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"格差社会”という言葉が
世間で一般的になって久しいですが、
その言葉が広まったきっかけとなった本が
今回紹介する、『下流社会』です。
別にこの本が全てではないかもしれませんが、
当時、ベストセラーとなった書籍であることは
間違いないはずです。
私自身、丁度この本が出始めたころに
今の会社に転職したこともあって、
興味を持って読んでいたのを憶えています。
『下流社会〜新たな階層集団の出現〜』
著者 三浦 展
ちくま新書
この年は、折しもネット株バブル終焉の年でもあり、
金融緩和と構造改革によって生まれた
全く新しい価値観を持つ階層の存在がクローズアップされて
いく年でもありました。
それより以前から、
人材派遣会社やIT系ベンチャーなど
新興企業を立ち上げて成功した
ニューエリートや
ネット個人投資家で億単位を稼ぎ出した(ネオエリートというらしい)
既存組織に依存しないエリート階層の出現は知られていました。
それらとは対立する概念として、
パートや派遣の非正規社員、
フリーターやニートといった
年収300万円以下の労働者の存在も
世間に広く知れ渡っていくようになるのも
このころだったように思います。
”落ちたら這いあがれない”
そんな脅迫観念じみたものが、
当時の私をがむしゃらに
仕事に駆り立てていたのも事実です。
『下流社会』という本は、
私にとって、
自分の今いる階層と
目標とする階層を確認するという意味で、
競争社会を生き残る地図の様な役割を果たしていました。
帰結するところが”金銭的豊かさ”となってしまうことに
今考えれば”浅さ”があったのかもしれません。
ですが、
前回紹介した”3年で辞めた若者はどこへ行ったのか”
にもかかれていたこととして、
現代はもはや組織に依存して生きることは
難しくなっていいることがあります。
事実、40代以上の世代の中で
組織依存の体質が抜けない会社員は、
現代の先端ビジネスにはついていけていません。
それは、今の職場で何度も見てきていることです。
金融機関の審査基準が厳しい米国において、
日本のメガバンクが監督基準を満たしていないと
指摘を受けている例は多くあります。
もちろん、米国の金融機関が
真に優秀かどうかという疑問はありますし、
それは近い将来明らかになることでしょうが。
話がそれましたが、
従来型の日本企業における働き方は、
俗にゆう”就社”であり、
大部分の人間は、
就職した組織内でのみ通用する仕事の能力を身につけ、
定年まで過ごすというものです。
当然、それではリストラされたらおしまいです。
他の企業では通用しないからです。
また、組織の力なしには何かを成し遂げることもできません。
そのリストラの代わりではないですが、
企業が労働コスト削減の策として
派遣労働者などの
低賃金で働く階層が生まれてきた。
それが”格差社会”の本質だと前出の本の著者、
城 繁幸氏は書いています。
ここでは別に格差社会の改善について述べるつもりはありません。
まして、そういう問題について私がとやかく言うことでもありません。
ただ、今後日本社会においては、
一層の労働市場の成熟が必要ですし、
また、そういった成熟した労働市場に対応できるだけのスキルを
身につけていく必要性は強く感じます。
それが専門性なのか普遍的スキルなのか
判断は難しいのですが、
確かなのは、
その能力が、組織の枠組みを超えて
通用するものであることは
言うまでもありません。
『氷は溶けても 大地は依然として 草木の一つも生えてはいないのです。』
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