日はまた昇る

ゆるりと過そう――最近はゆるりとアイマスSSをカキカキ

落書き

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久しぶりに書き殴った試作品

園みどり子の今の日常



大洗女学園の学園艦の秩序を守る風紀委員。
百人を超えるその組織の長を務める少女の名は園みどり子と言う。
往々にしてお堅いイメージを持たれる風紀委員をそのまま人の形にしたような性格で、寄港日にも艦に残ってあれこれと仕事をすることが多い。
そんなみどり子なのだが、最近ちょくちょく艦から姿を消すことが多くなった。
風紀委員の仕事は他のメンバーに任せ、学校自体も休む日がある。

「あれ?今日、そど子さんはお休みですか?」

戦車道の授業が始まり、隊長である西住みほが参加者の確認をしながら問いかけた。

「はい。その、ちょっと家庭の事情があるみたいで…」

みどり子と同じ風紀委員に属し、同じ戦車を駆るチームメイトの後藤モヨコが答える。

「しばらくの間、参加出来たり出来なかったりするかもって言ってるよ…」

続けて口を開いた金春希美もモヨコと同じ立場の人間だ。
みどり子と行動を共にすることが多い二人の言葉にみほは分かりましたと頷いた。
家庭の事情と言われれば、彼女は詳細を問いただしてくるようなタイプではない。
だが、その表情はみどり子を心配しているということは誰にだって分かる。
モヨ子と希美は後ろめたさを感じつつも、『そど子なら大丈夫』と言うしかなかった。
こればかりは本当のことを言うわけにはいかないのだから。


心配されている当の本人は風紀委員権限で連絡船を使い、陸へと渡っていた。
学園艦では制服ばかり着ているみどり子も流石にジーパンと軽めのジャケットという動きやすい私服姿だ。
平日の昼間に制服で街に出れば、補導されかねない。

「風紀委員の名が泣くわね、まったく」

不良になってしまったようだと心の中で嘆きながら、歩を進めていた。
出来るだけ人気が無い場所まで行かなくてはならない。
携帯を取り出し、今朝方送られてきたメッセージを読み返す。

『別宇宙からミステラー星人の円盤の飛来を確認。好戦的な種族であり注意されたし』

また厄介な存在が来たものだ。
あのメフィラス星人がわざわざ知らせてきたということは余程の相手である。

「どいつもこいつも気軽に襲ってくるんだから…嫌になっちゃうわよ」

襲来者はもう片手では数えられないくらいになっている。
その目的は『自分たち』だから気が滅入る。
相手の『目的』であると同時に一番の『脅威』であろう自分は戦いになっても可能な限り、人的被害が抑えられそうな場所へ向かっているのだ。
大洗艦にはメトロン星人がいるため、あちらには易々と仕掛けてこれないはず。

「まだ来ないでよね」

鞄からペットボトル入りのミネラルウォーターを取り出し、顆粒の胃薬をみどり子は流し込んだ。
今はこれが手放せない。
ちゃんと効果が出ているかは怪しいが、そうでもしないと胃に穴が開きかねないストレスが続いている。
プラシーボ効果でも何でもいい――この苦しみから助けてほしい。


休憩時間となり、各々の戦車から生徒たちが降りてくる。
水道で顔を洗う者、おやつをつまむ者、ゲームに興じる者、と様々だ。

「後藤さん、金春さん、ちょっといいか」

浮かない顔をして、倉庫裏のベンチに腰を下ろしてた二人に声をかけたのは、冷泉麻子。
みどり子とは関わりが深く、事情を知っている数少ない人間だ。

「また何か来たんだな?」

モヨ子から渡された携帯の画面には、みどり子に送られてきたものと同じメッセージが表示されている。
そして、付け加えられた『ちょっと行ってくる』の言葉。
麻子の表情が渋くなる。

「日に日に憔悴していってるのが分かる。西住さんだって、じきに気付く。みんなをよく見てるからな。…寮ではどんな具合なんだ?」

「前と変わらないように振舞ってますけど、明らかに無理してて」

「寝ててもうなされてる時が多いみたい…。一人だけで抱え込まないでって言ってるのに」

「不味いな、このままじゃ。私たちで何とかそど子を支えよう。あいつが口うるさくないと調子も出ないしな」

遅刻魔の麻子は散々みどり子の世話になっている。
犬猿の仲と言えなくもないが、みどり子を本気で疎ましいと思ったことなどない。
可能な限り力になりたい。


茨城のとある山中にみどり子は足を踏み入れていた。
登山道も無く、獣道さえ見当たらない、そんな土地を彼女は苦も無く進んでいる。
人並みの運動神経しかなかったというのに、自分が『何』であるのかを自覚して数日で色々と変わってしまった。
元から高かった視力は更に高くなり、聞こえるはずのないような小さな音さえ感知出来るようになった。
体の変化に心がついていけていない部分がある。
境遇の変化にしてもそうだ。
あまりにも急激すぎた。
あの日――何気ない日になると思っていたあの日に全てが――

『ベリアルの遺伝子を持つ者よ、探したぞ』

意識を過去に向けようとしていたみどり子の頭の中に聞きなれない声が響いた。
頭上に気配を感じ、見上げた先に巨大な円盤が浮かんでいる。
そして、目の前に現れた影は人間のものではない。
赤茶色の身体、ぎょろりとした双眸、タツノオトシゴでも思わせる突き出た奇妙な口。

「俺はお前を探していた。長きに渡るアテリア星との戦争に終止符を打つため、お前には我々ミステラー星の宇宙戦士となってもらう」

口ぶりからして、この生物がメッセージに書かれていたミステラー星人で間違いないようだ。

「いきなりやって来て、勝手な事言わないでほしいわね」

みどり子はファイティングポーズを取り、ミステラー星人を睨みつける。

「力ずくでも連れて行くぞ。この場にいない連中もな」

言うが早いか、ミステラー星人の身体が徐々に巨大化し始め、40メートルはあろう体躯となった。
こちらを踏みつぶそうとする巨大な足を転がりながらかわし、彼女は立ち上がる。

「そんな事…させるわけないでしょ!」

ジャケットに忍ばせていたアイテム――イミテイションリングを左手に。
腰のベルトに取り付けていたホルダーから引き出したカードを右手に。
軽く深呼吸をし、カードをリングにリードさせる。

<呼び覚ませ イミテイション・オーブ>


眩いばかりの光が巻き起こり、その中で彼女の姿が変わってゆく。
光がヒトの形を作り、ミステラー星人の眼前に地響きを立てて降り立った。
巨人がそこにいた。
その巨人を中心に光の衝撃が円状に走る。
黒と赤で彩られた銀色の巨人を見て、ミステラー星人は嗤った。

「そうだ!その目、間違いない。多少薄かろうが、間違いなくベリアルの血!」

つり上がった巨人の目は赤い光が灯っている。

「私は…私。ベリアルなんて関係ないわ」

巨人――イミテイションオーブが、腰を落として構えを取る。

「未熟な失敗作がミステラー軍の戦闘隊長である俺に勝てるものか!」

踏み込んできたミステラー星人がその拳を振るう。
顔に、腹に、連続でパンチを浴びるも、イミテイションは腕を振り回し、その黒く尖った指先でミステラー星人の上半身を傷つける。
後ずさる敵の胸に強烈なキックを叩き込み、低い姿勢からのタックルで転倒させる。
馬乗りになったイミテイションの拳が雨のように降り注ぐ。
思ったよりも楽に勝てるかもしれない――彼女の一瞬の油断を突くようにミステラー星人の口から光弾が放たれた。
至近距離からの攻撃をまともに浴び狼狽えるイミテイションを引き倒し、ミステラー星人がお返しとばかりにその腹を踏みつける。

「フン、少し優勢になった程度でいい気になりおって。強さに関しては期待外れのようだ。母星へ連れて行き教育してやろう」

「……勝手言わないでって、言ったでしょうがァッ!」

叫びと共にイミテイションの赤い目の輝きが増し、全身から赤黒い衝撃波動が噴き出た。
吹き飛ばされたミステラー星人は素早く体勢を立て直し、再び光弾を放つ。

「MTファイヤーを喰らえ!」

連続して放たれたミステラー星の兵器――MTファイヤーがイミテイションを周囲の木々ごと焼き払い、巨大な火柱が上がった。
勝利を確信し、フハハハハと高笑いを上げるミステラー星人。
爆炎が消え、黒煙が風に吹かれて散ってゆく。
そこに巨人は立っていた。
ミステラー星人の笑いが途絶えた。
青く輝いていたはずの胸のO型のカラータイマーは、警告音を発しながら赤く点滅している。
それでも彼女は立っていた。
そのカラータイマーの前で両の掌を使い、円を形作る。
両掌に赤・黒・青・白の入り混じった光が生まれた。

「油断したのはそっちだったみたいね」

イミテイションは両手を組んで十字を作った。
その動作の意味をミステラー星人が理解したと同時に、彼の身体は光波熱線の直撃を受けた。
イミテイションの右手から撃ち出されている――デスジウム光線。

「お、恐るべし…ウルトラマンの……ち、力…。我がミステラー星に――」

「お断りよ!デェェェアッ!!」

デスジウム光線の勢いが増し、ミステラー星人の身体は限界を迎えた。
MTファイヤーを遥かに超える威力のそれが巨大な爆発を起こし、視界を赤く染め上げた。


イミテイションから元の姿に戻ったみどり子はその場にへたり込んだ。
今日も何とか勝つことが出来た――そう思いながら、変身に使ったカードに目をやる。
イミテイションオーブの姿が描かれたそれ。

「何度見ても目つき悪いわね、本当に」

これが自分のもう一つの姿なのだからイヤになる。
でも、今更どうしようもないのだ。
苦笑してカードをホルダーに仕舞う。

「リングもご苦労様」

オリジナルであるオーブリングを模して造られたイミテイションリング。
いつも無茶な変身に応えてくれる。

「帰ったらちゃんと磨いてあげるわ」

リングを労い、立ち上がったみどり子は歩きだした。
もうすぐ日が暮れてしまう、早く学園艦に戻らなくては。


溜まった疲労でフラフラになってみどり子が大洗艦に戻った頃には、日付が変わろうかという時間帯だった。

「よお。遅かったな、そど子」

「冷泉さん?こんな時間に何やってるの!?」

寝静まった静かな街の中に麻子は佇んでいた。
いつも通りの少し眠そうな顔をしている。

「お前を待ってたに決まってるだろ。早く帰ろう」

「こんな時間に出歩いちゃ規則違反よ!」

「今のそど子が言っても説得力ないぞ。でも、いつものそど子っぽくて少しだけ安心するよ」

言いながら麻子はみどり子の手を取って、つかつかと歩を進める。
みどり子は引かれるままだ。
麻子の長い後ろ髪しか見えない。

「お前の部屋で後藤さんと金春さんがご飯を作って待ってる」

「えっ?あの、ちょっと――」

「流石の私も空腹だ。二人も待ち侘びてるだろう」

繋いだ手があったかい。
そんなことをぼんやり思っていたら、寮の玄関の前まで来ていた。
麻子がそっと手を放して、こちらに向き直った。

「おかえり、そど子」

普段見せることない、不安を押し殺したような表情で彼女が言う。
いつの間にそんな顔になっていたのだろうか。

「…ただいま、冷泉さん。ありがとう」

少しでもいつもの表情に戻ってもらいたくて、みどり子は笑顔で応えた。

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