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エネルギー意見聴取会の「あり方」についての問題 \?\᡼\? 1

 政府は、現在各地で「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」を催し、意見を聞いている。
 「現在、政府は、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、エネルギー・環境戦略の見直しを行っています。6月29日に、政府の「エネルギー・環境会議」(議長:古川国家戦略担当大臣)は、2030年のエネルギー・環境に関する3つの選択肢(原発依存度を基準に、①ゼロシナリオ、②15シナリオ、③20〜25シナリオ)を取りまとめました。この選択肢について国民の皆様より御意見を直接いただく「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」を全国11都市で開催いたします。本意見聴取会では、エネルギー・環境戦略の選択肢について御参加頂く方からの意見表明の場も設ける予定です。今後、本意見聴取会をはじめとした国民的議論を礎として、8月にエネルギー・環境の大きな方向を定める革新的エネルギー・環境戦略を決定し、政府として責任ある選択を行います。」と言って以下の資料を提示している。

       資料:エネルギー・環境に関する選択肢

 各地で開かれた「意見聴取会」で、電力会社社員が堂々と意見を述べている。さすがのマスコミもこれを大きく取り上げ、批判を始めた。


 原発事故の検証として、現在までに、政府事故調の中間報告(2011年12月26日)、民間事故調報告(2012年2月27日)、国会事故調最終報告書(2012年7月5日)が発表されている。次週7月24日には、政府事故調最終報告が出される予定だ。政府は拙速にエネルギー・環境問題の方向性の議論を進めるのではなく、各事故調の報告内容から、国民の安全安心を守るために何をしなければならないかを学ぶべきである。

政府事故調の中間報告では、「原発は一旦暴走したら制御の効かない劣った技術」と言っていた。
国会事故調最終報告書では、「原因は人災である」と言った。

 政府事故調は政府自らが諮問を求めたはずである。また国会事故調は、国民が直接選挙で信任を与えた代表が諮問したものである。少なくとも、この二つの報告を無視した政策立案は、国民への背信である。

 電力会社や電事連、原発関連企業は、国の原子力政策が生み出した「モンスター」である。それが今や『規制側を虜にしてしまった』と国会事故調が報告した。国民から真の声を引き出すつもりなら、利益相反のある電力会社や原子力ムラの側の発言は国民に不信感を植えつけるだけで、彼らにとってもマイナスであることすら分からない無神経さを有していることを証明するものである。

 「意見聴取会」のあり方そのものに問題がある。先ず、以下のについて具体的な資料を提示すべきである。
  • 原子力の利用割合を0、15、20〜25%と決める根拠が不明確
  • またそれぞれの場合の代替手段、
  • 地震や津波に対する安全性が確保されていない原発への必要投資額、
  • 原子炉圧力容器の脆性劣化を考慮した残存耐用年数の明示、
  • 新規建設ができない場合の2030年時点での稼働可能原発状況、
  • 使用済み核燃料の最終処理と原発廃炉に要する費用、
それらを示さなければ、国民は何を根拠に意見を言えるのだろうか?

 政府の姿勢が原発維持なのか、脱原発なのかはっきりせず、意欲的な提案もない。結局「意見聴取会」は、単なるセレモニーで終わってしまうものとしか思われない。国民の多くは0を望むだろうが、15%に妥協するような決着となるかも知れない。仮に中をとって15%とした場合、2030年までに廃炉とするものが多く、15%を維持するために新規建設を認めなければならなくなる可能性も否定できない。

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