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キーロフ級及びスラヴァ級が装備している長距離防空ミサイル複合体S-300F「フォルト」С-300Ф「Форт」
西側では、SA-N-6グランブルというコード名で知られています。

「フォルト」は、地対空ミサイルS-300(SA-10)の艦載版ですが、元々は海陸共用ミサイルとして開発され、1980年から実戦配備されました。

「フォルト」は、アメリカ海軍の「イージス」システムと同様に、同時多目標対処能力を有する防空システムです。
イージス艦の就役は1983年なので、ソ連海軍のほうが数年先んじていた事になります。

ミサイル管制用レーダー(イルミネータ)は3R41「ヴォルナ」3Р41「Волна」と呼ばれており、西側では「トップドーム」のコード名を付けられています。
ただ、その形が女性の乳房を連想させる事から(丸いドームの頂点にある突起が乳首のようにも見える)、艦隊では「シーシキ」Сиськи(おっぱい)というニックネームが付けられました(^^;

「おっぱいレーダー」は、1基で同時に6個の空中目標に対してミサイルを誘導可能であり、これを2基搭載するキーロフ級は、同時に12個の空中目標対処能力を有する事になります。
(スラヴァ級は1基しか搭載していないので、同時対処可能数は6個)
(米イージス艦タイコンデロガ級は同時18個、アーレイ・バーク級は同時12個)
3R41の丸い「おっぱい」の中には、フェーズドアレイレーダーが収納されております。

「おっぱいレーダー」の最大探知距離は約90kmであり、これがミサイルの最大射程になります。
(S-300シリーズには90kmを越える射程のタイプも在るが、例えサイズ的には搭載可能でも、誘導できないので無意味)

発射機はB-203Aと呼ばれる垂直発射型ですが、西側の箱型のVLSとは違い、8連装のリボルバー型となっております。
発射機は回転しながら1発ずつミサイルを発射します。

さらに、これも西側とは違う所ですが、ミサイルはコールドガスによって発射機から空中に放出された後にロケットモーターに点火する「コールドランチ(Cold Launch)」方式を採用しております。
ちなみに、西側の垂直発射機は、発射機の中でミサイルに点火する「ホットランチ(Hot Launch)」方式です。
コールドランチの利点は、発射機を傷めない事に尽きます。

このB-203A型発射機は、キーロフ級には12基、スラヴァ級には8基が搭載されています。
ただし、スラヴァ級では8連装リボルバーが剥き出しになっていますが、キーロフ級は四角い板で覆われています。

更につけ加えると、西側で最初に垂直発射機を装備したのは、1986年9月20日に就役したタイコンデロガ級イージス巡洋艦の6番艦バンカー・ヒルからです。
ソ連に遅れる事6年でした。


ソ連邦解体後に竣工したキーロフ級4番艦「ピョートル・ヴェリキー」は、改良型の「フォルトM」(SA-N-20)に換装されました。
同艦は、当初は1〜3番艦と同様の「フォルト」を装備する予定であり、「おっぱいレーダー」2基も搭載済みだったのですが、竣工が大幅に遅れた為、改良型システムが搭載される事になりました。

「ピョートル・ヴェリキー」は、イルミネータが1基だけ「30N6E」(フラップリッドB)に換装されました。
「30N6E」の最大探知距離は150km程度と見られ、これに伴い、ミサイルの最大射程も150kmに伸びました。
ただ、同時対処可能目標数は、「おっぱいレーダー」と同じ6個のようです。


と、このように高い能力を持つ「フォルト」複合体ですが、基本的には、大型艦でなければ搭載できない防空システムです。

ロシア海軍でも、キーロフ級とスラヴァ級にしか搭載されていません。
同海軍が、高い維持費にも関わらず、この両クラスを未だに現役に留めているのは、フォルト複合体の高い防空能力の為でしょう。


「フォルト」複合体は、これまで外国に輸出される事は有りませんでしたが、中国海軍の新型駆逐艦051C型(瀋陽級)に、改良型の「フォルトM」が採用されました。
(ただし、イルミネータは1基だけなので、同時対処可能目標数は6個ですが)

瀋陽級は満載排水量7,000トン以上の大型駆逐艦ですが、この辺りが「フォルト」複合体を搭載する艦艇の最低ラインになるようです。

現在、ロシア海軍には、このような大型駆逐艦の建造計画は無く、「フォルト」搭載艦は、当面の間、現役に留まらざるを得ないでしょう。


[写真の解説]
1、2枚目:3R41「ヴォルナ」(シーシキ)
3、4枚目:キーロフ級のB-203A型垂直発射機
5枚目:ピョートル・ヴェリキーの30N6E
6枚目:中国海軍051C型駆逐艦の30N6E

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こんにちは。
おっぱいレーダーの誘導能力についてですが、以前、「軍事研究」で「3目標に対し3発ずつ、前後あわせて6目標に対し12発」という記述がありました。
その根拠はおっぱいの下にある円筒形の突起が3つだから、というものでしたが、この見解はどう思われますか?

2007/11/29(木) 午後 0:42 [ - ] 返信する

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>forcent_project様、どうも。

>おっぱいの下にある円筒形の突起が3つ
3R41「ヴォルナ」は、おっぱいカバーの中にあるフェーズドアレイ方式アンテナで
ミサイルを誘導するので、下にある突起は関係無いと思われ(^^;

第一、それを言ったら、改良型「30N6E」(フラップリッドB)だって
下に長方形の突起が3つ付いていますが・・・

2007/11/29(木) 午後 5:38 [ 高町紫亜 ] 返信する

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こんにちは。
私も個人的には突起に大きな意味はないと思っているのですが、電波透過材で出来ているのは間違いなさそうですね。
(30N6Eの突起は金属製と思われます)
もともと3R41はビームライディング方式とする説が主流でした。
かつてのブラウン管のように電子ビームを上下左右に振る構造で、レーダーの外形が放射状に広がっているのはそのため、というものです。
最新のフェーズドアレイ方式ならドームをつける必要はないとも言っています。
また開発時期から見て電子技術が大幅に遅れていたソ連が米国と同等のフェーズドアレイパネルを作るのは困難との見方もあります。
通常、航空目標を迎撃するには1目標に対して2発のSAMを発射するのが基本です。
ご承知のとおりこれは迎撃率に基づくもので、米海軍によると命中率は1発の場合86%、2発の場合99.8%、3発の場合99.9%となっています。
ですからミサイル誘導能力としては目標追尾能力の二倍が必要になります。
2基のイルミネーターで12目標を処理できたとなれば、80年代初頭に驚異的な艦隊防空能力を実現していたことになります。

2007/11/30(金) 午前 9:13 [ - ] 返信する

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