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神田神保町古書店街。
その独特のカビ臭さは、時に訪れるものを迷宮への誘う。
皆、まるで本に引き寄せられるかのように
自然と吸い寄せられてしまう。
私もその一人だった。
メトロ改札から、岩波ホールに近い出口を出て、
お茶の水方面に足を向けると、
その個性的な書店の立ち並ぶ通りに行き当たる。
通りは、知る人ぞ知る有名古書店の看板で溢れ、
中には、本の虫に取りつかれた一種独特な個性を
感じさせる人々が、熱心に本を探している光景が見られる。
そこはもはや異空間ともいえる雰囲気を醸し出していて、
あまり近寄りたくはない感じすら受ける。
私は、しばらくその異世界を遠目に鑑賞しながらも、
次第に自分自身もその世界に引き込まれていくのを
ひしひしと感じていた。
看板の立ち並ぶ表通りから、
大手書店のビルに向かう裏通りに入る途中に
その入口はあった。
迷宮への入り口だ。
さして探している本があるわけでもなく、
ただ待ち合わせまで時間を持て余して私は、
その異空間に入るための門に吸い寄せられていた。
To be continued
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