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日本はLNGエンジン開発で世界のトップを走っている
ビガー・ヤン氏(ペンシルバニア州立大学・機械・原子力工学部教授)インタビュー
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081117/112948/?P=1

ペンシルバニア州立大学のビガー・ヤン教授は、炭化水素系燃料を使用するロケットエンジン研究の世界的な大家だ。現在日本が開発中のGXロケット第2段用のLNG(液化天然ガス)エンジンが、開発途中で異常燃焼のトラブルを出した際、解決策についてアドバイスを行ったこともある。今回、ヤン教授が来日したのを機会に、GX用LNGエンジンの現状を専門家としてどう評価するかインタビューした。

 ヤン教授は、日本のLNGエンジン開発を世界でもっとも進んでいると見る。その上で、実用化の先例がないLNG燃料に取り組み、自力で実機レベルの燃焼試験を成功させるまでにもってきたことを高く評価する。


*****


炭化水素系推進剤の専門家として、現在日本がGXロケット向けに開発しているLNGエンジンをどのように評価しますか


ヤン 以下、私の個人的な意見ですが、大変に素晴らしい仕事をしていると思います。
メタンを主成分とするLNGは、ロケットエンジンの燃料として、まだ実用化した例はありません。日本がまだ世界で誰も使ったことのない推進剤に積極的に取り組み、推力10tfという実スケールで、連続燃焼時間275秒の実時間の燃焼試験に成功していることに、大変強い印象を受けました。




そこまで高く評価する理由はどこにあるのでしょうか


ヤン 
世界初というところです。

 メタンは、ロケットにとって有望な炭化水素系燃料です。液体にした場合の沸点はマイナス161.5℃、これは液体酸素のマイナス183℃よりもやや高く、液体水素のマイナス250℃よりも大分高いです。軌道上でも適当な断熱を行えば長期貯蔵が可能なので、メタンと液体酸素の組み合わせは再着火可能な上段ロケットや軌道間輸送機に使用できます。また、液体水素に比べると大推力が発生させやすいので、地上からロケットが上昇するためのブースターにも使えます。

 
最近「宇宙への迅速なアクセス」、すなわち打ち上げ需要が発生したらすぐに対応して打ち上げを行うという考え方が出てきています。LNGは液体水素よりもずっと扱いやすいので、宇宙への迅速なアクセスにも向いています。


(中略)


世界のLNGエンジン開発はまだ基礎研究のレベル

現在、世界におけるLNGエンジンの開発状況はどんなものなのでしょうか


ヤン 順に説明していきましょう。まず、ロシアですが、1990年代以降、LNGを燃料とするエンジンの試験を行っています。推力1tf級の上段用の小さなエンジンから推力100tfを超えるブースター用の大推力エンジンまで様々なエンジンを実際に運転しています。彼らは高圧燃焼を行うエンジンについて豊富な経験を持っているので、LNGでも二段燃焼サイクルによる高圧燃焼エンジンを試しています。
 

しかしロシアは現在のところ、これらの技術蓄積を生かし、実際にLNGを使用するロケットを開発する計画を持っていません。潜在力はあるものの、具体的に宇宙で利用する見通しはありません。



 次にアメリカです。2004年にブッシュ大統領が新宇宙政策を打ち出し、有人月探査の再開を指示しました。その中で、新しい月着陸船の主エンジンと姿勢制御用の小さなエンジンの両方にメタンと液体酸素の組み合わせを使用することとなり、基礎的な燃焼試験が行われました。しかしその後、スケジュールとコストの両面でメタンのような新しい燃料を使用することが困難になり、月着陸船はメタンではなく、アポロ時代と同じヒドラジン系の推進剤を使用することになりました。現在は基礎研究も中断しています。

従って、アメリカのメタンエンジンの開発は基礎試験の段階にとどまっています。


 欧州では欧州宇宙機関(ESA)が、主にブースター用にLNGの基礎的な燃焼試験を実施しています。その目標は2020年代に実用化する次の世代の打ち上げ機に使用することです。ドイツのランポルツハウゼンにある燃焼試験設備で、エンジンの燃焼室に推進剤を吹き込むインジェクターという部品の基礎的な試験を行いました。

これも現状では基礎的な燃焼特性のデータを取得するという段階です。


 中国は、二段燃焼サイクルを採用した推力200tfクラスのブースター用LNGエンジンの検討を行っています。
しかし今のところ机上検討であって、まだ要素技術の基礎試験すら始まっていません。




過去50年で初、日本はLNGエンジン開発で世界のトップを走っている


ヤン NASAで使っている技術の成熟度を示す指標にTRL(Technology Readiness Level:「技術達成指標」と訳す)というものがあります。

全9段階でTRL1が基礎研究段階を示し、最高のTRL9が実用システムへの適用を示します。
LNGエンジン開発の現状を私なりに評価するならば、中国はTRL1.5(「基礎検討」と「技術的な可能性の検討」の間)です。アメリカはTRL2.5(「技術的な可能性の検討」と「基礎技術の開発」の間)、欧州はTRL4(「技術開発」)、ロシアはTRL5(「技術のデモンストレーション」)です。

私は日本は現状でTRL7.5(「実用システムの開発」と「実用システムの評価」の間)であると評価します。
 日本のLNGエンジンの開発は、世界的に見ても過去50年で初めての新たな燃料への挑戦であり、その成果は高く評価できます。日本は、誰も使ったことのない燃料を選び、技術的にまったくのゼロから始めて、自らの思考と実践で困難を克服し、あと少しで最初の実用エンジンを実現するところまで持ってきたのです。

 日本はこれまでに液体水素を推進剤とするエンジンの開発に成功しています。しかし、日本が液体水素エンジンの開発に着手した1970年代の時点で、すでにアメリカは液体水素を使用するJ-2Sエンジンを開発し、有人のアポロ計画に使用していました。液体水素のエンジンでは、日本はアメリカにより「すでに出来ると分かっていたこと」をなぞって技術開発を行ったのです。もちろんそれは困難な開発だったでしょうが、“グラウンド・ゼロ”から自分で考えてのものではありませんでした。

 これに対してLNGエンジンでは、先行する国を追いかけて、技術開発を行ったわけではありませんでした。世界のどの国も、本当にLNGがロケットに使えるかどうか分からない状況の中、自らの意志で未知の推進剤であるLNGに取り組み、あと少しで実用化するところまで来ました。これは日本の技術者にとって、液体水素エンジンを実用化したこと以上に貴重な体験だったでしょう。日本はこのことをもっと誇るべきです。


 世界で誰も確かなことを知らない──そんな未知に挑み、打ち勝ったということは同時に、宇宙工学を専攻する日本の学生達にとって多大な刺激になると思います。日本にはそれだけの力があることの証明ですから。

 もちろんこれからLNGエンジンの実用化と発展のために、日本はまだまだやらねばならないことを多数抱えています。ブースター用エンジンのためには、より高圧環境での燃焼を実現しなければなりませんし、上段用エンジンで安定した再着火や再々着火を実現するためにはさらなる試験と技術開発が必要でしょう。


LNGエンジンにはビジネス的な勝機もある

これを科学者の方に聞くべきことではないのかも知れませんが、現状のLNGエンジンにビジネス的な勝機はあると思いますか


ヤン 日本が作ろうとしている最初のLNGエンジンが10tfの推力を持つということに興味を持っています。これは、アメリカが様々な衛星打ち上げに使っている上段用エンジン「RL-10」と同クラスです。

 アメリカは1970年代にスペースシャトル主エンジンを開発した後、1980年代以降、そもそもロケットエンジンの開発を止めてしまいました。1990年代後半から「デルタ4」ロケットの第1段用に「RS-68」エンジンを開発しましたが、これは1960年代前半に、「サターンV」ロケットのために開発した「J-2」エンジンの技術を再利用した性能の低いエンジンです。性能は低くても安く作れることを目指したものでした。ですから、アメリカは1970年代以降、ロケットエンジンの分野で技術的なチャレンジを行っていません。

 RL-10は基本的に1960年代に開発され、その後小さな改良を受け続けているだけです。そして、RL-10はアメリカが利用できる唯一の上段エンジンなのです。

 今、アメリカ国内ではRL-10への懸念が存在します。RL-10にトラブルが発生してしまったら、アメリカの衛星打ち上げは中断してしまいます。明らかにアメリカはRL-10の代替を欲しています。これは面白い状況だと思っています。

日経BP 2008年11月18日

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 (´・ω・`) 民主党は日本がトップを走っているのが気に入らないのですね、わかります。

閉じる コメント(3)

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転載させていただきます。

2009/12/7(月) 午前 0:04 出雲守護

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旧日本軍が中国や朝鮮におこなった仕打ちを考えれば、日本人は何も言えないような気がする。

2009/12/7(月) 午前 7:26 [ nanking_atrocities ]

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鉄道大臣さん

転載ありがとうございます。

2009/12/9(水) 午後 11:53 F.344


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