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ロシア海軍艦艇ではありませんが、原子力砕氷船プロジェクト10520「アルクチカ」級
(Атомный-Ледокол Проект-10520"Арктика")

ロシア側の分類も、Атомный-Ледокол(原子力砕氷船)です。

本級はムルマンスク船舶公社「アトムフロート」に所属していますが、西側では海軍の補助艦艇として扱われており、実際、海軍用のレーダーが装備され、戦時にはすぐに武装できるようになっていました。
ロシア(ソ連)の砕氷船で、本級だけが海軍のプロジェクト番号を付与されています。

海軍用ではない「民間」の原子力船は、西側でも何隻か建造されましたが、原子力機関は民間用としては採算が取れず、短期間しか運用されませんでした。
(アメリカの貨客船「サヴァンナ」、旧西ドイツの鉱物運搬船「オットー・ハーン」)

日本でも、原子力機関のテスト船として「むつ」が建造されましたが原子力機関を撤去してディーゼルに換装し、1997年、海洋研究船「みらい」として再就役しました。

一方、ロシア(ソ連邦)においては、原子力機関搭載の民間船は、北極海方面で使う砕氷船としての需要があり、西側とは違って建造が継続されました。

いちいち燃料を補給する手間の要らない原子力機関搭載の砕氷船は、長期間に渡って北極海で砕氷活動を継続できるというメリットが有ります。

ちなみに、ロシア・ソ連の最初の原子力艦船は、1959年に就役した砕氷船「レーニン」でした。

本級は、最初の原子力砕氷船「レーニン」の運用実績というか苦い経験(原子炉事故を何度も起こしている)を取り入れて改良されたタイプであり、1970年代前半から長期間に渡って合計6隻が竣工しました。

建造所は、全てレニングラード(サンクトペテルブルク)のオルジョニキーゼ工廠(バルチースキィ・ザヴォート)です。


・「アルクチカ」Арктика:1975年就役
・「シヴィーリ」Сибирь:1977年就役
・「ロシヤ」Россия:1985年就役
・「ソヴィエツキー・ソユーズ」Советский Союз:1990年就役
・「ヤーマル」Ямал:1993年就役
・「50リェート・ポベードゥイ」50 лет Победы:2007年就役

ただし「シヴィーリ」は予備役に編入されており、活動していません。

「ソヴィエツキー・ソユーズ」は、当初の予定名が「レオニート・ブレジネフ」Леонид Брежнев、「ヤーマル」は、「オクチャーブリスカーヤ・レヴォリューツィヤ」Октябрьская Революцияでしたが、就役後に改名されました。

最終船「50リェート・ポベードゥイ」は1989年に起工されたのですが、ソ連邦解体後の財政難で建造工事は停滞し、就役は2007年にまでずれ込みました。
なお、本船の当初の船名は「ウラル」でしたが、1995年に改名されました。
船名は「(大祖国戦争)勝利50周年」という意味です。

本級の原子炉は、OK-900A型と呼ばれるタイプであり、ロシア・ソ連の艦船用原子炉としては第二世代になります。
本級の機関は「原子力ターボエレクトリック」という形式であり、原子炉で発生させた蒸気でタービンを回し、それによって電動機を回し、スクリューを回転させます。

第二世代原子炉OK-900Aは、第一世代の「レーニン」の原子炉よりも炉の圧力を下げ、冷却用循環ポンプの数も減らしてメンテナンスを簡略化することによって、寿命と安全性を向上させています。


本級の主要任務は、北極海の砕氷活動ですが、35名の船客を乗せる事も出来ます。
「ヤーマル」や「ソヴィエツキー・ソユーズ」は、1990年代から、北極海観光クルーズ船としても活動しており、外国人観光客をターゲットにしています。


[写真の解説]
1枚目:アルクチカ
2枚目:シヴィーリ
3、4枚目:ロシヤ
5枚目:レオニート・ブレジネフ(ソヴィエツキー・ソユーズの旧名)
6、7枚目:ソヴィエツキー・ソユーズ
8枚目:ヤーマル
9、10枚目:50リェート・ポベードゥイ

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閉じる コメント(19)

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始めまして。いつも興味深く拝見させて頂いております。

2週間ほど前に貴殿のグログを見つけほぼ毎日見させて頂いています。

自分は幼年期に西側(アメリカ)の機体(艦体)にあこがれていましたが、現在はロシア(ソ連)の機体(艦体)が好きです。
なんと言っても、あの独特なデザインと先見性!日本の自○隊も見習ってほしいといつも考えています。

あえて、欲を言うともう少し小型化が・・・
キエフ級空母にもスキージャンプ甲板と小型単発の航空機(アメリカのA-4みたいな)が欲しかった。

これからも、貴重な資料を宜しくお願いします。 削除

2007/11/5(月) 午後 10:56 [ 九州男 ] 返信する

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いつも有益な情報有り難うございます。
ただ、今回ばかりは誤りも散見されましたので少し。

>「むつ」
少なくとも貨物船との考えでしたが、「核燃料運搬船」としては考慮されていないはずです。「核燃料運搬船」の条件をクリアするためには様々な条件がありますが、その条件前の建造であることは経緯からして明らかであり、そのような使い方が出来るほど小回りのきく船ではなかったことからも明らかです。
また、最初の洋上テストで放射線漏れを起こしたのは事実ですが、その後の改修、炉心交換を経た後の運用で特に問題があったとは聞いておりません。問題だったのは最初の養生テストで不具合が発見されてから、なかなか母港に戻れず、さらに改修にもなかなか着手できなかったことで、運用実績というより、社会的な事情というべき物です。
もっとも、この点は「むつ」に対する評価によって大きく異なりますが。

2007/11/6(火) 午後 9:14 [ ひみつのヲタさん ] 返信する

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>本級の原子炉は、OK-900型と呼ばれるタイプ
「OK-900型」は「レーニン」の1970年の改造後に採用されたループ型の原子炉であり、原子力砕氷船プロジェクト10520「アルクチカ」級で採用された半一体型の「OK-900A型」とは構造上大きく異なりますし、原子炉出力も異なります。
全く違うと言える原子炉を混同されるのは、他の情報の確かさに比べ非常に珍しいことと考えますが、技術的な評価としては致命的ですので、今後ご注意いただければ幸いです。また、この間違いはロシアの半一体型の「OK-900A型」に対して、不当に低い評価(本来はブレイクスルーを果たした原子炉として高く各評価すべき物)となりかねないことも、指摘させて下さい。

2007/11/6(火) 午後 9:15 [ ひみつのヲタさん ] 返信する

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なお、第二世代原子炉OK-900の説明に致命的な誤りは見受けられませんが、2,3。
まず、一次冷却材ポンプ(西側呼称)の数を減らすのは、単純にポンプの数が減るだけではなく、トラブルメーカーとも言える蒸気発生器の数を減らし、物量を抑えることが出来ると言う点で非常に重要な物です。ちなみにループ型の場合、これらポンプと蒸気発生器のセットを「ループ」と称しており、同じループならこのループの数で原子炉出力も規定されることとなりますので、非常に重要なファクターとなり、信頼性そしてメンテナンスにも影響を及ぼすのは明らかです。
なお、原子炉の圧力を低下させるのは、材料にかかる応力等を低下させることから、安全性のマージンを増加させる方向であり、また原子炉の寿命を延ばす結果(それだけがクリティカルな物ではありませんが重要な要素の一つです)となります。
ただし、それが「核燃料の寿命」を延ばすこととは直結しない(関係しないわけではない)ことには十分注意を払う必要があるかと考えます。

以上、ご参考まで。

2007/11/6(火) 午後 9:17 [ ひみつのヲタさん ] 返信する

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参考文献(出典)
原子力百科事典 ATOMICA ロシアにおける原子力船の開発
http://www.nucpal.gr.jp/atomica/07/07040502_1.html

注)誤字修正です「養生テスト」→「洋上テスト」

2007/11/6(火) 午後 9:19 [ ひみつのヲタさん ] 返信する

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>九州男様、初めまして。
「キエフ級空母にもスキージャンプ甲板と小型単発の航空機」は、
インドに売却されたヴィクラマーディティヤで実現するかも・・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/19742827.html
将来的には、「小型単発」の国産軽戦闘機LCAテジャス艦載機型も搭載され、
MiG-29K(9-41)と「ハイローミックス」されるかも・・・

2007/11/6(火) 午後 10:00 [ 高町紫亜 ] 返信する

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>tajiri0607様、初めまして。
御指摘を受け、記事を修正しました。

「アルクチカ」級の原子炉ですが、確かに、「A」を付け忘れていました。

『世界の艦船』2000年3月号(原子力水上艦・その出現と推移)では「むつ」は
「核動力実験、乗員訓練および核燃料運搬用に建造された」と書かれていましたが、
アレは嘘ですか・・・・

2007/11/6(火) 午後 10:01 [ 高町紫亜 ] 返信する

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rybachii様
ご挨拶が遅れておりました。某mixi小隊では大変お世話になっていたものです。今後とも有益な情報提供のほどよろしくお願いします。

>「世界の艦船」
基本的に、私自身は某軍事研究誌より信用に足るものと考えておりますが、第一義的には記事を執筆される方の力量に負うところが大きく(田岡元帥の解説記事が掲載されることでも明白)、残念ながら両誌とも原子力・核兵器分野における記事の信憑性には疑問符をつけて、最低限ダブルチェックなどをして読み進めなければならないと考えています。
(某誌はデタラメだらけであり、当方が指摘してもその部分を削除した特集号を作成するだけで、他にさらに見過ごせない間違いを犯すなど致命的な物がありますが。) 削除

2007/11/6(火) 午後 11:46 [ tajiri0607 ] 返信する

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肝心の「むつ」に「核燃料運搬」能力があったかどうかですが、開発当事者の現JAEAなどの信用できる公開情報を読む限り、それだけの能力(渡航能力・航続距離など)を備えていても、「核燃料運搬」に必須とされる設備、能力を備えていることが読み取れる記載は残念ながらありません。

あまり詳しいことは書けませんが、そもそも船の他の部分がつぶれても、「貨物室の健全性だけは守り抜こう」と設計されているものと、貨物室は犠牲にしても「原子炉だけは守り抜こう」とする設計思想が両立できるかどうか、という常識的な問題になります。
また、過去、そして現在用いられている同種の船の大きさと、「むつ」を比べた場合、「むつ」の方があまりにも大きいことも、簡単に指摘できる点かと考えます。

要は、その様な用途も考えられなくもなく、航続距離などを考えて適性を持っていたことは推測されるが、核燃料運搬に必須として求められる条件を満たしていたかについては否定的な見解を持たざるを得ない、というのが、私の愚考するところです。 削除

2007/11/6(火) 午後 11:50 [ tajiri0607 ] 返信する

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この船には思い入れがあります。

幼少期に冬の北極海を紹介するテレビ番組を見ていたのですが、日本の船が氷に閉じ込められ動けなくなった時に颯爽と駆けつけ助け出し笑顔で去っていたのがこの船です。

当時「アメリカは善ソ連は悪」との風潮があったのですが、この件で「日本の船を助けてくれるってじつは良い国」との思いがありました。
私がロシア(ソ連)に傾向するきっかけになった船です。 削除

2007/11/8(木) 午前 1:06 [ 九州男 ] 返信する

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>九州男様、どうも。
アルクチカ級は、いわば「北極海航路の守護神」的存在ですからね。

それにしても、ロシア(ソ連)に傾向するきっかけになったのが
アルクチカ級とは、ずいぶんと渋いですね(^^;

2007/11/8(木) 午後 9:41 [ 高町紫亜 ] 返信する

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古い記事にコメントしてアレですが、このアルクチカ型の最終艦『50リェート・ポベードゥイ』は、最近「北極点クルーズ」にもかり出されているようですね。日本では読売旅行社が扱っているそうです。同社では、英語読みで『50イヤーズ・オブ・ヴィクトリー』と紹介されていますが。
http://www.yomiuri-ryokou.co.jp/cruise/database/detail.asp?ID=0000161

北極点クルーズもさることながら、ロシア最新の原子力砕氷船に乗れるとなると、マニアにはよだれもののツアーですね。
ただ、全日程16日間、費用が1番安いプランでも300万円超という破格なツアーなので、一般庶民は指をくわえて眺めるのが関の山……(TT)。
しかし、乗ってみたいなぁ。

2010/1/12(火) 午後 10:44 [ bygzam_ma08s ] 返信する

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>bygzam_ma08s様、どうも。
御紹介有難うございます。

当方といたしましては、古いエントリへのコメントは、一向に構いません。

>50イヤーズ・オブ・ヴィクトリー

2000年代初頭の『世界の艦船』で、原潜「シヴャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ」が「セント・ジョージ・ザ・ヴィクトリアス」と書かれていた事を思い出しました(^^;

2010/1/13(水) 午後 6:21 [ 高町紫亜 ] 返信する

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レス、ありがとうございました。
良い、悪いは別として、艦名を他言語に翻訳(?)すると、何か珍妙な響きに聞こえますね。わかりやすいといえば、そうなんですが。
一昔前のアメリカ潜水艦なんか、日本語に直訳したら、寿司屋のお品書きみたいになってしまいそう(^^;。

そう言えば、イギリスの『アーガス』を、中国では『百眼巨人』と称していると聞いたことがあるような……。
『50リェート・ポベードゥイ』なんかは、どんな訳になるんだろう。
『戦勝50周年記念』号? なんか、雑誌の『○周年特別号』みたいですが。

2010/1/13(水) 午後 7:52 [ bygzam_ma08s ] 返信する

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>日本語に直訳

そういえば、昨年末に原子力潜水艦「アザラシ」がロシア海軍に引き渡されましたね。

あと、ソマリア沖には、警備艦「大胆不敵」が向かっているそうですよ。

それと、今年は、プロジェクト20380コルベット2番艦「利口」が就役する予定ですね。

中国が購入した旧ソ連空母「ノルマン人」の修理は着々と進んでいるようです。

2010/1/13(水) 午後 9:24 [ 高町紫亜 ] 返信する

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8月5日から 50リェート・ボベードゥイ号に乗船しました。大海原を力強く前進するたのもしさに感動しました。けど、最後2日間は大嵐に遭遇し あの揺れは決して忘れられません。原子力船初乗船は一生の宝物となりました。これからの 原子力船の動向が気になります。 削除

2010/8/25(水) 午後 4:47 [ yoppi ] 返信する

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yoppi 様
初めまして。BELLと申します。お見知りおきください。

>8月5日から 50リェート・ボベードゥイ号に乗船しました。
それは凄い。どういった経緯で乗船なさることになったのか御教示いただきたいです。
お時間が有るときにでも続報願います。 削除

2010/8/27(金) 午後 8:58 [ BELL ] 返信する

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旅行会社の40周年記念にと チャーターされた北極点
到達の旅に参加し 思いがけなく原子力船にのることができました。
ほんま 感激しましたよ!! 削除

2010/9/15(水) 午後 8:48 [ yoppi ] 返信する

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>yoppi様
御教示ありがとうございます。
日本に居ると原子力船に乗る機会なぞありませんからね。羨ましい限りです。 削除

2010/9/27(月) 午後 1:46 [ BELL ] 返信する

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