ああ!法律の道

日々進歩する法律に関する徒然書

今日も昨日の続きでファイナンスに役立つ民法の知識を紹介しましょう。

 それは、債権譲渡です。

 債権譲渡とは、ある債権をその同一性を保ったまま移転させることをいいます。具体的に言えば、AさんがCさんに対して持っている100万円の金銭債権を、Bさんに債権譲渡した場合、BさんはCさんに対して100万円の返済を請求できることになります。

 この債権譲渡がどのようにファイナンスに役立つのでしょうか。

 ファイナンスは、簡単に言えば、お金を持った人がお金の足りない人に金銭を融通することです。このとき、お金を持った人が大金持ちであり、債権の返済期日まで支払いを待つことができるならば債権譲渡の出番は存在しません。これに対して、お金を貸した人がお金持ちではなく、返済期日まで支払いを待つことができない場合もあります。このとき、余裕のなくなったお金を貸した人がとりうる手段として、もっと余裕のある人に債権を売る(つまり債権譲渡する)という手段が考えられます。この手段が容易に取り得るのであれば、お金を貸す人は将来の金銭の余裕を考えることなく、安心してお金を貸すことができます。その結果、お金はよく回るようになり、ファイナンスがよりよく達成できるわけです。

 このことから、債権譲渡はファイナンスを語る上で重要な制度となってきます。

 特に、株式や社債など、比較的小額の資金を多くの人から集める場合には、資金を出資する人々には多彩な事情があると考えられることから、譲渡の容易さは重要な要素となってきます。

 この株式、社債の容易な換金は金融商品市場においてよりよくなされます。このため、公正・自由な市場の存在は、一国のファイナンスの発展にとって貴重な財産となるわけです(「証券取引法読本」河本・大武・2頁参照)。

 ひるがえって見て、我が国の金融商品市場は公正・自由で魅力的な市場でしょうか。以前、Yahooの記事で、欧米の人は日本の市場をいかがわしいものと見ているとの記述を見て、愕然とした記憶があります。その評価が正しいのか(正しくないことを祈りますが)どうかは、これからの金融商品市場がどのように発展していくかにかかっているのでしょう。

今日は、手元に本がないので、民法の債権について、うろ覚えの知識を述べてみましょう。
債権とは、ある人がある人に対して、ある行為をすることを請求する権利のことをいいます。例えば、もっともメジャーな金銭債権を考えてみると、100万円の金銭債権を有する債権者は、債務者に対して、100万円を引き渡すことを請求することができます。

この債権は、あくまで請求することができる権利があるだけであって、請求が実質的に担保されていることを意味しません。そのため、債権は、債権の実効性を担保する法制度、すなわち、執行制度なくして存続することができないものです。この意味で、債権は、国家権力による執行制度が整備される時代まで、その主役としての地位を物権に譲っていたことになります。

ただ、ひとたび債権が実効性をもって存在しうるものとなると、その存在は物権よりも大きなものとなります。

特に、債権存在によって人は、場所的又は時間的な障壁を克服することができることになったのです(我妻先生の民法講義で読んだフレーズです。ドイツの偉い学者の言葉の翻訳であったように記憶しています)。つまり、お金の余っている人がお金の足りない人にお金を貸すという行為は、お金のあるところからお金のないところへ場所的移動を、ある時点でお金のある人から、ある時点でお金のない人へ時間的移動を行うことを意味するわけです。

以上のことから、お金のある人からない人へ資金を融通するファイナンスは、債権の誕生なくして成立しないものといえるわけです。

なんだか大味な議論ですが、今日はお酒を飲みながら、昔読んだ本を思い出して書いた記事なのです。確か、我妻栄先生の「近代法における債権の優越的地位」でしたか。連休ボケが抜けないまま書いたものと大目に見ていただけると幸いです。

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