詩人星ひかるのブログ

ようやく芥川賞に向けてスタートしました。最短コースの2011年前期に受賞となるか……!

現代詩

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過ちの果てに

過ちの果てに
 
                            星 ひかる
 
 
 
私は 自己嫌悪の塊です

なんでこうも同じ過ちを繰り返してしまうのか

年老いた あなたに 心配ばかりかけて

思えば あなたの悲しい顔しか頭に浮かびません

「どうしていつも そうなんだろうねえ」

と悲しく私に呟く あなたの声が耳から離れません

こんな私は いますぐにも死んでしまいたいのです

こんな こんな私が

大好きな あなたの息子で ごめんなさい

お母さん


あなたは こんな私のいつも味方でいてくれたから

どんなに失敗しても 見守り続けてくれたから

なんとしても あなたの期待に応えたいから

もう一度 あなたの笑顔をみたいから

透き通るような あなたの声を聞きたいから

もう死にたいなんて いわないから

胸を張って「あなたの息子です」といいたいから

もう一度だけ 

あなたの その小さくなった背中を

抱かせてください

お母さん
 
 

                        2010年5月12日作

おかあさん

  おかあさん

                  星 ひかる



  ぼくが おかあさん とよぶ
  
  おかあさんは はい なあに とこたえる
  
  ぼくは ほっとする
  
  おかあさんは やさしくほほえむ
  
  ぼくと おかあさんは そんなかんけいでした


  
  でも ぼくには すきなひとができて
  
  でも そのひとのことが
  
  おかあさんより すき だとか きらい だとか
  
  そんなこと くらべられなくて
  
  でもぼくが おかあさんと よびかける かいすうは
  
  かくじつに へってきて

  

  きょうは ひさしぶりに おかあさんにあえて
  
  うれしいんだけど
  
  でも はずかしくて
  
  おかあさん となかなかよべない
  
  ぼくと おかあさんは そんなかんけいになりました

  
  
  ぼくが おかあさんとよぶ
  
  おかあさんは なにも こたえない
  
  そんな日が いつかやってくる

  

  おかあさん おかあさん
  
  あなたは いつでも ぼくのおかあさん
  
  おかあさん おかあさん
  
  だれとも くらべられやしないけど
  
  あなたは だれよりも たいせつなひと
  
  

  おかあさん

無 <私という人間>
               星 ひかる

雨あがりの薄曇りの昼下がり
私に なにを感じろというの
側を駆け抜けてゆく子供をみて
私に なにを想えというの
なにをも語ることのできぬ この口で
私に なにを語れというの
脳も 眼も 口も 耳も
いまの私には 必要のないもの
五感も 六感も 発想も
いまの私には 全て邪魔なもの
そうじゃ なかったのか

雨あがりの薄曇りの昼下がり
きょうは やけに 眩しい日だ
きょうは やけに 生ぬるい日だ
きょうは やけに 騒々しい日だ
きょうは やけに 独り言をいう日だ
きょうは やけに 物思う日だ
脳も 眼も 口も 耳も
五感も 六感も 発想も
きょうだけは やけに私にその存在を誇示しやがる
そんな日が たまにはあってもよいということか

さっき 私の側を駆け抜けていった子供が
微笑みをくれた
その瞬間
私の 脳も 眼も 口も 耳も
五感も 六感も 発想も
なにもかもが また再び
消えて 無くなった

現代詩「戸惑い」

戸惑い
                     星 ひかる

私の頭の中では、
それは不思議な、
とても言葉では表わしきれない、
幻想とでもいうべき画像が、
めまぐるしい動きを伴って、
点いては消え、消えては点いてし、
まるで、
ミツバチが、スズメバチの襲撃を受けたにもかかわらず、
果敢にも、それに立ち向かい、
噛みつかれても、踏みつけられても、
勇敢にも、自分たちの城を守るために戦い、
一匹のミツバチは、
疲れ果て、傷つき、死にゆくが、
あとには、スズメバチの、その数の、
何十倍も、何百倍も、
命知らずのミツバチの、
その群生は、待機していて、
代わる代わる、スズメバチに逆襲を企て、
私の頭の中を
ぐるぐると、ぎすぎすと
掻き乱すのだった。

何故、幻想をみていたのか、

私は、確かに
人生の岐路に、立たされてもいた、
悉く、悉く、そして悉く、

考えれば考えるほどに、
なにもかもが、
ありとあらゆるものが、
私の頭の中を駆け巡るのである。

その画像は、本来の形を持っているようでいて、
持っていない、

ただ、人が大勢、出演しているようでもあるが、
ミツバチでもある。
いくら形にしようとしても、
形にならないが故、
どんな顔をしているのか、
知りたく、頭を動かすが、
なにも見えてこない。

戸惑うばかりの私だ。
戸惑うばかりの毎日だ。

                         一九八六年十月

現代詩「沈黙」

沈黙            
              星 ひかる


果たして 外はもう春になったのだろうか
こうして 暗く狭い中で
なにも感じずにいると
外で なにが起こっているのか 全くわからない

幸せだ
なにも感じぬことが
こんなにも幸せだったとは
いまのいままで 知らなかった

どうりで みな
こぞって 心を閉ざし 感情を押し殺しているわけだ

悲しみ
この思いを どう表現すべきか
いまの私になら ほんの少しだけわかるような気もする

けれど
ただ それだけのこと
そこには みせかけの私がいるだけ

虚しい
こうして暗く狭いところにいるのが 虚しいのではない
こんな世間が 虚しいのでもない
みせかけの自分を 虚しく思っているのでもない
虚しいと感じる この気持ちが
なにも感じないつもりなのに 感じてしまうこの心が
虚しいのだ

淋しい
情けない
なにもない
なにも感じない
舞い落ちる桜の花びらにも
暮れゆく 二上山の夕陽にも
濃紺の夜空に散らばる 星屑にも

なんの感情も沸かない 沸かさない

幸せだ

そう なにも感じず 思うこともない
いまの私は 本当に 本当に
幸せだ




※二上山(にじょうさん)……奈良県西部の当麻にある双子の山で、雄岳、雌岳とある。
ヤマト中心部からは、ちょうど二上山に向かって落ちる夕陽をみることができる。
悲劇の皇子、大津皇子が眠る山としても有名。
「ふたかみやま」とも呼ばれている。

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