|
21世紀半ば、
複雑高度化する市場経済システムは、
もはや人間の手に負えるものでは
なくなっていた。
加えて情報技術の進歩は、
世界の端と端を一瞬でつなぎ、
多次元的構造をはらんだ、
マーケットメカニズムは、
人間の知覚では、容易に捉えることが
できなくなっていた。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
第一話『Machine-gun Scalping Ster』
俺は、JOE。
セカンドネームは無い。
ただの、JOEだ。
東京では”丈”と呼ばれている。
だからといって、アメリカ人でも
イギリス人でもない。
ましてや日本人であるというわけでもない。
国籍は不明だ。というより俺が知らないだけだが。
”皮剥ぎの丈”、なんていう奴もいる。
確かに、”剥ぐ”ことは俺の得意とするところだし、
その能力は、俺の存在証明といってもいい。
アメリカでは、”Scalping Ster"などと持て囃されてもいた。
今は中国やベトナムといった東アジアが俺の主戦場だ。
その前は東京だった。
その頃付けられたニックネーム
”皮剥ぎの丈”は、ここでもそのまま使われているようだ。
俺はあまりこのニックネームを気に入ってはいない。
なぜなら、”皮”といわれてもピンとこないし、
”皮”自体みたことがないからだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
俺の専門は、”剥ぎ取り屋”。
特に若くて、未熟な奴ほどいい。
日々、数百から数千もの情報を
わずか0.1秒で解析し、
高速の刃を振り下ろす。
返す刀で、完全に剥ぎ取る。
それを一日に何百何千と繰り返すのだ。
一体何をいっているのかって、
おいおい、笑わせるなよ。
俺の話が理解できない奴が、
この物語を読んでいるんじゃねえ。
理解できないガキに用はねえんだよ。
この世界ずいぶんと長いことやってるが、
中には俺を蔑む奴もいる。
”ちんけな皮ばっか剥いでるんじゃねえぞ、
下手に労力ばっか使って対して金にならなねえじゃなねえか。”
ってな。
だが、俺にはこれしかやれる仕事がない。
それにな。この技で世界のてっぺんに立ったことだってあるんだ。
今でも十分通用しているし、
この世界のトップクラスの成績だって収めている。
俺を褒め称えてくれる奴は、こう呼んでくれる。
”21世紀の魔術師、マシンガン・スキャルピング・スター”、と。
・・・・・
fin
この物語はフィクションです。
実在の人物と団体名とは一切関係ありません。
また、この物語はホラーでもハードボイルドでもありません。
SFではありますが、詳細なジャンルが何かは、
あなた自身で見つけ出して下さい。
|