私小説

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幕間-本を読む-

10代の頃、本をよく読んだ。

もちろん今も読みはするが、

多くはビジネス書などの

仕事に役に立つ本で、

いわば生きるために読む本だ。

10代の頃は小説がほとんどだった。

SFからミステリー、ホラーに純文学も。

今もたまには読んだりするが、

それはいわば頭を空っぽにするための

一種の作業じみた行為になっている。

昔は違った。

今の様に疲れた頭をリラックスするためなんかじゃなく、

逆に頭に何かをひたすら詰め込みたい、

そんな思いがあったように思う。

空っぽで満たされない現実に代わって、

小説を通して擬似的に、

刺激のある人生を

味わおうとしたのかもしれない。

ただひとつ、

そういう思いとは別に

読書そのものを楽しめた作家がいた。

それが志賀直哉だった。

それも教科書に出てくるような

有名な奴じゃなく、

名も無い短編で、

ほとんどが彼自身の私生活を

題材にした私小説だった。

内容自体はほんとに地味なものだったが、

なんの変哲もない日常の生活、

といっても大正時代の生活なので、

それ自体現代とは異なる

ロマンチシズムにあふれてはいたが、

たとえば女中が登場したりとか。

なにより、日常のありふれたであろう風景を

実に綺麗な文章で描いていることに驚いた。

一切の無駄がないほど、よく推敲されていて、

一種よく撮れた風景写真の様であった。

漫画でいえば、あだち充の作品などでみられる

1ページまるまる

せりふもキャラもでない

ただ、建物や樹木や信号機の様なもの

しか描かれていない(ある意味無駄に見えるが)

カットがあるが、

そんな感じだろうか。

つまらないものを美しくみせる技術に

私は驚嘆させられたのを覚えている。

ただ現実離れした、

刺激的なだけの展開で

引き込まれるよりも

こっちのほうが何倍も

読後の余韻に浸れたのだ。

そういう文章といつかまた出会いたいものだ。

END

随分と更新が遅れてしまった。

その間に、カテゴリ欄に”ノンフィクション”

のカテゴリが追加されているし・・・。

2004年の12月31日。

この日は確かに私にとって特別な日だった。

それまで、会社の寮と仕事場をただ往復する

だけだった毎日に久しぶりに新鮮な感動が

もたらされた日だったからである。

世間のほとんどが仕事納めを終えて、

帰省なり、年末のライブなりを謳歌している中で、

いつものように朝7時に出社した私は、

寒さと足場の悪さに文句を言いながらも

漠然とした期待感と幸福感を同時に抱えててもいた。

それが何であったのかはっきり認識することに

なるのは随分あとのことになるのだが、

実際にはこの時すでに始まっていたのだろうと思う。

当時、今とは別の証券会社に勤めていた私は、

新しいコールセンターの開設業務に携わっていて、

その仕事にある程度のめぼしがつき、

翌月には元のセクションに戻る予定となっていた。

つまり、この日がそのコールセンターでの

最終出社日であったのだ。

コールセンターといっても小さな証券会社の

大して収益の見込めない小部門のコールセンターで

あったため、人員は数えるほどしかなかった。

そのせいか、立ち上げ業務ではその部門のメンバーと

常に一緒にいることが多く、

それなりに気心がしれた関係になっていた。

彼女もそんな中の一人だった。

同じ、早番のシフトに入っている彼女とは、

話す機会も多く、仕事が忙しくないときは

よくどうでもいい話で盛り上がっていた。

仕事中に私語なんて不謹慎かと思うかもしれないが、

しょせん形だけのコールセンターで、

平日はともかく、休日に電話が鳴ることは

極めて稀なことだったのだ。

要するに暇だったのである。

それでもそんな暇な時間に交わした会話が妙に楽しく、

今思えば、この日もそれだけが目当てだったのかもしれない。

いつものように出社時間ぎりぎりに到着した私は、

やはりいつもように私より早く出社している彼女の一言で

その日が始まることになる。

『おはようございます。』

さて、今日はどんな話で盛り上がろうか。



おわり?

あの日は、大晦日にもかかわらず出勤日で、

当時働いていた赤坂の職場まで行かねばならなかった。

前の晩から降り続いていた雪は、

出社時間の朝7時になってもの振り続けていて、

地下鉄千代田線のA7番出口を出た時点から、

私はうんざりするような気持ちに見舞われていた。

特に仕事があるというわけでもないのに、

誰かがいなきゃいけない、それだけの理由で

ここに来ているのだ。

職場は赤坂通り沿いの雑居ビルが立ち並ぶ一角で、

通りは狭く、日当たりも悪い。

交通量の多い、外堀通りと違い、

車の通りも少なく、

まして大晦日だから余計に通りゃしない。

そのせいか、雪もあまり解けないだろうし、

相当の量積もることは容易に予測できた。

本当についていない。

なんでこんなにしてまで働かなきゃならないのか。

そう、自分をこんな目に合わせる会社を罵りつつも、

それでもここに来る自分を不思議に思っていた。

本当はわかっていたはずなのに・・・。

つづく

2008年2月3日。

2年ぶりに東京が大雪に見舞われた。

コンクリートに覆われたこの都市にとって、

それは決して喜ばしいことではないかもしれない。

昔のように、雨の日すらも長靴をはかず、

まして雪の日にスノーブーツをはくなど

格好が悪いなどと考える現代日本人にとっては、

雪などというものは歩行を困難にし、

靴下を濡らすだけの厄介なものでしかないからだ。

だがそんな厄介な日であっても、

私にとっては楽しかった日の記憶を

呼び起こしてくれる格好のイメージとなってくれる。


そう、あれはたしか

2004年の12月31日。

あの日も東京に雪が積もった日だった。

つづく

第12話-日常・後編-

ドリカムの曲に、『もしも雪なら』という曲がある。

ゆったりとしていて、どこか寂しさを感じさせるバラードだが、

その曲にこんなフレーズがある。

♪大人の方が恋はせつない

     はじめからかなわない
       
        ことのほうが多い♪

最近なぜかこのフレーズをふと思い出すことが多くなった。

おそらく、この曲が本来想定している設定とは

全く違うのだろうが、

ただ、この歌詞の一節だけが一人歩きして、

私をいつも立ち止まらせる。

忙しすぎる日常、

不規則な生活時間。

増えていく責任と

決して振り返れない立場。

そして周囲の目。

そんなものを言い訳にして、

いつも君に大切なことを言いそびれてしまう。

”それでも毎日君に会えればそれでいい。”



そんな時期はとっくにすぎているというのに。



2008年1月29日、東京に2度目の雪がふるはずだった今日。

もしも雪がふっていたら・・・

つづく


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