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★ハワイには雪が降る。
沖縄でもかつて雪が降ることがあったが、今はとだえて久しい。
が、マウナ・ケアでは、今でも雪が降る。 「白い山」と呼ばれるこの山頂が、4205メートルもあるのだから、
降って当たり前、積もって当然の大地なのだ。 外に出て、カメハメ八通りに立ち、高い空にマウナ・ケアが
輝いているのを見るのは、ハワイ島の人たちと同じく、 神聖な気持ちにさせられる。 そう感じるのは、少し昔に、同じ母を持つ民族であった
せいだろうか。
そんな、朝から快晴になるのは珍しいHiloに、Ryoの入れられた
教会孤児院があった。
こどものいない、敬虔なクリスチャン夫婦が、遠<からでも
訪問するこの孤児院では、明るく、礼儀正しいこどもから
引き取られていくことが多く、シスターたちはいつもそれを
強調してこどもたちをしつけていた。
こどもたちも、そうすることが一番大切なことと理解して、
そうなるように努力していた。 訪問客がある日には、いっそう明るく元気にふるまって、
精―杯の笑顔を振りまいていた。 しかし、Ryoだけは違っていた。
みんなと一緒に笑うこともな<、遊ぶこともなく、部屋の隅で
壁を見つめ、病んでいるこどもたちの多くがするように、時折
目を細め、自分の指をひらひらさせてほほえむ…。
そんなことが常だった。
かと思うと、いきなりからだをこきざみに震わせて
くずかごに走り、頭からかぷることがあった。 そんな謎のような衝動がこどもたちから嫌われ、
話しかける子も皆無で、遊び仲間に入れようともしないで 無視した。
いつもひとりぽっちなのに、小さく笑う、その胸に迫る
さびしさが、シスターたちの哀れを誘うのだった。
ただ、笑顔を見せず、話すこともしないのに、シスターや
ナースの心を魅きつけたのは、そのやさしい顔立ち、風に
そよぐ金色の髪の美しさ…、エーゲ海ブルーの、美しい瞳の
せいだったかもしれない。
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