りょうま動物病院 院長の独り言

朝晩はだいぶ気温が下がるようになりました。下痢などの消化器症状が出やすい季節です。気を付けましょう。

腫瘍診療について

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腫瘍診療の流れ

実際の治療では、今までにお話した三つの方法、

☆外科療法(手術)

☆化学療法(抗がん剤)

☆放射線療法

を組み合わせて治療を行なっていきます。

腫瘍の種類によって効果的な治療も異なるためです。

最もよく行われるのは、体にできたしこりを手術で摘出し、

その後の再発・転移を抑える目的での抗がん剤の投与です。

最近は動物の世界でも今人間で色々と開発されてきている、

分子標的薬という薬が使われ始めています。

今までの抗がん剤のように、活発に増殖している細胞を一様に破壊せず、

腫瘍細胞に特異的に働くお薬です。

まだ使用できる腫瘍は限られていますが、

人間同様にこれから期待される薬となります。

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腫瘍診療の流れ

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 ↑これは、私が現在研修をさせていただいている麻布大学附属動物病院の放射線治療装置です。

今回は、治療の三本柱の最後、放射線治療のお話です。

放射線治療は動物の世界ではまだまだ人間ほど行われておりません。

その理由としては、装置自体が非常に高価なこと(数億単位の世界です。。。)

そのため、装置が設置されている施設が全国的にも少ないこと。

装置の取り扱いに「第一種放射線取扱主任者」という国家資格の取得が必要。(獣医師とは別に)

そして、人間との最も大きな違いは、

動物は放射線治療のために麻酔をかけなければならないということです。

人間であれば動かないようにしておいてもらえばいいのでしょうが、

動物はどういうわけにはいきません。

全身麻酔をかけて、しっかり動かないように維持しながらの照射となります。

また、その麻酔がネックとなってきます。

というのも、放射線治療は通常複数回の照射を行います。

少なくても週1回、多い方法の場合は週3〜5回を4週ほど行うことが多いです。

そのたびに全身麻酔をかけるわけですから、患者の負担は大きいものとなります。

しかし、手術などで取りきれない場所、手術自体不可能な場所・大きさの腫瘍などには

選択肢の一つとして大きなウェイトを占めます。

放射線治療をすることにより、腫瘍が縮小し、手術が可能になるという例もあります。

その逆で、手術後に術創周囲に残っている小さな腫瘍細胞を殺して、

再発までの時間稼ぎをするために照射を行うということもあります。

放射線治療の副作用としては、放射線障害があります。

照射部位の脱毛や色素沈着、ひどい場合には皮膚や骨の壊死などもあります。

これらの副作用は照射した放射線の線量に依存することが多く(違う機序もありますが)

副作用と治療効果を天秤にかけて、これまたギリギリのところで調節をしていきます。

ですが、抗がん剤にあまり反応しない腫瘍で手術不可能だった場合に

昔なら諦めてしまっていたものでも治療できるようになったという点では

治療の選択肢が広がりました。

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腫瘍診療の流れ

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  ↑当院で使用している抗がん剤の一部です。



今回は、化学療法(抗がん剤)についてです。

多くの方は抗がん剤と聞くと、ちょっと怖いイメージを持っているかと思います。

確かに、抗がん剤の種類や特性をよく理解していないと、怖い薬ではあります。

また、人間では激しい吐き気や毛が抜けたりなどの副作用なども良く知られていることと思います。

しかし、そのような副作用が出ることは実際には皆さんが思っているよりも少ないです。

テレビなどでよく無菌室に入って抗がん剤治療を受けている患者さんが出てきたりしますが、

多くは白血病の患者さんかと思います。

白血病の治療には人間では、強力な抗がん剤治療を行い、

骨髄の腫瘍細胞を正常な細胞もろとも完全に壊してゼロの状態にして骨髄移植を行うなどがあります。

骨髄移植をするには拒絶反応を抑えるために患者さんの骨髄の細胞を全て壊す必要があります。

全て壊すということは、骨髄移植をしてうまくその骨髄が正常な白血球や赤血球などを作り出して、

感染に対応できるようになるまで、外からの感染を抑えないといけません。

そのための無菌室です。

また、そこまで細胞を壊すほどの抗がん剤治療ですから、当然、その他の部位の細胞も破壊して、

吐き気や下痢、毛が抜けたりなどの強い副作用も出るわけです。

動物の世界ではそこまでの強い抗がん剤治療は通常行いません。

無菌室がある動物病院はおそらくないと思いますし、

骨髄移植も人間でも不足している現状ですから、

動物の世界では言わずもがなです。

そもそもその技術が確立していません。

動物の世界で行われている抗がん剤治療は、

あくまで手術後の局所再発や転移をできるだけ抑えていこうという治療になります。

できるだけ、元気に過ごせる期間を延ばそうとする治療ですから、

その治療で副作用が強く出ては意味がありません。

ですから、治療に使う抗がん剤の量なども人間に比べたらだいぶ制限されたものとなっています。

ただし、量を制限すればするほど、副作用はもちろんほとんど起きなくなりますが、

肝心の効果がどんどんうすれていくということになります。

ですので、実際には、患者さんの体調を見極めながら、副作用が強く出ないギリギリのところで、

最大の効果が出るように調節しながらの治療となります。

具体的には、抗がん剤投与の前に血液検査をし、肝機能・腎機能などのチェック、

白血球・血小板の数、貧血の有無などを調べて異常がないことを確認した上で抗がん剤を投与します。

このような検査を行う理由として、

抗がん剤も薬ですので、肝臓や腎臓から排出されます。

そのため、肝臓や腎臓に異常があるとうまく抗がん剤が排出されずに、

通常より長く体に留まることになり、副作用が強く出ます。

また、投与後に白血球や血小板の数が減少することが多いので、

十分な数があるかを確認します。減りすぎると二次感染を起こす可能性が高くなり、

そのような状態で感染を引き起こすと、敗血症などの状態を引き起こすためです。

抗がん剤投与によって減少した白血球や血小板は、

投与後、間を空けることによって必ず回復します。

抗がん剤は投与した時だけ骨髄に作用し、肝臓や腎臓から排出された後は体には残らず

影響はなくなります。

ですので、投与した時期に骨髄にあった細胞だけが死んで、

抗がん剤が体から抜けた後からまた新しい、細胞が増殖を始めるのです。

ですので、一時的に白血球などが少ない時期ができますが、その間、

新しい白血球が増えてきて体を感染から守ってくれるようになるまでの間、

二次感染を起こさないように抗生物質の投与を行います。

検査で異常が見つかった場合には、抗がん剤の投与量を減量するかもしくは投与を延期します。

使う抗がん剤の種類、数、期間は腫瘍の種類によって様々です。

同じ腫瘍の治療でも色々な方法があります。

患者の状態、飼い主さんの価値観、病院の設備などにより

様々なパターンが考えられます。

当院ではできるだけ様々なパターンに対応できるようにしていきたいと考えています。

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腫瘍診療の流れ

腫瘍の治療には大きな三本柱があります。

☆外科治療(手術)

☆化学療法(抗がん剤)

☆放射線療法          の三つです。

もちろん、これ以外にも様々な治療法がありますが、この三つが基本になります。

このうち、今回は外科治療(手術)についてお話します。

外科治療は、腫瘍の治療において第一選択になることが多い治療です。

多くは高齢で、体力が落ちていることが多い腫瘍患者に対して、

麻酔をかけなければならないというデメリットはありますが、

一度に多くの腫瘍組織を取り除くことができるというメリットがあります。

腫瘍の種類によっては、早期発見・早期治療によって、部分的には再発もなく、

ほぼ完治に近い状態に持っていけることもあります。

外科治療は、すでに肺などに転移がある、手術に耐えるだけの体力がないなどの状態の時には

基本的には適応にはなりません。

ですが、たとえば四肢の骨肉腫などでは、激しい痛みが出ますので、

肺に転移があっても、その痛みを少しでも軽減するという目的のために

手術を行うことがあります。

ちょっと具体例を挙げてみましょう。

ちょっと刺激の強い写真かもしれませんが・・・





これは乳腺の腫瘍の症例です。

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かなり大きくなるまで様子を見てしまい、腫瘍が自壊して感染を起こしていた例ですが、

幸いにも、手術時点での転移は認めず、体力にも問題がない状態でしたので手術を行いました。

手術直後の様子です。

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摘出した腫瘍です。大きいので割面を入れています。

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摘出した組織の病理検査の結果、乳腺腺癌との診断が出ました。

この子は現在経過観察中ですが、今のところ局所の再発もなく、転移も認められていません。

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腫瘍診療の流れ

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↑トゥルーカットバイオプシーに使用します。



さて、今度こそ実際の診療の流れに入っていきたいと思います。

まず、体の表面に何かしこりができた場合には、

飼い主さんが「うちの子に何かしこりができたんです。」

と来院されます。

それは、皮膚などにできていることで、見てわかるしこりです。

そういう場合には、まず、どこにどんなものができているのかを確認します。

それと同時に、その犬・猫の種類、年齢、既往歴、現在の体調などを確認します。

皮膚にしこりがあるからといって、そこだけにあるとは限らないので、

全身をチェックします。

場合によっては、体の中の腫瘍の転移として皮膚に出ていることもあります。

そのような場合には、体調も落ちていることなどが多いですので、

血液検査やレントゲン検査などで詳しく調べていきます。

体調などに特に問題がない場合には、そのしこり自体にアプローチをしていきます。

まず行うのが細胞診という検査です。

これは人間でもよく行われている検査ですが、

細い針でしこりの細胞を取り出し検査します。

ほとんど痛みもありませんし、麻酔なども必要ない最も簡単な検査です。

この検査において最も重要なことは、そのしこりが、腫瘍なのか炎症なのかを鑑別することです。

そして、腫瘍であることが疑われた場合には、良性と悪性のどちらが疑われるのかを見分けていきます。

細胞診検査でできることはここまでです。

ただし、腫瘍の種類によってはこの検査で診断できることもあります。

しかし、多くは診断まではできませんから、腫瘍が疑われた場合には、

特に悪性のものが疑われた場合には、もう一歩踏み込んで検査をしていきます。

というのも、悪性であった場合に、腫瘍の種類によって手術で摘出を考えた時に

しこりの周りをどのくらいの範囲で摘出すればよいかの判断が異なるからです。

より適切な手術を行うためにもより確かな診断が必要となります。

細胞診の次の検査としては、より多くの組織をとっての病理組織検査となります。

腫瘍の状態によって、結紮離断(しこりの一部分もしくは根元を糸で結んで切り取る)や

トゥルーカットバイオプシーなどがあります。

その検査によって腫瘍の種類を絞り込んで、手術や抗がん剤投与、

放射線照射などの治療に入っていきます。

次回は、腫瘍の治療法についてお話していきたいと思います。

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