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「僕といるんです。今日は帰りません」
ユジンさん…
そうですよね…
彼とは、婚約しているんだ…
あなたが本当に愛しているのが、チュンサンという人でも。
あなたは彼と結婚することを選んだんだ。
僕…僕は…このまま…
あなたを諦めることが、できるだろうか?
僕とは、一晩一緒だったっていっても…
事故みたいなものだったし。
あなたが望んで、僕といたのでは無かった。
でも今あなたは…あなたの意志で。
彼と一緒に過ごしているんですね…
ユジンさん、あなたの瞳に映る僕は…
昔の彼に似ている男、それだけなんですか?
ユジンさん、苦しいです。
想像したくないのに…あなたと彼が今、…
耐えられない。
…ユジンさん、どうか出て下さい。
「………」
「ミニョンさん………」
「ユジンさん?!……どこにいるんです?」
「わからないんです…どこにいるのかよくわからなくて…」
「そこにいて下さい。今行きますから!」
あ、ユジンさん…やっと…見つけた。
逃げないで、そこにいて…
「ユジンさん…」
そんなに蒼い顔をして…何があったんですか?
まさか…彼に何か、強引なことをされたんじゃ…
ユジンさん…僕は…後悔したくない。
あなたが彼と婚約したままだったら…
いつ、またこんなことがあるか判らない。
さっき、本当に辛かったんです。
彼とあなたのことを考えて…
「ユジンさん…聞いて下さい。
僕の本当の気持ちを…
あなたを、彼に渡したくない。
彼と手をつなぐ姿も見たくない。
僕は…僕は、本当にあなたを愛しています」
あなたを抱き寄せる。
ああ、やっとあなたが僕の腕の中にいる。
今晩ずっと…こうしたかったんです。
わかってますか、ユジンさん?
「あなたも、僕を好きなんだって信じたいんだけど…
駄目ですか?」
「…ありがとう、ミニョンさん…
でも、私なんて…
あなたにそんなことを言ってもらえる価値なんかない…」
「……」
「ただ、一つだけ…彼との婚約は、解消しようと思っています」
「ユジンさん」
「ちゃんとしたお返事がまだでしたね、ミニョンさん…
あなたに聞かれて…わたし、やっと判ったんです。
愛すべき人は彼だって、言いましたけど…
本当に愛しているのは……」
「ユジンさん、その先は…」
「まだ、チュンサンなんです…彼のこと、忘れられないのに…
自分を誤魔化していたんですね…
あなたに言われて…自分が恥ずかしくなりました」
そっとあなたの体を離して…
無理に笑顔をつくる。
「ユジンさん…帰りましょう、顔色…良くないです。
しばらくかかるから…遠慮しないで…寝て行って下さい」
ああ、…やっぱり。
あなたを追い詰めるようなことを言ったのは僕だけど。
聞きたくなかった…です。
「ユジンさん…着きましたよ」
可愛いです、あなたの寝顔…
僕も往生際が悪いな。
さっき、あんなにきっぱりとフラれたばかりなのに。
僕に、望みは全然ないんだろうか…
婚約を解消するなら…
僕のこと、いつかは見てもらえませんか?
一人の男、イ・ミニョンとして。
柔らかい髪ですね…
きっと、あなたは、総てが柔らかい…
好きです、ユジンさん…
僕のこと…嫌いでは…ないですよね?
この後、あなたを誘ったら…心を動かしてくれますか?
でも…あなたに引かれるのが怖くて…
言えそうもないなあ…
あ、しつこく触りすぎたかな?
起こしてしまった…
「眠れましたか?」
「もう着いてたんですね。
すっかり眠ってしまって…」
「コーヒーは?買ってくるから待ってて」
ユジンさん、部屋に誘うのは無理でも…
できるだけ一緒にいたいんです。
今日、彼とあなたが過ごした時間よりも…
長く僕といて欲しいから。
あれ、ユジンさん、そんな…
メモだけ残して、居なくなるなんて。
…警戒されたかな?
ああ、まいったな…
でも、このまま帰らせるなんて…
僕はできませんから。
走るのは得意なんです。
さっきだって、あなたを見つけたでしょ?
エレベーターにユジンが乗り込もうとするところに、
ミニョンが間に合う。
「ユジンさん!」
「……」
「驚きました?
部屋を知ってるんだから、追いつきますよ」
ミニョンが滑り込んでボタンを押す。
「すみません、ミニョンさん、…ちゃんとお礼も言わないで…」
「そうです、怒ってますよ」
「あの…本当にごめんなさい、どうしていいかわからなくて…」
「なぜ?」
「だって…」
「僕にどう断ればいいか、判らないんですか?」
「そんな…」
「今日迎えに行ったお礼…まだしてもらってないです」
「…あの…どうすれば…」
「とりあえず、コーヒーを付き合って下さい…僕の部屋で。
そっちには、チョンアさんがいるでしょう?」
ユジンさん、緊張してる…
僕、そんなに野獣に見えるかな?
あ、そうか。
彼と何かあって…ショックだったんだろうな。
僕は…無理なことはしないつもりだけど…
こんな大チャンスに…あなたをやすやすと帰すほど…
お人好しでもない。
「缶コーヒーなんて…口にあわなかったかな」
「いえ、美味しいです…温まります」
「どんな味?」
「え…ミニョンさん、なぜ飲まないんです?
コーヒーを付き合ってって…」
「どんな味か。聞くためです」
「……あの…?」
ユジンがじっと自分を見ている。
その視線で…あのホテルでの夜、
一途に自分を求めたユジンを思い出す…
ああ、やっぱり…ごめんなさい、ユジンさん…
少しだけなら…強引なのもいいでしょう?
ユジンの両肩を抱き寄せ…
一瞬、ただ触れるだけのキスをする。
「あ…っ」
ユジンの両目に…涙が盛り上がる。
遠いあの日…こうして横並びに座っていたベンチで…
不意にキスを交わしたあの時が甦る。
チュンサン…やっぱりまだ…愛しているわ…
でも…この…気持ちはなに?
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