現在、ロシア海軍唯一の「空母」である重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」には、早期警戒ヘリコプターKa-31が搭載されています。
しかし当初の計画では、本級というかロシア(ソ連)空母にも、アメリカ海軍が保有するような艦上早期警戒機が搭載されるはずでした。
まず最初に計画されたのが、小型STOL輸送機An-72の早期警戒機型An-71の艦載ヴァージョンであるAn-71Kです。
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/an-71.htmより。
"An-71「マッドキャップ」は、垂直尾翼上に早期警戒用レードームを備えた改修型のAn-72であり、空母「トビリシ」(アドミラル・クズネツォフ)艦上での運用の為に構想された。
この機体は、An-72よりも約6m拡張された主翼および他の細かな改良点を特徴とする。
双発ターボプロップ機のYak-44(1993年、一転して開発は中止された)が支持された為、開発が中止されるまでに、An-71は3機が製造された。"
開発中止の理由は、実際に作ってみたら、「アドミラル・クズネツォフ」くらいのサイズの空母で運用するには大きすぎる事が判明した為、といったところでしょうか。
輸送機としては小型の部類かもしれませんが、艦上機としては大きすぎます。
代わって計画されたのが、まったくの新規設計の艦上早期警戒機・ヤコブレフYak-44Eです。
こちらは、開発時期からも、最初から「アドミラル・クズネツォフ」級以降での運用を考慮して設計されました。
モックアップを一見すると、アメリカ海軍のE-2ホークアイに良く似ており、実際、本機は「ホークアイスキー」などという仇名が付けられたものですが、サイズはE-2よりも遥かに大きく(全長20.39m、全幅25.70m、最大離艦重量30,400kg)、プロペラは二重反転方式と、単なるE-2のコピーというわけではありません。
スキージャンプ発艦方式のクズネツォフで、このような大型のターボプロップ機を発艦させるのはロケットブースターを使うRATO(Rocket Assites Take Off)方式になったと思われます。
これは、An-71Kにしても同様だったでしょう。
ただ、クズネツォフ級2隻の次に建造される予定だったウリヤノフスク級「原子力空母」は、蒸気カタパルトが装備されるので、当然、発艦にはカタパルトが使用される事になったでしょう。
1991年には実物大のモックアップが完成しましたが(上記写真)、Yak-44Eの開発も、ここまででした。
同年12月末にソ連邦は解体し、1993年にはYak-44Eプロジェクトは中止されました。
こうして、試作1号機すら完成せずに、Yak-44Eの開発は中断されてしまいました。
これらの機体の他に、艦上戦闘機Su-33の早期警戒機型、というのも考えられていたようです。
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はじめまして、初めて投稿します。
よろしくお願いします。
兵器マニアの僕としては、Yak-44Eの開発中止は残念でなりません。
原子力空母ウリヤノフスクからカタパルトで飛び立つ姿を見たかったのですが•••。
せめて、1/72スケールのプラモデルが出ないかなぁ。
2011/7/7(木) 午後 9:52 [ Black storm ] 返信する