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日本に民主政治が実現しないのは、メディアと野党勢力の責任
 私たち国民は、先の総選挙で安易な投票行動を執ったばかりに、自民党に三分の一強の総得票率で三分の二弱の議席数を与えるという恐るべき過ちを犯してしまった。その過ちとは、単に、直前の総選挙で民主党を支持した有権者が、 『民主党のマニフェスト破りを理由に、自民党に鞍替えした。』 というわけではなかった。

 有権者にとっての関心事である脱原発やTPP、社会保障、エネルギー政策、デフレ脱却など、それぞれの主張に支持が分散する中、『2%のインフレ目標を設け、無制限の量的緩和で円高を是正し、大規模な公共投資と民間投資の喚起で経済の好循環を造り出す。』 という自民党の甘い言葉に騙された有権者の投票が、分散した三分の二の投票を死に票にした結果である。これは選挙制度の問題でもあるが、三分の一の有権者でも纏まった行動を執れば政権党を生み出せるということだ。
 結果的には、現政権に投票した有権者ばかりでなく、票を分散させた有権者も現政権の誕生に手を貸したことになる。国民は、自民党というテロ集団に日本の政治を「白紙委任」してしまったのである。

 安倍政権が発足するや、政権の指名を受けた日銀総裁はインフレターゲットと円安誘導の大胆な金融緩和策を打ち出した。それに反応した国内外の投資家や年金マネーが株価を押し上げ、更にはその株価上昇に魅せられた素人投資家の参入が相次ぎ、株取引は更に過熱し、実体経済とは乖離した株価上昇による好況感のみがクローズアップされている。しかしそれは、大多数の国民の願いとは裏腹に、消費増税と相まって国民の生活コストは増大するばかりで、経済の好循環とは程遠いものである。
 アベノミクスの象徴は株価上昇に他ならず、今また企業や利権者優先のアベノミクス三本目の矢が放たれようとしている。次は子や孫を抱える中高年層の弱みに付け入り、子供の教育資金を株式投資に振り向けさせる魂胆。更には消費税の追加増税、法人税減税とそのための個人への増税、非効率産業への補助金バラマキ、社会保障関連財源の確保など、消費者の負担は増すばかりである。
 それにも増して、国民がアベノミクスの効果を株価のトレンドから読み取り一喜一憂している間に、他方では原発事故収束のための抜本的な対策を放置したまま、原発再稼働や原発輸出の推進、TPP交渉による大幅妥協、公務員給与削減の終了、日本版NSCの設置と特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則の見直しと集団的自衛権行使の閣議決定など、民主主義や戦後平和主義の根幹を突き崩し、歯止めのかからない暴走が始まり、独自の文化や価値観を持ち世界中から羨まれる程の素晴らしい日本の終わりが始まってしまった。こんなことを決して許してはならない。

 日本に民主政治が実現しないのは、メディアと野党勢力の責任である。何故なら、メディアは真実を報じず、政府(大本営)発表や与党の主張のみを優先し、それらに反する意見や問題点(歴史的な継続性、国民の間で培われてきた価値観や国際的な常識との乖離など)について国民に伝えることを怠っている。
 国会論戦はただの儀式であり、野党勢力は政治に対し何の影響力も行使できず、メディアへの露出もないまま国民からは忘れられた存在でしかない。次の総選挙に備えてか、野党勢力の離合集散を画策するニュースは国民にも聞こえてくる。しかし、それが国民の希望や日本の輝かしい未来に結びつくとは思えない。政治家は国民の意を汲んだ国民の代表ではないからだ。
 政治家が勉強会や研修会をやったところで、何の意味もない。そんな暇があれば有権者と向き合い、有権者の意を汲み、国政に反映するための連絡網を作り上げ、全国つつうらうらで有権者と向き合うシステムを創ることだ。
 その中で採り上げられた政策構想や論議を有権者にフィードバックしながら、合意形成を図り、練り上げられたものが政党の政策となるべきである。そうすれば、選挙に金を掛ける必要もなくなる。有権者が自分たちの代議員を国政の場に送るなら、手間暇を惜しむこともない。そして、代議員も法外な報酬を要求できるはずもなく、法外な報酬を要求するような代議員を有権者が選ぶはずもない。政治家は、「自分の主張を押し立てる前に有権者の声に耳を傾けよ!」 それが民主政治というものだ。

 戦後の民主憲法のもとでも、マニフェストや公約は守られたためしがない。日本を変えようとするならこの方法しかない。どの野党勢力が国民と真摯に向き合い、無党派層の支持を集めることができるのか? それは、どの政党がそれに気づき、そのための行動を執れるかに懸かっている。

 衆院の任期切れまでもう二年超などと、準備もせずにもたもたしていると、点数稼ぎの政策がたまたま功を奏し、政権の支持が高まれば、第三次安倍内閣のための解散総選挙という手を打ってくる事さえあるかも知れない。

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