ちょっぴり不思議な小説小箱

人との繋がりを大事にしていきたいと思ってます。ご訪問、お待ちしてます♪

最初から殺すつもりでした。だから

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

大したことなんて、していない

そう

全然大したことなかった

実にあっけなかった

簡単だった

イージーだった

もう、つまらないと言っていいくらいのものだった

バカバカしいほどだった

実際、鼻で笑ってしまってる自分がいた

だって、それは本当にあまりに仕様もないもので

俺はただ、あいつの背中を押しただけで

ああ、勘違いのないように付け足しておくと、これは応援したいとか、もっと頑張れよ的な意味合いではなく、言葉の通り、この手で、あいつの背中を押したという意味で

トン、と、別に力をこめるでもなく、勢いをつけるでもなく

まるで、冷蔵庫の扉を閉めるみたいな安易さで

まるで、通学路で後ろから声をかけるくらいの気安さで

そんなことで

あいつは

あいつは多分、その瞬間に未練だとか後悔だとか疑念だとか、そんなものを考えることもなく

多分、ほぼ全身の骨が砕けちまったとか、地面に脳みそが飛び散るほどの激しい衝撃だったとかの、そんな死ぬほどの痛みを感じることもなく

ただ、校庭の上に黒い水溜りを作って、その…たった18年ほどの人生の、最期を迎えていた

少なくとも、俺はそう思っている











『最初から殺すつもりでした。だから』











吐息が漏れる

その似つかわしくないような艶やかさに、どうしようもなく感情が高ぶってしまう

彼女には見えないように、密かに口元を歪め、そっと、白く滑らかで温かくも柔らかいその素肌に触れた

かすかに恥らうような反応を見せるのも愛らしく、尚もその全身を撫で回したくなる

もっともっと、深く深く愛したくなってしまう

「詩織、詩織っ」

彼女の名前を呼びかけると同時に、更なる高まりを感じる

高まっていくとともに、その華奢な体を抱きしめ、首元にしっかりとキスマークが残るように口づけた

何度も何度も

何度も何度も何度もだ

「はる、き…はるき…」

彼女の口から漏れる俺の名前が

その甘いイントネーションが俺の脳を痺れさせる

もう止めることなんてできない

旧知の仲、竹馬の友、幼馴染の昔馴染みであるところの彼女に対し、このような想い、欲をぶつけることに、少なからず抵抗感がないわけではない

だがしかし、その背徳的とも言える快楽を感じないわけでもない

いや、むしろその背徳こそが、この感情の高ぶりの根源とも言える

そして何より、この俺、八乙女春樹(やおとめ はるき)は

彼女である七北詩織(ななきた しおり)に心の奥底から、あたかも狂喜せんばかりに魅入られているのだ

つまりは、彼女のとりこ

これに関して絶対の自信があるし、自負しちゃっていたりする(困ったことにね)

しかし、こうして彼女を抱くのは、これでもう何度目になるのだろうか

数えてなどいないその回数の多さと、今まで過ごして年数に、わずかばかりの思いを馳せたくなる

(バカな...)

しかし、その戯言を強制的に静止し、それよりも彼女を求めることに専念する

そう

何も思い出す必要などない

そんなものは、詮無いことと切り捨ててしまってもいい筈のものだ

「きて……はるき…きてっ…」

「ああ…」

ならば、俺は今をただひたすらに生きることとしよう






ひとつ、ステレオタイプではあるが、男の幸せの例を挙げてみよう

そう

それは例えば朝目を覚ますと、キッチンから何かを炒める音とぐつぐつと鍋が煮えているような音が聞こえて

その音と食欲をそそられる美味しそうな匂いに、温かい布団から抜け出し、ダイニングへの扉を開ける

そこには、愛すべきパジャマ着(色違いペアルック)の彼女が忙しそうに、けれどテキパキと動く後姿があった

そして、その早くもなぜか落ち着いた動きに合わせて揺れる髪でさえ、不思議な清廉さを醸し出している

彼女から口元から聞こえてくる鼻歌もまた心地いい

俺は、そんな彼女の姿をじっと眺めながら、ああ〜これが新婚生活ってやつか〜、などと頬を緩めている

まぁきっと、一年未満で終わりを告げるような限定条件付の幸せなのだろうが

ちなみに、結婚はしていない

籍を入れるつもりはもちろんあるのだが、今のところはとりあえず同棲中ということになる

付き合い時間的には約5年

個人的な希望を言わせてもらえば、6年目には、給料3か月分くらいの指輪をプレゼントしたいと願っている

実際、どうなるかは分からない

とまぁそれはさておき、いつの間にか起きていた彼女に一人、料理を作ってもらっていることに、罪悪感を感じないわけではない

なので一つ、得意というではないが、ずっと一人暮らしを続けてきて、そこそこの料理技能を所有していたりする俺も、それに参戦するべきだろう

などと無意味に勇みつつ、詩織に声をかけようとすると

「あ、おはよ春樹。ちょうど出来上がったところだよ。食べよ?」

と、さわやかに声をかけられて、そんな振り返る様も絵になっているな〜などと感心しつつ

「……おう」

と、普通に返事を返していた

ワキワキしている手が、いささか淋しさを物語っていたが

そんなこんなで、無意味な勇みは本当に無意味に終わり

実は料理スキルを披露したかったなどとも言えず(つか、起きた時点で殆ど出来てたじゃん。気づけよ俺)

ならばせめてと、皿を並べようとするも、それすらも止められて、心淋しくも大人しく席に着く俺

そして、本当に何一つ手伝うことができないまま

「「いただきます」」

と、新婚らしく声をハモらせて手を合わせるのだった






「昨日午前、丸戸市円名町の会社員方で、この家に住む女性が何者かに殺害されているのを…」

詩織の旨い朝食(和食、出来は詩織が遥か上)を頂きながら、テレビから流れてくるニュースを聞き流す

自然と入ってくるが、次の瞬間には忘れるような内容なので、何も気に留める必要はない

いつものことだ

毎日毎日、どこかで人は殺されているし、毎日毎日、どこかで人は蹂躙されている

自分とは無関係だと決め付け、平凡に生きることを望む

それが人間だ

例え、子が親に虐待されて殺されていても

例え、家族内で誰かが殺されていても

例え、痴情のもつれから誰かが殺されていても

例え、事件に見せかけて誰かが殺されていても

俺たちが知ることができるのは、全体から見れば実に極少数で

テレビやインターネットから知ることができるだけのわずかの情報だけで

一分程度で語られる程度のつまらないストーリーで

よく聞くセリフに

殺すつもりはなかった、とか

初めから殺すつもりだった、とかがある物語で

実は、そんな物語は毎年1300件近くの殺人事件が起こっていて、報道されているのはそのたった数%で

きっとそれ以外にも、行方不明だかの扱いで殺されている人はもっとたくさんいるはずで

そんな誰にも見向きもされない、さらにつまらないストーリーもあるはずで

それ以外にも事故や自殺なんかで死んでいる人たちにも、見向きもされないつまらないストーリーがあって

けれど、俺たちは、そんなものは情報としては知っているのだが、決して直視なんてしておらず

無意味に無関係を装って

平凡を嫌いつつ、それでも平凡であるべきと

まるで強迫観念のように、その日々その日を受け流しているだけ

「ごちそうさま、美味しかったよ詩織」

「いえいえ、お粗末様」

もちろん、俺もその一人だ






「春樹、今日も遅いのかな?」

出かけにそう問われる

「いや、今日は普通」

この場合の普通は無論定時なのではなく、定時プラス3時間といったところだ

世の中なんてそんなもの

だがしかし、今日(も)と問われるほど、俺は毎日帰りが遅いのだろうか

自分ではよく分からない

「そっか。なら今日は夜、一緒に食べようね?」

「あ、ああ。そうだな」

そんなことで、あたかも女神的な微笑みをされてしまうのだから堪らない

とても飲みに行ってくるだなんて言えないじゃないか

というか、それじゃ詩織の夕食が遅くなるだろうに

まったく、なんて甲斐甲斐しく、なんていじらしい彼女なのだろう

とりあえず、今日の飲みはパス決定だな

許せ、我が独身同僚たちよ

にしても俺は、本当に彼女に魅入られているな〜

「いってらっしゃい。あなた♪」

「ああ、いってくるよ。詩織」

こんな些細なことでも、とても幸せに思っているのだから

ちなみに朝は、比較的早い部類だろう

今はまだ秋だからいいのだが、冬は確実に夜中に起きることになる時間だ

あの夜も明けておらず、電気をつけながらに用意をして、そして仕事に向かうのは、昔からの習慣も相まってかなり違和感が残る

どうにもあれは慣れない

いや、まぁ当然のように遅刻は出来ないのだけど、それでも慣れないものは慣れないのだ

ともかく、俺の朝は早い

会社まで、別に遠過ぎる訳ではないのだけど、出社も7時と早いのだ

当初、季節なんて関係なくキツかったのを覚えている

しかも、つい2ヶ月程前から、大学生の詩織(年の差3歳半)と同棲するようになって、その早いだろう起床時間はさらに早まった

俺と詩織の家を出る時間差は、確か2時間程度

そんな中途半端な時間を、彼女は無理して(実際はそんな表情を億尾にも出さないが)朝食を用意してくれている

それを起きない訳には到底いかないだろう(たまに寝ていたい時もあるのだれけど)

その上、ここ最近はパソコントラブルによる残業分を家に持ち帰るなんて毎日が続いていた

まぁ、今日も遅いと言われるのはこの辺りが原因なのだろう、きっと

さっきは新婚だの何だの言ったが、俺個人の私見だけを言わせてもらえば、不満大爆発被害甚大って感じなのだ

この溢れに溢れて溜りまくった不満をどこにぶつければいいのだろう

実に煩わしい

煩わしくて仕方がない

おのれ許すまじ

なんて、不完全燃焼物質を腹に抱えつつも、今日も俺は、見慣れた鏡のある交差点に差し掛かる

すると、今まで頭を埋め尽くしていたものが消えて、しばし立ち止まることになった

いつものことだ

「今日は、間に合う…か…」

誰にというわけでもなく時計を見ながら呟く

ここは家から駅の中間地点

そして、俺にとっての、ほぼ毎朝最初の分岐点でもある

「…行くか」

不意に、詩織の「いってらっしゃい」という声が聞こえた、ような気がした

あ、いや、もちろん気のせいなのだが

「…バカらしい」

本当にバカらしい

彼女ならば、今はあの古め広めの1LDK階数2階で日当たりそこそこなバランス釜風呂付のアパートだ

大学生女子的には、あんなボロいと評されても仕方のないアパートに住むのには抵抗があるだろうと思う

しかし、あの家賃7万円のアパートが、とりあえず今の俺の限界だった(前は築浅オートロック付マンション住)

ちなみに、詩織が何をしているかといえば、おそらく可愛くお休み中だろう

前に忘れ物を取りに行ったときに確認済みだ

ついでに起こさないようにそっと、いってきますのキスをして

それはともかく、行くならばさっさと向かうとしよう

本来ならば、最短ならば真っ直ぐ行くべきところ

しかしそこを、俺は毎日思い浮かべてしまう記憶を共に、その道を横に逸れていった






墓地

日本的な、お寺にある、御影石やら花成岩やらで出来ている手入れの行き届いた墓石のある

あるいは無縁仏となり荒れ果てた朽ち石のある、近場の聖地、とでも表現すればいいのかもしれない

とはいえ、聖地なんていっても、朝っぱらからこんなところに人はいない

まして、お盆でもないので活気も賑わいも安らぎも怒号も悲哀も明るさなんてものもありはしない

ただ静かな、朝の青白い空間だ

そこで俺は、別に祈るでもなく、手を合わせもせずに立ち尽くしていた

俺に、その資格はないだろう

目の前には、そこそこ手入れされた、しかし花は飾られていない、それでも、無縁仏よりもマシな筈の、けれどなぜか、異様に寒々しい墓石

『七北家』

そう彫られた

俺の親友だった奴の、今のありか

俺は、まるで儀式のように、その墓石に手のひらを当てて、軽く押してみる

当然のようにビクともしない

重い石を引きずった低い音もしないし、死んだ人間が声を上げるはずもない

けれど

「…武彦」

その名を呼ぶと、まるで自己暗示のように、記憶がフラッシュバックする

生きていた頃の、あいつの姿かたちが蘇る

いや、それ以上にあいつの死の瞬間が呼び起こされる

夜中の校舎

開いていた窓ガラス

鍵を盗んで開けた屋上の重い扉

この手で押した、武彦の感触

ぐしゃ、という異様

黒い

黒い

黒い

赤じゃなくて黒い地面と



目玉

肉片

骨片の飛び散った親友だったもの

それが……俺にとっての七北武彦(ななきたたけひこ)その人だ

かつての、俺の親友であり

また、詩織の兄でもある

間違いなくこの俺が、殺した男

夢でもなんでもなく、確かにこの手で、突き落とした、生きていた人間

あれは、つい5年前

俺と武彦は同い年で幼馴染で、ついでに小学校からずっと同じ学校に通うという、どこにでもいそうな、でもいなさそうな、そんな無駄に仲のよかった二人だった

意味のない話で盛り上がって、勉強嫌いで、女好きで、かといって田舎でヤンキーになる度胸なんて持ってない

そんな奴らだった

武彦には妹がいた

節目がちで、少し暗い印象の女の子

感情を表に出さず、俺達を少し遠いところから眺めている......そんな女の子

名前を七北詩織

当時は、まだ中学生だった

一応は彼女とも幼馴染になるのだが、別段仲がいいというほどではなく、中一くらいまでに、何度か面倒を見たことがあるくらいの縁

正直、苦手意識を持っていた

だって、何度話しかけても答えは返ってこないし

よく一緒に遊んでも鈍臭くて、しかもすぐ泣くし

いっつもおんなじような服ばかりきて気味悪いし

いじめられるのがものの見事に似合っているし

…それでもまぁ、何というか、一応は幼馴染

なかなかに縁が切るなんてことは、俺にはとてもできなかったわけなのだけれど

そして、高3の冬

年が明け、3学期の中盤

一年かけた受験が成功し、今までの鬱憤を晴らすがために遊びまくり、けれど、それにも飽きて、だらけきった空気に取り憑かれたある日

それは起きたのだ




俺は、武彦を殺した




もう本当に脈絡がなかった

夢の終わりくらいに脈絡がなかった

あまりに唐突だった

意味が分からなかった

自分でもまるで分かっていなかった

分かるはずもなかった

俺は無様なくらいに混乱していて

それでも、間違いなく他でもないこの俺が、武彦を突き落としたのだ

それだけだった

それだけの物語だったのだ

ただそれだけのことで、俺は殺人者になった

ただ、どうしても許せない

許せるわけがない

許せば、逆に俺が瓦解してしまう

なんて……そんなつまらなくもどうしようもない、俺の自己満足のために






結果をいえば、俺は逮捕すらされなかった

何故なら……自殺

それが警察の出した結論だったからだ

なにせ遺書があった

本人直筆の遺言なんてものが

それに運も良かったのだろう

この発表に、俺はただ

無能が…

そう思った

だがこうして幸いにも、殺人犯にはならずに済んだ、と

素直に安堵もしてした

前科もつかず、生活も何も変わらず、このまま日常が続けられるのだと、そう思った

ただ親友が死んだ、という事件により、結局俺は大学にはいかず、すぐに社会に出ることにした

そりゃこのご時勢、高卒野郎の就職は難儀であったけれど、幸い今の会社に営業で雇ってもらえることになった

また、プライベートにおいても、より明るくなった詩織と晴れて恋人同士となり、今は二人だけの甘い蜜月生活を過ごしている

これが、俺の全てといっていい

いや、これ以外何がいるというのだろう

これが一般人の幸せってものだろう?

そりゃまあ結婚もしたいし、出世もしたいし、もっといっぱいエッチなこともしたいし、人並みに子供はほしいなんて思ってはいるのだけれど(できれば女の子がいい)

そんな些細にも見える

けれど、俺にとっての全てを守るために、毎日毎日朝から晩まで(誇張なく朝から夜遅くまで、休日も事実上2週に1日だし、ってか実は所謂ブッラク会社なんじゃ、とか思ってたりする)ひたすらに忙しい日々を送っているのだ

「ただいま〜」

仕事から解放される瞬間だ

外から家に入るときの匂いの違いにより、俺はスイッチをオフにする(スイッチオンはネクタイ締めだ)

やや間延びしてしまう声はご愛嬌

そして何より、この挨拶にしっかりとした挨拶が返ってくるのが、怠惰のスイッチオンになる

………………

「って、あれ?」

待てど暮らせど返ってこない挨拶

それに、いつもならパタパタとスリッパの音が近づいてくるのだがそれもない

はて、どこかに出かけているのだろうか

なんだか、とても淋しいじゃないか

「でも、明かりついてるし」

正面のドアの奥からは白い光が漏れている

不可思議だ

詩織はどうしたというのだろう?

あれ?もしかして機嫌損ねたっ!?

って、いやいやいやいや、それはないと思うけれど

「あ...」

そこで嫌な予感が走った

灯った明かり

返ってこない声

一人の、詩織

一人だけの、彼女

蘇る記憶

「詩織っ!」

慌てて脱ぎかけの靴を放り出す

玄関を大きな音を出して踏み出し

廊下を走り

勢いよくドアを開け

すぐさま明かりの中へ

「詩織!!大丈夫か!?」

バタンと大きな音を立ててドアを開け放つ

焦っていたのだからこれくらい許してほしいと思う

だってもしかしてなんて、あるかも知れない不条理を思ったりすることもあるじゃないか

「...詩織」

しかして、そこには黙ってテーブルの席に座っている詩織の姿があった

安堵に深く息を吐く

この位置からでは後姿しか確認できないのだが、その背中だけで特に問題ないことが分かる

逆にこちらは、疲れているわけでもないのに、小刻みに呼吸してしまっていた

それでは何となく格好が悪い

俺は基本に、いい格好しいなのだ(自分で言うのもなんだけど)

なので、それを落ち着けてから、ゆっくりと声をかけた

「しおり〜?今日は淋しかったぞ〜?」

ネクタイを緩めながら、何となく茶化した感じで話しかける

「俺はお前のおかえりを毎日楽しみにしてるんだからさ〜」

何故かといえば、気のせいか、ぱっと見の彼女の背中からは重い空気が漂っていたからだ

「あ、今日は夕食一緒するんだよな?今日は何かな?いや、詩織が作るものなら何でも美味しいんだけどさ」

「春樹、座って」

「はい?」

なんでしょう?その感情のない口調は

「座って」

「えっと?」

「座って」

「あぅ」

「座って」

「…………はい」

4度も同じ言葉、しかも同じイントネーションで…………怖っ!

怖過ぎますって詩織さん

何か嫌なことでもあったんですか

そんな詩織さんに俺は戦々恐々としながら、彼女に対しテーブルの向いに座る

けど顔は見れない

目なんて合わせられるはずもない

だって…怖いんだもん…

これって、仕方ないよね?

女の激情ほど度し難いものなんてないっていうし

あ、いやしかしはてさて、一体どうしたというのだろう

こんな恐怖に震えるのは久方ぶりだ

しかもこの、何というか、あたかも尋問詰問するから正直に答えなさいよ的な雰囲気は何だろう?

というか、これじゃまるで、あなた浮気してない?とでも聞かれそうな席じゃないか

そんなこと、他の何かが起こっても、他の誰と何人出会っても、決して、あるはずがないのに…

いや、もしかしたら仕事人間的な俺に腹を立てたのかもしれない

高卒で仕事を始めた分、車の免許すらとっておらず、ドライブや旅行にも連れて行っていない

その辺りが、ご近所さんとの会話の中ででて、ついぞ寂しい思いをしてしまったのかもしれない

ああああ〜〜〜〜、いかんいかん

頭の中を色んな想像が通り過ぎていく

つか、これだけのことを考えられる沈黙が痛い

「春樹」

「はいっ…」

不意な質問に、思わず声が裏返ってしまった

格好悪い

俺は詩織の前では、例えどんなに小さくとも格好の悪いマネなんてしたくないのだが

「これ、見て」

そんな俺の心境をよそに、詩織は一枚の紙を差し出す

「今日、ポストに入れてあったの、直接」

「直接?」

直接とはなんだ?

不動産のチラシか何かか?

あ、やっぱり、もしかして家がほしい?

こんなボロ家はやっぱり嫌ですとか?

でも、それでこんなに重い空気はないか...多分

今一つ意味が分からず、恐怖のあまりに伏せていた顔を上げる

「え...」

次の瞬間

戦慄した

驚愕していた

怖い、という感じではない

脅威を感じたのだ

その紙に書かれている文字を見て

心臓が鼓動を早める

目が硬直し

手足の先から震え出す

その紙に書かれてあった

いや、これは正確ではない

正しくは、新聞文字で作られた

あたかも、二時間ミステリーで見かけたことがあるような

不自然なくらいに脅迫文じみた

「この殺人犯」

という文字列を見て






その夜の話し合いは、案外短かった

結局はいつも通りの時間に床に入り、二人肩を並べて横になったのだ

「まぁ、こんなの、ただの悪戯よね」

という彼女の言葉によって締めくくられて



…かといって



そのまま無視できる内容ではない

きっと、詩織も眠るのには、少し時間がかかるだろう

そりゃそうだ

何の脈絡もなく、あんな手紙を見たのだから

いきなり殺人犯呼ばわりされたら、気を動転しても仕方がない

きっと、不安で堪らないはずなのだ

そもそも悪戯にしては悪趣味すぎる

いや、俺にとってはあまりに意味深過ぎる

一体誰が

あんな手紙を出せたというのだろう

そんな奴がいたのだろうか

(殺人犯、か)

そんなこと書かれたら、思い出したくないものまで、思い出してしまいそうになるじゃないか






あの日

5年前のあの夜

俺は、誰にも見つからないように学校に向かった

当然、監視カメラにも注意した

田舎とはいえ、コンビ二は普通にあったりするし、どこにでもああいった監視アイテムは見受けられる

しかし、それを回避しつつ、かつ人目にも付かないように

けれど、とても急ぐ形で…

あと、一応言及しておくと俺に親はいない

当の昔に死んだ

だから、俺にとってまともな証言をしてくれる人間なんてそうはいない

ならばということで、とにかく誰にも見つかることなく、が最優先された

とはいえ、田舎も田舎

夜遅くに出歩く人間なんてそうはいない

よって、何とか無事に学校に到着した

実際、人を見かけることもなかった

そして、屋上に呼び出した武彦を、屋上の端におびき出し、その背を押したのだ

ああ、今思い出しても、本当にあっけないものだったと思う

俺は、武彦が落ちた現場を確かめることもしなかった

屋上から遠目にあいつの惨状を確認しただけだ

現場に妙な足跡をつけることを嫌ったためだ

それで終わり

何も難しいことなんてなかった

そして、翌日、当然のように事は発覚する

その後は、いろいろと煩らわしかった

警察にはもちろん、事情聴取ってのを受けさせられた

でも俺は自然に

自然に

ひたすら自然に

親友の武彦が殺された少年を演じた

昔のことまで、無駄にほじくり返されたのは非常に不快だったが

別に涙を流すことなく

挙動がオーバーになりすぎることもなく淡々と

しかし悔しがるようにして、刑事さんの問いに答え続けていた

普段どおりに近い形でありながら、陰鬱さを帯びた...そんな表情で

これは、もはや処世術といっていいのだろう

口八丁手八丁、表情自在の嘘っぱち

俺にとって、人を騙して誤魔化して欺いてなんてのはお手の物なのだ

それで、無事無罪となったわけだしね

それはともかく

あの時、俺は誰にも見つかっていない

これは断然出来る

例え見かけられたとしても、一瞬では判別も付かないはずだし、大きな通りも人目の多そうな道も避けて通った

よほどに目ざとい奴がいれば、そりゃ分からないけれど、あんな田舎町でそれはないと思う

それでは、最近はどうだろう

といっても、例え酔っていたとしても、この話をしたことはない

殺人話のような物騒な話題を振られたことなんてのもありはしない

いや、そもそも今さらどうして、という疑問もある

最近、何か俺の周囲で変化はあったのだろうか

あるとすれば、詩織と同棲を始めたことくらい

でも、それが何だというのか

「ふぅ…」

ダメだ

情報が少な過ぎる

確定した答えが出る状態じゃない

あの脅迫めいた紙から、何か情報が出ればいいのだが

でも、指紋を探すなんてそんな技術を普通の人間が持っているはずもない

そもそも分かったところで、照合のしようがない

知り合いの指紋を知ってるなんて人間がこの世にいるわけもない

他にも情報は何かしら得られるかもしれないが、やはり技術がない

これは、考えるだけ無意味だろう

まぁ、わざわざあんなものを送りつけてきやがったのだ

おそらく、今後も何かしらのアクションを取ってくるだろう

事が事だけに、俺は誰にも頼れないからな

つ〜わけで、先方の出方を待って、対応を決めるとしよう

まぁ、脅威ではあるが、恐怖なんて持ち得ない話だ

考えるまでもないと思う

なぜなら脅される側は、いかなる手段も取る覚悟なんて、当然のように出来るのだから

その後も、予想通り脅迫文は続いた

この手の犯人は、徐々に徐々にエスカレートしてくるものだ

断定はいけないのだが、まぁ結論的には合っていたようだ

どうにもストーカー気質な野郎らしい

とはいえ、実に予想通りなので、こちらも事前準備はしてある

事前に隠しカメラを利用して、ポスト周辺を取り続けていたのだ

しかし、これは愚策に終わる

まぁ、そりゃそうだよな、というか、しっかりと不審者丸出しルックだったわけだ

夜が更けてからとはいえ、よくもまぁそんな格好が出来るものとある意味関心してしまう

おっと、言い忘れていたが、夜更けてというのは午前3時程度ということになる

多少のバラつきはあるが、概ねその時間帯となる

おそらくは最初の投函も、この前俺たちが愛し合っていた時間のすぐ後のようだ

ちなみに詩織には、気のおけない友人の家に泊まってもらっている

その子が犯人ではいことはアリバイにより確認済み

こいつ相手なら大丈夫だとは思うが念のためだ

「つか、俺も暇な奴だよな」

張り込みを続けながら呟く

ほぼ毎日のように、カメラを確認しているのだ

仕事だって普通にあるのに、本当に面倒な話だ

いい加減人の迷惑を考えろって感じだ

「とはいえ、もうさっさとケリをつけてしまおう」 

正直辛い

毎日眠くて仕方がない

犯人への恐怖(そもそも感じていないのだが)よりそちらが上回っている

なので、この犯人の行動パターン(全部で4回の脅迫文投函中、2通ずつが火曜と金曜だった)から、今日(つまり火曜日)来るんじゃないか?

という非常に安易な推理の元で、こうして寝ずの番をしているである

今、俺がいるのは、ポストのそば

しかし、どちらからも死角になっている木陰

かつ、取り付けた鏡によってポストが確認できる場所だ

いやもう、我ながら適当である

こんな単純で犯人捕まえられれば苦労はねぇよってくらいだ

そもそも普通、こんなにもこちらの思惑通りというか、電車じゃないんだから同じ行動を取る奴がいないだろう

知能指数が10以上あれば、当然に回避する行動である

しかし

「って、ホントにきたよ。こいつ」

相手は予想以上にバカだった

半ば呆れてしまう

ややため息混じりに、木陰から飛び出てみる

「っ!?」

別に突然現れたってわけでもないのに、俺が姿を現すと、その犯人はうちのポストに手紙を差し入れる直前で硬直していた

どうやら相当に驚いてるらしい

硬直しながら、各所が震えている

もう典型的とさえいえる、まるで漫画のような驚きっぷりだ

ああ、これなら笑ってしまってもいい場面かもしれない

対する俺は自然体

いや、どちらかというと気が抜けているくらいだった

仕方がないだろう

察してくれ

「お前、何してんの?うちのポストに」

とりあえず、自分がそのポストの主であることをアピールしてみる

その言葉に、きょどっていた動作がピタリととまる

ふむ、すぐさま逃げ出さないところを見ると、どうやら既知のことであるらしい

まぁ、それくらいの情報はもっていて当然か

てか、逃げないのは自信の表れだったりするのか?

或いは、単なるバカなのか

まさか、最悪最低なものの一つとして、言い訳をしようだなんて愚考をめぐらしているのだろうか?

いや、もしかしたら俺と同じように殺害方法を思考しているのかもしれない

ああ、俺としては、それが一番助かる

正当防衛は法律の誉れだ

ちなみに俺に武器はない

ナイフなんてものをわざわざ用意したりしていないし、万能包丁を凶器とするつもりもなかった

だって、ナイフの技術なんて知らないし、包丁は思いのほか殺すには不適格だしね

いや、はなから必要ないし

「おい、何とか言ったらどうなんだ?お前なんだろ?うちに脅迫文なんぞ送ったのはよぉ」

堂々と断言して言い放つ

俺としては、もう逆上してくれて構わないので、徹底的に追い詰めるつもりでいた

「おいてめぇ黙ってんじゃねぇよ、あぁっ!」

顔を相手の顔面を近づけながら言い放つ

脅し方が昔のヤンキーである

無論両手はポケットの中だ

格好は微妙という自覚はある

しかし目の前のそいつは、まるで怯えたように震え出した

どうやらヤンキー攻撃は効果抜群だったらしい

不審者ルックであるゴーグルとマスクとニット帽が大げさなくらいに、すごく揺れている

ついでに全身の安物黒色ジャージも震えていた

(チキン過ぎる…)

といっても、油断はしない

こちらも近づき過ぎている分、相手の挙動に注意していなければならない

窮鼠は猫をも噛むのだ

こちら的には、獅子のように全力で相手をしよう

もしかしたら案外、虎の意を狩る狐かもしれないのだし

というわけでヤンキー続行

「あん!!てめふざけてんのか!?殺されてえのか!?ああん!!」

やっておきながらなんだか、どこまでも田舎のヤンキーだなと自分を恥じた

しかし、そんなのでも効果は合ったようで

「すすすうっすすすすっすうすす、すみませんごめんなさい!じゃなくて、つい出来心で!でもなく!」

自白した

あっけなく

…しかし、なんだ?

この中途半端感は

謝りたいのかそうじゃないのかどっちなんだよ

はっきりしろよ

「ここっこここここここおこれは、けして脅迫文を出したいわけではなく!いやいやいやいやいやいやいや...」

いやって何回言ってるんだこいつは

反復の呪いか何かか?

ああそれと、もしかしてもしかすると、自分の犯行であることを否定したいのかもしれないけど、せめて言葉は選べよな

「そうっ!!間違いなんです!」

「…………」

言い放った

言うに事欠いて、間違いなんですと言い放った

ある意味、最悪の言葉の選択だ

つか、今までの自白文章(らしきもの)の最後で、そんな言葉を付け加えられても信じられるわけもないのだが

いや、それ以前の問題として、このチキンは何だ?

ネズミでもウサギでもキツネですらなく、本当に鶏肉なのか

むしろ鴨が葱背負ってやってきるのか

美味しく料理されちゃいたいのか

「間違い間違い!そ〜う間違いなんですよ〜、いや、ホントすみませんね。あっはっは」

何がおかしいのだろう、このアホアホダックは

というか正直、毒気を抜かれてしまって力すら入らなくなっている

「いやね、何となくポストに手をこう、突っ込みたくなってしまったんですよ。自動販売機のつり銭を探すみたく」

気のせいであってほしいが、微妙に調子に乗ってきていやがる

さっきまでの震えはどこへやら、もう饒舌になりまくりだ(嘘つきの悪い意味での典型)

「じゃ、そういうことで、お騒がせしまぐほっ!!」

暴力を振るった

こう、テンプル一撃って感じに

仕方ないよね

こいつウザいもん

「あがっ...あがっ...」

で、その嘘下手ダックはといえば、2mくらい先に飛んで、痙攣していた

そのジャージのポケットからは例の脅迫状を覗かせて

「すげぇなお前」

見事なまでのザコキャラだった

「お待たせいたしました〜。ビールのお客様は」

「ああ、俺」

手を上げて合図をすると、失礼しますとビールを俺の前に置き、もう片方の手にあるコーヒーを逆側に置き、鮮やかに立ち去るウェイトレスさん

なかなかに可憐

にしても夜中なのに大変だね

ここには男性店員が少ないのかい?

などと声をかけることもなく(普段もかけません)ビールで喉を潤すことにする

まぁ、車に乗るでもないのだし、一杯くらい問題ないだろう

というより飲んでないと、この鬱憤を晴らせそうにない

「で、だ」

しっかりとコーヒーをすすっている加茂重行(かも しげゆき 本当にカモだった)に声をかける

名前については、このファミレスに到着するまでの間に聞き出しておいた

無論、その他個人情報、年齢21歳から住所、親御さんの連絡先、預金残高8万1千561円等々全てを聞き出している

所有していた携帯電話及び財布もカード類も没収済みだ

ちなみに、ここの払いもこいつの財布から出すことにしている

そんなどうでもいいことはともかく、始めようか

「お前、死んでみる気ある?」

公共の場所であるにもかかわらず、包み隠さずに淡々と尋ねた

カモは「ひっ!!」と声を上げて硬直し、思ったほど悪くはないけれど良くもない顔を引きつらせる

「ああ、個人的には正当防衛にしたいので、凶器を持ってくれていると助かる。それを俺が撃退しつつナイフを奪ってくんずほぐれつの間に、過って殺してしまったことにするから」

再び「ひっ!!」とのカモ

俺は嘘つきだが、脅すのであれば本音で話す

容赦もしない

虐める気満々である

「それとも、どこかの倉庫に監禁して、殺してくださいっていうまで拷問し続けるでもいいぞ。お勧めは後者だ」

「ひいぃっ!!」

あ、少し(い)が伸びた

へたれ度甚だしい奴である

ここまでとなると、きっと世にも珍しいほどの、タダレのへたれなのであろう

きっと昔からこんなんだから、今みたいなことになっているのだろうし

あ、どうでもいいけれど、もし罪人に人権がなくなったら、この拷問の後死刑ってあり方が一番嫌だよね

死刑には基本賛成してるとはいえ、そんな俺ですらさすがに酷いと思ってしまうもの

江戸時代だか室町時代だかの市中引き回しとかありえねぇよね

「とまぁ、冗談はさておき、あの殺人犯、てのはなんだ?」

一番知りたかったことである

この見るからにアホでバカでクズで役立たずなカモが、よくもまぁあんなマネを思いついたものである

いや、ストーカー気質丸出しなのだけど

「............」

ドカッ!!

「うごっ!!」

無言のカモに対し、テーブルの下で暴力が振るわれていた

俺は知らない

足が勝手にやったことだ

周囲に客のいない席を選んだのは偶然で、先ほどの店員さん他の動きも目端で確認していたりもしない

「で?」

「あの、いや…」

ガスッ!!

「あぐっ!!」

再び暴力が振るわれていた

当然俺は知らない

カモの足がへし折れても、同情なんてしてやる義理もない

まぁ、昔あったっていう矢鴨事件には同情したものだけどね

「で?」

「は、はい!出来心うぎゃっ!!」

ぐさっという擬音が飛びそうな場面の後、目を押さえてもだえ苦しむカモ

俺は本当に知らないんだよ

カモが勝手に自分で割り箸に目を突っ込んだのだから

「さっき聞いた」

「あのあのあのあのあの、めめっめめめ目、は、やめ、ひぃぃっ!!」

恐怖に震えおののくカモ

どうやら、テーブル脇に用意してあった肉切り用のナイフをいじっていたのが気に食わないらしい

ただの手混ぜなのだから気にしなくてもいいのに

でも、どうせ恐怖を感じるのなら、俺はフォークの方が怖いと思っている

なので次はフォークでいじることにしよう

「簡潔にだ。脅迫した目的は何か。なぜ俺を殺人犯などと呼ぶのか。あと、どこでそんなガセを手に入れたのか」

これは周囲に聞こえ過ぎないように注意した音量だ

聞かれるにはマズイ言葉だしね

「はいぃっっ!!実はあがっ!!」

「...声がでかい」

本当に殺してやろうかコイツ

いい加減、程があるだろ

いや、今の人中殴打も殺意はあったといわざるを得ないのだけれど

くそ、恐ろしく疲れる奴だ

「俺に聞こえるようにハッキリと、しかし音量を抑えて言え」

「は、はいっ!」(両手をメガホンにして話している)

「…………」

なんだろう

この出来の悪い生徒、あるいは部下を教えているような複雑な心境は

さっきから脱力しまくりだ

最悪、筆談にするか、なんてことすら真剣に考え始めていた

ああでも、こいつ字も汚そうだしな〜

「え、えっとですね。順番に言うと」

そんなこんなで、ようやくカモは話し出した

それは何とか筆談は回避できるレベルだった

しかし、一度話し出すと饒舌なため、時折強引にコーヒーを飲ませ、店員さんをやり過ごしたりもした

ともかく、最初の問、なぜ脅迫したのかについて

……詩織に惚れていたから、気を惹きたかったらしい

本当にただそれだけのストーカー野郎であることにもドン引きだ

しかも詩織に対する腐った愛情により、数々の盗撮写真、盗撮映像、あろうことか盗んだ下着の存在が判明

この後、こいつの恐らくは汚い部屋に出向き、抹消することに決定

ついでに、その部屋の中で私刑(リンチもといフルボッコ)に処することにも大決定した

なぜ最近なのかの問いについては、俺と詩織が同棲し始めて、その逆恨みもあってとのことだった

「じゃ、次、俺を殺人犯などと呼ぶのかについては?」

「へ?あぁ、いや違います違います。全然違います。あなたのことじゃありません」

「あ?」

じゃあ、何だというのだ

他に誰が殺人犯足りえるっていうのか

「あ、でも言っていいのかな?」

「...なんだよ。どういう意味だよそれ」

「その、僕が言うのも何なんですけど、あなた傷ついたりしません?」

「…お前は、どこまで言葉の選び方が下手なんだ?内容知らない奴に傷ついたりしませんってありえねぇだろ」

卑怯が服を着て歩いているような奴だ

「...いいから言えよ」

「あ、じゃ、はい、分かりました」

カモはわざとらしくコホンとセキをして(一つ一つの行動までムカつく野郎だ)

「詩織さんなんです」

そう続けた

「...............」

絶句した

「アノハンニンジツハシオリサンナンデス」

コイツハ、ナニヲイッテイルノカ

マッタクモッテリカイフノウダッタ

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
シャッフル
シャッフル
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(33)
  • もふもふしっぽ
  • スピードバード
  • papiko
  • 小説マニア
  • うみな(*^-^*)
  • エンジョイ天空
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事