の「ロー」に当たるシステムだったわけだね。

「それならフォルトだけで良いだろう」などと思われるかもしれないが
フォルトは大型のシステムで嵩張るし、コストも高くなる。何せ「ハイ」の方だからね。
それにフォルトは、あくまでも「長距離迎撃用」なので、撃ち漏らしたターゲットが、より接近してきたら対処が難しくなる。
そこで、フォルトが撃ち漏らした対空目標を撃つのが、この「ウーラガン」の役割というわけだ。

あくまでも、「フォルト」システム搭載艦と組み合わせて運用する事が前提のシステムというわけだね。

「ウーラガン」は、地対空ミサイル「ブーク」(SA-7ガドフライ)の艦載型だが、正確に言うと、陸海共用として開発された対空ミサイルになる。
ソ連は、当初、陸上用対空ミサイルを艦載型に転用していたが、地上発射を前提に開発されたミサイルを艦上での安定した発射が出来るように改造するのに苦労した為、あらかじめ設計段階で陸上・艦上の両方での運用を考慮するようになった。言い換えれば、艦上発射型を先に作り、それを地上用に転用するようになった。

「艦載型"ブーク"」こと「ウーラガン」の開発は1970年代初頭よりスタートし、まず黒海艦隊所属の大型対潜艦「プロヴォールヌイ」(カシン型)が、1974年3月23日から1975年4月3日に掛けて「ウーラガン」試作型を搭載する改装工事を行った。
その後、同艦は黒海で「ウーラガン」の洋上テストに従事した。
(「世界の艦船」では、プロヴォールヌイは1981年からミサイルのテストを始めた、などと書かれているけど、それじゃ間に合わないだろ(^^;)

1980年代のソ連海軍は、長距離防空ミサイル「フォルト」、中距離防空ミサイル「ウーラガン」
個艦防空ミサイル「キンジャール」(SA-N-9)、そして近接防御システム「コールチク」(CADS-N-1)で
「四段構え」の総合艦隊防空システムを構築するつもりであり、
「ウーラガン」を搭載するソヴレメンヌイ級も、その中の一翼を担うものだったんだね。

「ウーラガン」は、管制用レーダー(イルミネータ)「オリェーフ」(フロントドーム)によって誘導されるが、ソヴレメンヌイ級は、この「オリェーフ」を6基搭載しており、同時に6個の空中目標に対処する能力が有る。
いちおうは「同時多目標対処能力」を有しているという事になる。

なお、1993年就役の15番艦「ベスパコイニィ」以降は、改良型の「ヨーシュ」Еж(SA-N-12グリズリー)に換装された。

「ヨーシュ」は、陸上型「ブーク2M」(SA-17)の艦載型で、誘導系が改良されてセミアクティブレーダー+慣性誘導(INS)となり、ミサイルの射程が50km程度にまで延長され、より高速の目標(マッハ4以上)への対処も可能になっている。
「ヨーシュ」システムは、インドや中国にも輸出され、両国の国産駆逐艦に装備されている。

さらに、「ヨーシュ」を垂直発射用に手直ししたタイプが開発されており、
現在、ロシア海軍が建造中の新型フリゲートプロジェクト22350と、
インド海軍が建造中の新型駆逐艦(改デリー級)に搭載される。


ソヴレメンヌイ級は、超音速対艦巡航ミサイル「モスキート」(SS-N-22)を搭載している事でも知られており、この為、本型は米空母攻撃の為に造られたと勘違いしている軍オタも少なくない。

だが、いくら「モスキート」がスゴイ対艦ミサイルと言っても、射程距離は、初期型で90km
後期建造艦には、射程が120km程度に延長されたタイプが搭載されたが、これで
米空母群に接近するのは、自殺行為以外の何者でもない事が分からぬソ連海軍でも有るまい?

ソヴレメンヌイ級に「モスキート」が搭載されたのは、ただ単に、このミサイルを積む大型艦が他に無かっただけでしょ。
対潜任務艦のウダロイ級に積んだんじゃ意味無いし、大型の巡洋艦(キーロフ級、スラヴァ級)は、長距離対艦ミサイルを搭載するのだから、モスキートを積む必要は無い。

本級が計画された1970年代中期の時点では、艦橋の両側に搭載するミサイルは
「ラストルーブ」対潜ミサイル(SS-N-14)か「モスキート」しか選択肢が無かったんだけど、
「ラストルーブ」を主兵装とする対潜任務艦・プロジェクト1155(ウダロイ級)が同時に計画されているのに、本級にまで、この対潜ミサイルを積む必要など無い。
なら、「モスキート」を積むしか無いじゃないか!(笑)

だいたいね、同時期に西側各国が建造した駆逐艦やフリゲートだって、ハープーンとかエグゾセなどの対艦ミサイルを搭載していたけど、別にコレでソ連艦隊と雌雄を決する艦隊決戦をやるつもりでは無かったでしょ。
海上自衛隊の「はつゆき」型護衛艦だって、ソ連太平洋艦隊との決戦用として計画されたわけじゃないよね(笑)
(旧日本海軍の甲型駆逐艦じゃあるまいし(^^;)


旧ソ連海軍において、「ウーラガン」防空ミサイルを搭載する艦艇は、このソヴレメンヌイ級しか造られなかったという事実からも、本級のロシア(ソ連)海軍における第一の存在意義は、「ウーラガン」による艦隊防空任務である事は明白じゃないかな。

「モスキート」対艦ミサイルの方は、本級の他に、ミサイル艇などにも搭載されているからね。


[写真の解説]
1枚目:「ウーラガン」のミサイル単装発射機3S90
2枚目:ミサイル管制用レーダー(イルミネーター)「オリェーフ」

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