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◆平成28(2016)年12月13日 東京新聞 夕刊
目立つ長期化 虐待児童の一時保護 2カ月超 家裁が適否審査 厚労省方針 実現性疑問視も
厚生労働省は、虐待を受けた子どもを児童相談所の判断で親から引き離す「一時保護」について、期間が二カ月を超える場合、継続の適否を家庭裁判所が審査する仕組みを新たに検討する方針を固めた。児童虐待への司法関与の在り方を話し合う有識者会議は十二日、これらの内容を大筋で了承。厚労省は法務省など関係省庁の理解が得られれば、来年の通常国会で児童福祉法の改正を目指す。
一時保護は児相の所長らが判断権限を持っており、子どもの安全を確保した上で、保護者の指導などを行う。児童福祉法は原則二カ月を超えてはならないと規定しているが、厚労省の今年四〜七月のデータを基にした推計によると、二カ月を超えたケースは年三千六百件程度に上る。二〇一四年度に虐待を理由とした児童の一時保護は約一万六千件。
厚労省は、保護者の同意なく一時保護が二カ月を超える場合を家裁審査の対象と想定。ただ、検討会では家裁関係者から制度の実現性を疑問視する声も出ており、今後の具体的な制度設計が注目される。
有識者会議の報告書案は、将来的には一時保護が二カ月未満のケースも家裁審査の対象とすることを目指すべきとの意見を紹介。一方で、緊急に子どもの保護が必要な事例に影響が出る恐れがあるとの考えも併記し、児相や家裁の態勢整備が必要だとも指摘した。
また会議では、虐待をした保護者に対し、家裁が養育環境の改善計画を定め、計画に従うよう命じる制度の導入も議論したが、一部の委員から家裁の権限が強過ぎることに懸念が示された。報告書の最終的な内容について、さらに調整する。
職員不足課題「受け皿確保を」
児童相談所の一時保護所で入所が長期化している問題では、二カ月を超えて入所していた子どもが二〇一四年度、首都圏の一都六県で計千六百七十二人いたことを、本紙は今年十月に報じている。
一時保護所を出る際、児相は子どもの様子や家庭状況などから、家に戻すか、児童福祉施設に入れるかなどを決めるが、施設や職員の不足からこの手続きが遅れがちになっているのが原因だ。
今年九月に本紙が実施した独自調査では、東京、埼玉、千葉、栃木の一都三県と政令市など五市で同年度、全体の二割超の子どもが二カ月を超えて入所。五百日を超える長期で入所する子どももいた。
一時保護所の入所は、親の虐待から避難させるなど緊急の場合とされ、親ら関係者との接触を避けるため原則学校に通えず、長期化による精神的負担は大きい。
親の暴力で、一時保護所に三回入所した経験がある高校二年の女子生徒は本紙の取材に応じ、「外出もできず、誰とも話せず、一時保護所で心が安まることはなかった。家にも帰れず、私に生きる居場所はなかった」と訴えていた。
受け皿整備の強化を求める声は強く、厚生労働省は昨年度から、一時保護所の改築費の補助率を上げるなどしたが、職員増員のための補助制度はない。
都児相の元職員で、明星大福祉実践学科の藤井常文教授は「現場の職員も疲弊し、社会的養護の一翼を担う施設とは言い難い。受け皿を確保し、子どもが安心して保護される相談所にすべきだ」と指摘している。
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