ここから本文です

書庫過去の投稿日別表示

全1ページ

[1]

「失われた20年」政官財・言論界に妙案無し(2) \?\᡼\? 1  \?\᡼\? 1
 
  命題2、日銀改革で円高とデフレの解消は実現するのか?
 
 みんなの党や大阪維新などが主張する日銀改革だ。保守派の政治家も注目し始めた。「日銀改革で円高とデフレの解消」を図ろうと言うものだ。日銀法改正の内容は、日銀に物価安定の他に「雇用の安定」に資することを求め、政府が「物価変動目標を定め日銀に指示」し、達成できない場合は「内閣による役員の解任権」を行使できる。その他附則で資産買い入れのための基金の創設を謳っている。
 
 (番外編 日銀の金融政策で財政再建と円安誘導は簡単にできる)
 

※前段の1〜3が高橋氏が提唱する金融政策である。
後段の4〜6は、主義主張に関係なく当然に進めなければならない政策である。

  1. 国債の日銀引き受け、既発債を流通市場から吸い上げ、資金供給量を増やしインフレ誘導する。
  2. ドル円の相対的資金量でドル円相場は決まるため、マネタリーベースを増やせば円安誘導できる。
  3. インフレターゲットを決めて資金供給量を増やせば、名目成長率を上げ税収増を図ることができる。
  4. 歳入歳出は、シーリングを決めずに予算の組み替えを可能にする。(それが出来れば財政再建に消費税は必要ない。)
  5. 公務員改革は必要、給与では、大企業に合わせるのではなく統計上の一番多い層に合わせるべき
  6. 歳入庁を作って徴収漏れをなくすのは世界の流れ
 
「第2の命題」では、高橋洋一氏の1〜3の金融政策は良いことずくめの政策のように見える。しかし、高橋氏の主張する金融政策の本家はアメリカだ。2008年9月のリーマンショック、株価は翌年3月に底値を付け(約半分)、同月の不況終了宣言と共に順調に回復を見せ、2011年に入りリーマンショック以前の株価を取り戻すと、以来大きな下げもなく現在に至るまで上昇トレンドを維持してきた。
2006年2月に前任者のグリーンスパン氏に代わって就任し現在に至っているバーナンキ氏の功績であることは間違いない。確かに、企業収益(株価に反映)や輸出量は世界大恐慌から脱出した戦後の景気回復に迫るものがある。しかし、非農業部門の雇用、製造業の雇用、所得、住宅価格、銀行融資は最悪のレベルにある。
 
 
 この状況について、アメリカの次期大統領候補だったロン・ポール氏は、以下のように述べている。
 「今の2%のインフレ目標が、実際に何なのかについて考えれば、これは、ドルを減価し、その購買力を減らす明白な政策であることが分かる。そして、それは、時間とともに、急速に足し合わさるのである。
 年2%の価格インフレは、十年の内に物価が22%上がり、今後20年の内に50%近く上がることを意味している。
政府の役人たちは、このインフレによる値上げは、平均的アメリカ人に影響を及ぼさないと主張する。なぜなら、物価が上がるにつれて、自分たちの家計を守るために、本物のステーキの代わりにミンチ肉のハンバーガーを、本物のベーコンの代わりにシリアルを代用できるからだと。
 しかし、アメリカ国民は、連邦準備制度と価格インフレのために、自分たちの生活の質が悪くなることを見過ごさない。では、今のまがい物のハンバーガーとシリアルが急騰したら、次に何を代用するのだろうか?
 連邦準備制度は、貸出と消費の押し上げを期待して、金利を低く保ち続けている。しかし、金利をゼロに保つことは、貯蓄する気を失わせる。もしも、毎年、少なくとも2%で失うことが保証されていたら、なぜ、0.05%を生む貯蓄口座に、お金を突ぎ込むだろうか?
 連邦準備制度は、そういう政策で、これまでに世界が知る最大の債務バブルを創り出した。延長するゼロ金利政策は、倹約と貯蓄、すなわち繁栄を築く仕組みを骨抜きにするのみである。資本は、消耗し続け、荒廃に陥り、合衆国は、以前の自分の影に過ぎなくなるだろう。」
 
7/23ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は、「米FRBは物価の安定と最大限の雇用という二重の任務を課されている。それは微妙なバランスを必要とする。FRBがインフレ制御に集中し過ぎると、成長を窒息させ、失業を増大させるリスクが大きくなる。逆に、雇用促進に集中し過ぎると、インフレは急速に加速して制御不可能になる。バーナンキ議長はこのバランスを保とうとして苦労している。」と言う。
ところが、議会のバーナンキ批判派の議員の大半は、FRBの金融緩和政策が将来のインフレ加速のリスクを高めていると考えている。これに対し、議会の外では、バーナンキ批判派の大半の人々は、全く正反対で、インフレは将来問題になるかもしれないが、現時点ではそうなりそうにない。また、現在高過ぎる水準とだれもが認める失業率の是正に同議長がほとんど関心を抱いていない、と主張する。
FRBの暗黙のインフレ目標は2%である。これに対し、「自然失業率」を6%とすると、インフレターゲットを4.2%(=米連邦準備制度理事会(FRB)が、現在失業率が目標を上回っている分だけ物価上昇を放置してインフレ目標から遊離させた場合のインフレ率)とする必要がありそうだ。
 
 アメリカの経済政策は、破綻に向かって進んでいるとしか言いようがない。ロン・ポール氏の説のように、インフレはアメリカ人の生活の質を落とし、0金利の中でのインフレは貯蓄の目減りを加速し、同時に債務も目減りする。
 
また、同紙は、以下の発言についても紹介している。
 バーナンキ議長は「FRBがインフレ目標を2%から4%に引き上げたら、企業や世帯はFRBが将来、それを再度引き上げるのではないかと考えるだろうと述べた。そして、FRBの(インフレ)規律に対する信頼がこのように喪失すれば、FRBが将来インフレを制御するのが一層難しくなる恐れがある。」と語った。
 ウィスコンシン大学のメンジ−・チンとハーバード大学のジェフリー・フリーデン両教授は「期待インフレ率を引き上げれば、世帯、企業、政府の実質的な負担を軽減でき、投資と消費の両方を促進する」と書いている。また、FRBに対し、インフレ目標を「数年間、4〜6%のレンジにすべき」としている。
 両教授は、この提案が債権者から「怒号を浴びる」公算が大きいことを認識している。債権者は意図的なインフレ(それは保有する債券の価値を下落させる)を自分たちの資産の没収とみなすからだ。両教授は「ある程度まで、彼らは正しい」と言う。しかし両教授は、いずれにせよこうした債務は完全には返済されないだろうと論じる。債券はインフレ、デフォルト(債務不履行)、破産、あるいは交渉による合意を通じて目減りするものだからだ。そうであれば、迅速であったほうがベターであり、それはあらゆる債務を平等に扱うのだから、少なくとも相対的に公平である。両教授は、このロジックは破綻処理の場合と同一だとし、「債権者にとっては何も返らないよりも若干は返る方がベターだ。債務者にとって救済はデフォルトよりもベターだ。債権者と債務者の双方にとって確実性は不確実性よりもベターだ」と主張する。
 
 この一連のインフレターゲット推進派の主張を見る限り、推奨する理論家自身が「いずれは破綻する」ことを容認しており、このデフレを解消する方法は「ハードランディング」以外にはなく、それに向かって加速することが「」であると考えているようだ。決して円高とデフレの解消のための有効な手法とはなり得ないことを証明するものだ。
 高橋氏の経験則からの提言はあまりにも短期間であることと、大上段に振りかざして行った政策ではなく、極短期政策としてならともかく、長期政策としてその実効性を証明するにはデータ不足である。アメリカの失敗データが全てを物語り、結局、「第二の命題も偽」となる。

「失われた20年」政官財・言論界に妙案無し(1) \?\᡼\? 1  \?\᡼\? 1
 
 週刊ダイヤモンド
       金融政策でデフレ脱却できるか
       グローバル化で日本企業は生き残れるか
       日本経済復活の処方箋、答えはどこにあるのか?
       ・・・・etc
 今政官財界で模索される成長戦略は「TPP参加とFTA等の拡大」と「日銀改革で円高とデフレの解消」と言うものだ。この場合、この二つの命題の真偽は如何!
 
命題1、TPP参加とFTA等の拡大で日本再生はなるのか?
命題2、日銀改革で円高とデフレの解消は実現するのか?
 
  「TPP参加とFTA等の拡大」で日本のモノづくりを復活させ、外圧により国内のあらゆる規制を取り払い、新自由主義型の経済原則で全ての産業やシステムを淘汰させることで、日本を再生させようとする考えである。前もって十分な準備をする時間もなく、走り始めた汽車に飛び乗るという、全く無謀な試みだ。
 
    (伊藤元重の日本経済「創造的破壊」論)
  1. 製造業の急速な海外展開を進め、更なる国際化で日本企業の国際競争力を向上させる。
  2. サービス産業の生産性向上のため、医療・介護制度を破壊する。
  3. 政府債務の削減と、持続可能な社会保障制度構築のために、現制度を破壊する。
  4. 関税ゼロを受け入れることで兼業農家の離農を進め、農業経営者の再編を促し、農業の国際競争力を向上させる。
 「第1の命題」では日本企業の海外展開で国際競争力をつける部分では、海外進出を果たせる企業は一時的な成功を勝ち取ることは出来よう。しかし、彼らが目指す競争力とは価格競争力でしかない。進出先における現地雇用は、その国の経済成長を促し、待遇改善のための労働争議等で人件費は必然的に増大する。企業が十分な収益を確保するには、次の移転先が必要となる。その結果、グローバル企業とは名ばかりの根無し草となったり、資本力が低下すれば、M$A等でより資本力のある外国企業に技術やブランド名まで引き渡すことになる。
 同時に、製造業の海外進出で国内の空洞化は避けられない。外圧に押されての規制撤廃は、従来のシステムの良い部分をも捨て去ることにもなりかねない。特に社会保障関連の国民皆保険的な国策システムにまで外圧による修正が入れば、セーフティーネットの崩壊にもつながる。
 また、農業は食糧安保など、懸念される食糧供給的な側面だけでなく、自然環境の保全にも大きく貢献している。専業農家への支援の他に、環境保全機能システムの構築も必要である。
 これらについて、無策のまま自然淘汰に任せる政策なら、政府も国家も必要ない。TPPやFTAは、日本的な「商売」の世界ではなく、国家間、グローバル企業間の「パワーゲーム」でしかない。これらの経済連携協定がアメリカの流儀(新自由主義的な発想で、アメリカンスタンダードに適合させる形)で進められる限り、「第一の命題は偽」である。

全1ページ

[1]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事