天然のお花畑…妖精付き

危険過ぎる。原発は核兵器です。

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夜の谷を行く

夜の谷を行く  
桐野夏生 著 
文芸春秋 刊

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グングン読ませる本。
 
もう今日は閉じよう、違うことをしようと思いながらも結局最後まで読み通してしまいました。
 
連合赤軍の山岳ベース事件・あさま山荘事件の当時中学生だった私には衝撃はあったけれど、そこに何故?とかどうして?とかの疑問はほとんど無かったように思います。
あったとしたら事件後10数年以上たってもなお、あさま山荘で殉職した先達を忘れるな!と教育する警察の姿であったり、警官殺しの極悪人(仲間を殺したとか民間人が死んだとかではなく)を殺さずに逮捕したという自慢であったりにでしょうか。これもTVなどで観たものなのであまり偉そうに言えたもんじゃぁありませんけど。
いずれにせよ、その場だけの疑問であり持続性のあるものではありませんでした。
永田洋子の訃報を知った時も思い出したのは手塚治虫のブラックジャック。
(この辺は長くなりそうな横道に入る岐路なのでとばします。)
 
たまたまこの本を紹介しているサイトを目にしたこと、帯に「忘れたい過去が追いかけて来る」とあってことで読んでみようと思ったしだい。誰だって忘れたい過去の一つや二つは持っていて絶対に追いかけてきて欲しくないでしょう?
それと、この本の作家と主人公が女性であることが読んでみようと思った大きな要因だったかもしれません。
 
連合赤軍の山岳(迦葉山)ベースから逃げ(脱走し)、服役後に目立たないように、つましく生活している女性が主人公の西田啓子。
つましい生活の内容には少々突っ込みを入れたくもなりました(年金と貯金の切り崩しったって個人塾をしていたときにどんだけ貯めたのよっ!とか)が、ちりばめられるエピソードがちゃんと物語全体で生きていて後からわかる仕掛けになっています。
2011年2月の永田洋子の死が現在の生活に、忘れたい連合赤軍での記憶を連れて来ます。
しかも、記憶だけでなく現実も。
作品中、すでに故人となっている方は実名、存命の方は仮名で登場しているようです。
それが作品に現実味を加えています。
 
読み始めは消したい記憶は「総括」という名で行われたリンチによる同志殺しなのだと思っていました、途中からほかに何かあると思い出し、そして鮮やかなラスト。
人生の残りの時間に希望が見えた気がします。そんなに簡単じゃないだろうけど。
 
残りのページ数が減るにつれて物語のおしまいがどうなるのか気になって仕方がありませんでした。
本を読んでいると同時進行的に映画のように場面を思い描くことが多いけれど、描きたくも想像もしたくない場面も出て来るけれど山のアジトから逃げ出した元女性兵士の西田啓子を主人公に据えたこと、現在の西田啓子が当時の仲間と会うことで多角的にとらえることに成功していると思いました。一つの出来事が語りだす人物によって見方とらえ方が全く違うことがわかります。
かつて一緒に逃げ出した仲間との邂逅や絶対に西田とだけは会いたくないと言っている仲間の言い分が本人の思いと正反対だったりします。
革命左派には「山で子どもを産み、育てる計画が女性たちにはあった」本書はそう言った側面も見せています。
(連合赤軍は赤軍派と革命左派という二つの派が思想性を無視して合体したものだそうです)
 
兵士たちの歩いた夜の谷、逃げ出したときに歩いた夜の谷、現在も歩き続けている夜の谷、でも夜は必ず明けて朝が来る。
改めてカバーと帯を見つめながらそう思うのでした。
 
 
読後、詳しく事件の内容すら知らない私の山岳ベース事件の感想は、戦前の精神主義かつ女性蔑視+全体主義が革命という名の服を着ていただけ?というもの。
 
「殴られて失神すると目覚めたときには本当の革命兵士になっている」だぁ?
「失神しないのは総括が足りないから」だぁ?
「髪を梳かしたら革命兵士にふさわしくない?」えぇ?
「殴って総括の手助けしろ」って?えぇ??
どこが革命?何が共産主義的?
日本軍かよっ!
 
その場にいない者があれこれ言うのはたやすいけれど、「決まった」ものには反対しない、そしてきちんと参加することが当然とされる日本の社会を考えると
閉塞状況に置かれ、疑心暗鬼にさいなまれたとき、誰しもが陥る可能性を否定できないとも思われます。
 
指導者の位置にあり逮捕後自死した森恒夫は仲間の誰一人信じることが出来なかったのではないかと思いました。
 
ともあれ
面白いから読んでみて

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初めまして。興味深く拝見させていただきました。

また、ちょくちょく寄せていただきます、ポチッと。

2017/8/24(木) 午後 3:54 after stroll

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strollさん
コメントありがとうございます。
こちらからもお伺いさせていただきます。

2017/8/25(金) 午前 11:36 りょうこ

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