りょうま動物病院 院長の独り言

朝晩はだいぶ気温が下がるようになりました。下痢などの消化器症状が出やすい季節です。気を付けましょう。

創傷治療について

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今回は実際の症例をご紹介しながらご説明していきたいと思います。

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この子は以前に椎間板ヘルニアを発症し、手術をして歩行可能にはなったのですが、

痛覚がなくなってしまった子です。

私のところにいらっしゃる前にも、後肢の指をかじってしまって、

1本指がありませんでした。

今回は、尻尾をかじってしまったとのことで来院されました。

写真はその時の様子です。

椎間板ヘルニアなど麻痺を起こす状態になってしまったときに、

こういうことはしばしば見受けられます。

痛みを感じませんし、自分の体という感覚がないからなのか

かじりとってしまうこともあります。

この状態、場合によっては断尾などが必要になることをご説明して

治療を開始しました。

というのも、傷が良くなってもまたかじってしまうことがあるからです。

そのかじり具合によっては治療が困難となることがあります。

治療は、まず十分に流水にて洗浄し、傷にある異物を除去します。

洗浄後
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そこに今回は、プラスモイストという創傷被覆材を用いて被覆しました。

これによって、傷から出てくる過剰な滲出液を吸収し、

しかも乾燥を防ぐように適度な湿潤環境を作りだします。

そして外からの異物の混入を防ぎます。

最初は、1日1回これを交換していきました。

プラスモイスト被覆3日後
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ちょっと肉芽が盛り上がってきてます。

プラスモイスト被覆6日後
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周りからピンクの新しい上皮ができてきて傷が小さくなってきています。

プラスモイスト被覆10日後
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さらに上皮化が進んでいます。

このあたりから被覆材の交換を2〜3日に1回にしていきました。

プラスモイスト被覆14日後
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だいぶ傷が小さくなりました。

現在治療継続中ですが、治療終了が見えてきました。

以前であれば、毎日傷の消毒をして、

抗生剤の軟膏を傷に塗り、包帯を巻いてと治療をしていたと思います。

その挙句、傷がなかなか治らずに、その間にまたかじってしまい

結局、断尾ということになってしまったかもしれません。

傷の頻繁な消毒、軟膏などの塗布、ガーゼの使用などは

傷の治療にとって百害あって一利なしです。

皆さんも、怪我をすることがあったら、

きちんとそういう治療をしてくれる病院を探して治療を受けてください。

人医療では夏井先生のホームページ http://www.wound-treatment.jp/

で湿潤治療を行っている病院が紹介されています。

ここでお話したようなことも、もっとわかりやすく説明されています。

参考になさってください。

p.s.
予期せず期間が開いてしまいましたが、2ヶ月程して来院された時の傷の様子です。

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ほぼ元通りです。

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子供の頃、誰もが一度は転んで手や足を擦りむいたことがあるでしょう。

その傷はどうなりましたか?

じわりと出血して、その後ジクジクしてきませんでしたか?

そのうちに傷が乾いてかさぶたができ、しばらくはズキズキ痛みながら

やがては傷が治っていくという感じでしょうか。

ここで、傷は何でジクジクしてきたと思いますか?

実はこのジクジクこそが傷が治るために必須のものなのです。



まず、すりむいたり切ったりすると血が流れることになります。

これはまずいってことで血を固めるために血小板が最初に登場します。

その後、死んだ細胞やばい菌などを除去するために

好中球やマクロファージといった細胞が集まり、こういうのを食べ始めます。

そして傷口をくっつけようと線維芽細胞という細胞が集まり、

最後に表皮細胞がやってきて傷口をふさぐことになります。

その過程において、傷口からじわりと出てくる透明の液、「滲出液」といいますが、

それが、それらの細胞が傷口に入り込んで傷を治すための手助けをするわけです。

つまり、ジクジクしている状況でないと、傷を治すための細胞たちが出てこれない、

ということは傷が治らないということになります。

また、ばい菌を除去する働きをする好中球やマクロファージなどの細胞も、

傷が乾燥している状態だと出てこれなくなってくるわけですから、

傷の感染、化膿が起きやすくなります。

こう考えていくと、傷の乾燥というのが百害あって一利なしということが

お分かりいただけるかと思います。

傷にガーゼを当てることは、滲出液を吸収し、傷を乾燥させ、

交換する度に、傷の治りを邪魔されながらも

少しずつでも集まってきていた表皮細胞を一緒にはがします。

逆に傷にダメージを負わせているんです。

かさぶたは滲出液が乾燥したものですが、

傷を治すための細胞も一緒に死んでしまっているんです。

かさぶたができているということは、傷が乾燥してしまい、

うまく傷が治るための過程を踏めていないということです。

もちろん、小さな傷ならかさぶたができても治ることは皆さんご存知の通りですが、

かさぶたがあることによって治りは遅くなり、痛みも出るのです。

大きい傷ならそれはもっと顕著に現れます。

こういうことから、傷を乾燥させないで治癒させる

「モイスト・ウンド・ヒーリング(湿潤環境下での創傷治癒)」という考え方が出てきました。

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「傷が化膿する」とはどのような状態を指すかわかりますか?

医学的は「傷口(創面)が細菌により炎症症状を起こしている状態」が化膿です。

炎症症状とは、患部の「腫脹・疼痛・発赤・局所熱感」を炎症の4徴候と呼び,

これらが4つ(のどれか)があると「炎症」と診断されます。

「炎症」はさまざまな原因で起こりますが,

皮膚や皮下組織に細菌が繁殖し,炎症を起こしていることを指して

「傷が化膿している」と呼んでいます。

つまり,細菌が傷口に入ったために,

「傷の周囲が腫れる(腫脹)」

「傷やその周囲の痛み(疼痛)」

「傷周辺の皮膚が赤くなる(発赤)」

「傷の周囲が熱い(局所熱感)」という症状(のどれか)があれば,

これは「傷が化膿している」と判断できます。

またこれらに加え,傷口から膿が出ていたり,

膿が溜まっていたりすれば,もう確実に「化膿している」といえます。

ここで大事なことが見えてきますが、それは、

「炎症があれば感染を起こしている」というのは

逆を考えると、

「炎症がなければ感染はしていない」ということ。

つまり、「感染」があるかどうかは、

「細菌の有無」によって決まるのではなく、

「炎症(感染症状)の有無」によって決まるということです。

言い換えると、

「傷口に細菌がいても、炎症さえ起きていなかったら感染しているわけではない」となります。

「傷口が細菌により化膿している状態」と

「傷口に細菌がいるけれども化膿していない状態」とははっきり区別しなければなりません。



皮膚にはもともと「皮膚ブドウ球菌」という常在菌がいます。

これは皮膚にいることが正常なものです。

皮膚に傷がつくと、この常在菌がすぐ隣の健康な皮膚から傷に移動します。

ここで、「傷口から細菌が検出された。傷が化膿している!」とするのはちょっと性急。

細菌がいるからといって、炎症症状がなければ感染しているわけではないのは前述の通り。

もともと皮膚にいる細菌なのだから検出されて当たり前です。

この常在菌だけで感染を起こすには、

組織1gあたり10万個から100万個の細菌が必要とされています。

つまり、相当な量の細菌か必要であり、そうそう起こりません。

しかし、もっと手っ取り早く感染を起こす方法があるのです。

それは、傷口に「異物」を置いてやることです。

そうすると、1gあたりたった200個の皮膚常在菌で感染が成立するといわれているのです。

「異物」とは、土や泥、植物片、食べカスや口腔内汚染物(咬傷の場合)、

絹糸(手術による)、ガーゼ、かさぶた、壊死組織、血餅などが含まれます。

「感染」には「細菌の有無」よりも「異物の有無」が大きく影響するのです。

「異物」があるのにいくら消毒しても、

傷口の細菌をほんの一時的になくすだけで、200個の細菌なんてすぐに元通りです。

傷口の周りにはたくさんの常在菌がいますからね。

つまり、「感染・化膿」を防ぐには、

「細菌」の除去ではなく「異物」の除去に力を入れるべきなのです。

重要なのは、大量の水による創面の洗浄と傷口の状態によっては外科的な異物の除去です。

決して消毒ではありません。

次回は、「異物」にも入っていますガーゼやかさぶたが関与する傷口の乾燥についてです。

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創傷治療の常識???

―は必ず消毒する。消毒しなければいけない。

⊇は消毒しないと化膿する。傷が化膿しないように消毒している。

傷が化膿したので消毒する。

そにはガーゼをあてる。

ソは濡らしてはいけない。縫った傷は濡らしてはいけない。

痂皮(カサブタ)は傷が治るときにできる。痂皮ができたら傷が治る。



上記の項目を読んで皆さんはどう感じるだろうか?

当たり前のことだと感じる方も多いでしょう。

しかし、これらは正しい創傷治療の考え方からすると、

全て間違った考え方となります。

正しくは、

☆傷を消毒してはいけない。

☆消毒しても傷の化膿は防げない。

☆化膿した傷を消毒してもそれだけでは効果は全くない。

☆傷にガーゼを当ててはいけない。

☆傷を乾かしてはいけない。

☆かさぶたはできても傷は治るが、治りが遅くなる。

となります。

この中から、今回は「消毒とはなんぞや?」というお話です。

消毒には様々な薬剤が使用されていますが、

イソジンなどは最も多く使用されているのではないかと思います。

このイソジンで殺菌効果と細胞障害性についての報告があります。

そもそも、イソジンに限らず消毒薬は、細菌のみならず生体細胞も死滅させる効果があります。

この報告では、イソジンを薄めていって殺菌効果と細胞障害性について調べていますが、

殺菌効果がないイソジン濃度になってもなお、細胞障害性は残っています。

ということは、通常消毒に使用している濃度では相当の細胞障害性があるということです。

消毒剤は、傷が治るために必要な肉芽組織の主体となる「線維芽細胞」を死滅させ、

表皮細胞を死滅させ、また白血球などの「免疫細胞」も殺滅します。

つまり消毒とは、傷が治るために必要な材料を壊して傷の治りを妨害する行為なのです。

また、皮膚には常在菌というものがいて、その菌がいることが通常の皮膚の状態です。

傷を消毒した時には一時的に傷に細菌はいなくなるかもしれませんが、

その周りにはいくらでもその常在菌がいるわけですから、

その効果が切れたとたんにまた傷に入り込んできます。

消毒薬の殺菌効果は多くは数秒から数分といわれていますので、あっという間に元通りです。

じゃあ、どうするか?

傷に細菌がいたら化膿してしまうからと、常に消毒し続けるか??

消毒薬の毒性を理解していただければすぐにわかると思いますが、

治るための材料も壊し続けるわけですから、

それでは傷は治りません。

また、常に消毒し続けるということは通常しません。

じゃあ消毒は何のためにやっているのでしょうか?

傷は消毒するものだというのが常識であるからというしかありません。。。

その間違った常識にとらわれた医療者の消毒という妨害にも負けず、

多くの傷は治ります。(消毒しないよりは時間はかかりますが・・・。)

でもそれは、体が傷を治そうという力が、消毒という妨害行為に何とか打ち勝ってくれているだけです。

また、消毒薬のほんの数秒から数分というへなちょこな殺菌効果に助けられているだけです。

殺菌効果がほんのわずかな時間だけであるために、

それ以外の時間で、体は頑張って傷を治してくれているのです。

消毒とは医療の名を借りた「傷害行為」です。

無意味な消毒はやめなければなりません。

「じゃあ何で化膿する傷があるのか?」とお考えになるかと思います。

傷が化膿するためには傷に細菌がいるだけでは駄目なのです。

それについてはまた次回お話したいと思います。

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子供の頃、校庭で転んで膝を擦りむいた時には、

保健室で先生に「赤チン塗って!」とよく言ったものです。

皆さんはお使いだったでしょうか?

私は小学校の時にしかお世話になったことはなく、

その後、とんと見かけなくなったと思ったら、

成分が水銀化合物で、中毒の恐れがあるということで製造中止になっていたようです。

赤チンとは「赤いヨードチンキ」の略だそうで、

正式名はマーキュロクロム液というそうです。

ちなみに、赤チンがなくなってから発売された「マキロン」は

白チンと呼ばれたそうです。



・・・・・とまあ書庫名となんら関係のなさそうな話題をだらだらお話しましたが、

これがちょっと関わってくるんです。。。

皆さんは今、擦り傷などを負ったらどうしますか?

白チン「マキロン」を塗ったり、バンドエイドを貼ったり、

ちょっと洗ってそのままかさぶたができて治るってこともあるでしょう。

もしくは、「つばでもつけときゃ治るわ!てやんでい!」・・・。ってところでしょうか?

多くの方はそう大差ない考えを持っていると思います。

しかし、その消毒やかさぶたが傷の治りを悪くしている原因だというのはご存知ですか?

最初の話のような、傷に消毒というのはごく当たり前の考えとして多くの方に広まっています。

ですが、その消毒がほとんど無意味なもの、

もしくは逆に有害なものであるということがわかってきています。

この書庫ではその理由、今の創傷治療の考え方、治療法などについて

少しでもわかりやすく伝えられたらと思います。
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