ちょっぴり不思議な小説小箱

人との繋がりを大事にしていきたいと思ってます。ご訪問、お待ちしてます♪

Call

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俺は、金で買われている

金が欲しいから、金で買われている

金欲しさに、どんな客でも相手にする

見知らぬ誰かに呼ばれて

好き嫌いなんて関係なく

今日も見知らぬ誰かに、抱かれているのだ
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Call (1)

今日も、見知らぬ誰かに呼び出された

相手は、30歳くらいの女性

まぁ、比較的若いだろうか

最近は、妙齢を過ぎた人ばかりを相手にしてきた分、少しマシに思える

7つ上なら別段抵抗感もない

むしろ嬉しいぐらいだ

まして、最近は男ばっかりだったので気分も滅入っていたし

それが、こんな若い女を抱けるなんて本当に運がいい

...とか、今更考えるようなことはしない

これは仕事だ

個人の価値観なんて意味はない

まして、こんな外れた仕事では尚更

例え相手が誰だろうと、金さえ受け取れればそれでいい

俺を潤してくれるなら何でもやるさ

俺はコールボーイ

そんなのを生業としてやっているのだから







『 C a l l 』








昔から貧乏だった

物心ついた時には、自分が他の子達よりも、ずっと貧相であることを嫌でも理解した

特に、初めて友達と言える子が出来て、その子の家に遊びに行った時とてもショックだったのを、今でも覚えている

その日は、つい遊ぶのに夢中になってしまい、時間も遅かったので、その子の善意で夕食に呼ばれたのだ

俺は、他人からの優しさがすごく嬉しくて、満面の笑みで「ありがとうございます」とそう言った

でも、すぐに後悔することになる

「こんな有り合わせでごめんなさいね」

その子のお母さんは、どこか恥ずかしそうに言ったのだ

最初、その言葉と、そのやや困ったような顔の意味が理解できなかった

こんなご馳走なのに...と

家では、一年に一回有るか無いかのご馳走なのに、と

一口食べて、それが今まで食べた事のないほど美味しくて

唖然とするくらい美味しくて

でも、その友達は、こんな美味しい料理をいつも食べているみたいで

そこで、俺は激しく理解した

あ、これが普通なんだ...と

その日以降、俺は友達と遊ぶことはなくなり、今まで以上に母さんを手伝う事にした

父親はおらず、母さんだけが俺の家族だった

二人力を合わせて生きていた

母さんは、いつも酷く辛そうに仕事をしていて、毎日毎日、朝から晩まで、日によっては寝ないで仕事をしていた

その顔は痩せこけ、今にも倒れてしまうのではないかと思ってしまうほどだった

それでも、母さんは苦言も漏らさずに、仕事をして、俺にはいつも笑顔を向けてくれていた

俺は、そんな母さんを少しでも助けたくて、母さんの仕事を手伝っていた

でも、報われない

誰も助けてはくれないし、ただの一人も手を差し伸べてくれる事なんて無い

夏は、猛烈に暑く、冬は凍えるほどに寒かった

食べ物も、どこかの店の残飯を漁るような毎日

鏡に映る自分が、どうしようもなく惨めに写る日々

辛くて、悔しくて、情けなくて、嫌で嫌で、生きていることすら止めたくなる

そんなのが、俺の日常だった






待ち合わせの場所に立ち尽くす

壁を背に、上手くもないタバコを吸っていた

立ち上る煙が、眩暈がするくらいの鮮やかな彩の中に消えていく

ここは、多くの人が通り過ぎるネオン街

様々な人の縮図がここにある

これから飲みに行くであろうホワイトカラー達

すでに何件もはしごしているオッサン達

そんなキチンとした白い連中やオッサンを餌とするホスト、ホステス、風俗嬢

あちこちで眠っている酔いどれとホームレス

ヤクザ、暴力団の姿もちらほらとある

見え隠れする弱肉強食の現実

そんな現実を前に思う

俺も、やはり弱者なのだろうか、と

自分を見下ろせば、黒のスーツ

首もとの金色のネックレスと両指のリング

個人的には好きではないが、香水なんかも使っていて

靴は特に意識してブランド品

中途半端に長い髪の毛も、今はもう気にならなくなっていた

...なんて、滑稽な姿なんだろうか

あんなに苦労して高校を卒業したというのに、こんな恰好をして、こんな歓楽街で客を待っているなんて

あまりに情けなくて笑えてしまうほどだ

「...止めよう」

くだらない事だ

今更考えても、俺はただのコールボーイ

金さえ貰えれば、誰にだって、どんな要求だってこなしてみせる

相手が男だろうと、年輩の女だろうと、サディストだろうと、マゾヒストだろうと関係ない

時間一杯キスを迫られても、激しく体を打ちのめされても構わない

俺は、金さえ貰えればそれでいい

「あの...タクトさん...ですか?」

「...ああ、そうだけど」

さぁ、仕事の時間だ

吸っていたタバコを落とし、足で踏みつける

そして、気の抜けた本性の上に、仕事の仮面を貼り付けた

「サヤカさん、だっけ?」

「あ、はい。そうです...」

少しオドオドしたような言葉

その目は、しきりに辺りを気にしている

恰好は、少し大人しめ

でも、やや無理をして派手目の服を選んでいるようではあるか

「...初めて?こういうの」

ぶしつけに尋ねる

「あ、え、その...はい...」

「そう...」

何となく察した

恐らく人妻なのだろう

その態度が、罪悪感に怯えながらも背徳感に震えているように見える

なに、よくあることだ

前にも、何人かそういう客を抱いてきた

旦那に女として見てもらえないとか、毎日に疲れたとか何とか、そんな感じ

贅沢な話だ

日々を生きているだけで、どうして満足できないのだろうか

どうして、何の問題のない生活に苦言を呈するのだろうか

俺には分からない

だが、客は客

それに見た目や立ち振る舞いは、上客と言えそうだ

色気というものが少し薄いが、でも品のある出立ち

自己主張はせず、大人しめの性格

化粧も上手く、自然な感じに仕上がっている

顔も、まぁ美人だ

よく手入れしてあることを感じさせる

恐らく、良いとこに勤めている旦那でもいるのだろう

「じゃあ、まずは食事にでも行こうか」

馴らしを含めて食事に誘うことにする

こういう場合、俺はいつもそうする

「あ、安心していいよ。払いは俺がする」

どっちでもいいことだが、これからのことを考えれば、最初くらい払っておいて損はない

上手くいけば、これからも先の長い客になるかもしれないし

「あ、はい、分かりました...」

特に異論はないようで、大人しくついてくる

こういう初めての客は楽でいい

ある程度、言う事は聞いてくれるし、早々無茶をいうこともないだろう

たまに、余りの無知さから限度を越えた事を言う奴もいるが、この人なら大丈夫そうだ

「...あの」

振り返ると、何となく所在なさ気な様子の客

全身から心細さが溢れているような、そんな感じがした

「おっと、悪い」

そう言って、手を差し出す

つい、楽観視しすぎて手を握る事を忘れていた

「え?えっと?」

でも、差し出された手に戸惑うその人

態度が、どうすればいいの?と俺に問うている

「?...違うのか?」

比較的普通の事だし、てっきり、デート気分でも味わいたいのだろうと思ったのだが

「ごめんなさい...私こういうの分からなくて...」

その態度がさらに、オドオドとしだす

その顔に、やや恐怖が差し込んでいるのが分かる

「そうか...なら」

俺は、彼女の隣に並び、その手をとる

一瞬、その手がビクッとなったが気にもせずに、そのまま俺の腕に絡ませた

「え?あの、え?」

「腕を組んでいこう。それらしいしな」

「え、えっと、その...」

戸惑いはもっともだが、だからこそ最初からやや大胆そうなことをさせといた方がいい

それに、人に触れる、というのは安心感を与えさせる

ここまでビクついているなら、多少なりと効果はあるだろう

「大丈夫。ここには、あなたを知っているような人はいない」

「あ...はい。そうです...よね」

言葉に寂しさが込められていた気がするが、それも気にしない

旦那を見返すとか、近所の人にでも見られたい、実はそんなことも考えていたのかもしれない

なに、それもよくあることだ

でも、大抵その願いは叶わない

そんな偶然なんてそうはない

それに叶っても困る

「あの...訊いてもいい?」

「何?」

腕を組んだまま歩く

こうして、くだらないことを話すのも仕事のうち

あまり話は得意な方ではないが、他愛無いことくらいなら問題はない

「私の気のせいかもしれないんだけど...」

「ん?ああ」

「あなた...私と会ったことがない?」

「...はぁ?」

随分と古めかしい口説き文句TOP3

まさか、こんな言葉を使う人間がいたとは思わなかった

心中で少し笑ってしまう

「ああ、もしかしたらあるのかもな」

でも一応、社交辞令で返す

笑って返してもいいのだが、この手のタイプは結構傷つきやすい傾向がある

「あ、別にその、口説いているとかじゃなくて、本当に...」

思わず、また「は?」と訊き返したくなるが、それを留める

客の気分を害するわけにはいかない

そして、何も答えずに、その顔をよく眺めてみた

次に用意していた言葉はあった

後は、適当にお茶を濁すつもりだったのだが

「...え?」

思わず驚いていた

俺にも、その顔には見覚えがあったからだ

動作や挙動は見ていても、人の顔そのものをちゃんと見ていないもんだから気づかなかったが、よく見れば、その顔を確かに俺の知っているものだった

「...せん、せい?」

さやか先生

高校の時の、俺の担任の...竹ノ内さやか先生

Call (2)

高校には、何とか通っていた

母さんのたっての願いで、高校は出ておいた方が良いと進められたからだ

確かに、中卒ではろくな仕事口がないのは分かっていた

どんなに世の中が変わろうと、大した特技もない人間が、まともに生きていけることなんてない

母さんは大学も出ていて、ちゃんとした勤め先で働いていた事もある人だから、俺よりもずっと理解していたのだろう

でも、その頃、既に母さんはもう体を動かせないほど弱っていた

医者にも見せたが、過労が祟ってとのことだった

休養を取って滋養をつけたほうがいい、なんて医者の口から語られたが、そんな余裕は俺達には有りはしない

けれど、これ以上、母さんに無理はさせられないと、学費も何もかも自分でどうにかすることにした

本当は高校にいけるほどの余裕も時間も有りはしないのだが、母さんの望みは出来る限り叶えたかったし、やはり高校を出られるのは就職の強みになる

就職さえ出来れば、母さんに楽をさせてあげられるはずだった

美味しいものを一杯食べさせてあげられるし

もう、暑い思いも寒い思いもさせなくて済む

安心して、毎日を穏やかにに生きていける

そう、思っていた

何も疑わず、心から、そう思っていた


でも


現実は、どこまでも俺達に冷たい


高校2年のある日

母さんが倒れた

夜、家に帰る時には雪が降り積もり、冷たい空気の中、吐く息で手を温める

そんな凍えるほど寒い冬の日だった

いつも通りに家に帰ったら、母さんが台所で倒れていて

俺は愕然としながらも、すぐに側に駆け寄り、その体を抱えた

その体が、とても弱々しく、恐ろしいほどの儚さを感じてしまったのを、よく覚えている

その時には、すでに目から涙がこぼれていた事を覚えている

「あ...たく、と...おかえり、すぐ、ごは...に...」

それが、母さんの最後の言葉になった

母さんは、俺に隠れて仕事をしていたようだった

少しでもと貯金をして、俺の大学に通う資金を作ろうとしていたらしかった

無理をして無理をして無理をして無理をして

俺のためにと無理をして...

毎日隠れて仕事をして

毎日疲れきるまで仕事をして

それでも、まるで俺に気づかせないように、笑顔を俺に向けてくれていて

自分のことなんて度返しにして

ただ、俺のためにと

俺なんかのためにと...

ただ、苦労して...

辛い思いばかりをして...

そして、最後は...あんなにも寒い冬の日に...死んでしまった

俺を、一人残して...







高校を辞めようと思った

もうわざわざ高校に通う意味はないと思ったからだ

それなら、さっさと仕事を始めていた方が幾分か楽だと思えた

今思えば、やや自暴自棄になっていたのかもしれない

でも、そんな俺を引き止めてくれたのが、サヤカ先生だった

あの頃、先生は他の教師達よりも若くずっと人気があり、みんなの憧れの的のような存在だった

その中で、俺はあんな日常をおくっていた分、よく先生に気にかけてもらっており、俺もご多分に漏れずやはり憧れていた

「高橋君。後、一年だけ頑張ってみない?」

先生はそう言った

それは、俺の事情を知った上での言葉だった

「今まで頑張ってきたのに、ここで辞めたらもったいないよ」

「お母さんだって、それを望んでいたんでしょう?」

「だったら、ここで投げ出しちゃダメだって」

「もしここで、逃げ出しちゃったら、後できっと後悔する」

「大学まで、とまでは言えないけど...せめて高校は出ておいた方がいいよ。絶対」

そんな、よくありそうな言葉だった

もちろん、俺だって、その意味が分からないわけではない

全部その通りだし、先生が正しいのも分かっている

けれど、とてもそんな強い気持ちを持てそうになかった

だから、辞めるのを変えるつもりはなく、そんな話など聞き流すつもりでいた

それなのに、先生の方が、よっぽど俺の話を聞かなかった

俺が何度辞めたいと言っても、先生はまるで聞く耳を持たず、その都度俺を諭そうと試みた

更には、本当に毎日俺に付きまとっては、俺に頑張るようにと言い続けた

何度、学費を払うのが大変なんだ、とか、どうせ勉強についていけない、とかいう言葉を言ったか分からない

にも関わらず、先生は高校を辞めないように言い続けた

周りの教師だって止めていたみたいだが、先生は俺に高校にいるように諭し続けた

もう最後は意地の張り合いになっていき

でも、先生は、俺よりもよほどに強情で

結果...遂には俺の方が根負けしてしまった

あの時の、先生の嬉しそうに、でも泣き出してしまった顔は忘れられない

俺のために泣いてくれた、その先生の顔は、とても忘れられそうになかった

Call (3)

「そんなこともあったね〜...」

店に入り、向かい合って座りながら話す

気づいた時は、お互いにビックリしていたが、昔の事を話しているうちに、今はもう普通に話せるようになっていた

自然に、二人の関係は教師と生徒になっていた

「あ、そういえば二人で食事するのも久しぶりね」

「そういやそうだな。金欠で食事もままならない時、よく奢ってもらってたっけ」

「そうそう。もう見るからに、高橋君元気ないんだもの。あの時ちょっと責任感じちゃったわ」

「なんだよそれ。先生が無理やり学校にいさせたんじゃないか。あの一年、かなり辛かったんだぜ?」

「それは、ごめんって...でも、絶対にその方が高橋君のためになると思ったのよ」

「そのおかげで、危うく栄養失調で死にかけるとこだったっつの」

「もう、ごめんなさいね。でも高橋君、たまに私にご飯をたかりに来てたでしょう?3年の時の担任じゃなくて、わざわざ私に」

「うっ。バレてた?」

「当然でしょう?私を何だと思ってんの?」

そんな風に、やや重たい内容ながらも、昔話に花を咲かせる

不思議と、遠い昔のことを懐かしく思えた

思い出すのが、一番辛い時期の話なのだが、そう感じてはいない

自分にも、昔を懐かしむ余裕くらいはあることが驚きだった

「ねぇ、少し訊いてもいいかな?」

話の途中、急に先生の口調がやや重くなった気がした

次の言葉が何なのか分かるつもりだ

「...いいよ」

だから、気にせず答えた

「その...怒らないでね?...今は、どうして?」

こんなことを?という言葉は続かない

でも、それは予想通りの言葉だった

「ほら、確か自動車の整備工場に勤めてたと思ったから...」

確かに、一時期は先生の言うとおりに勤めていた

でも...

「あそこは、辞めたよ」

正直に答える

どうせすぐに分かる事でもあるし、今の俺はこんなんだ

隠す意味もない

「...そう、なんだ」

余り驚いた様子はない

その理由を訊きたそうだったが、それ以上は踏み込んではこない

まぁ、仕事を辞める理由なんてわざわざ聞き出すことでもないとも思う

でも、それだって隠すようなことじゃない

「賭け事にボロ負けしてさ。借金しこたま抱えて、普通じゃ払え切れなくて、それでね」

「賭け事って、高橋君が?そんなの信じられないよ」

心底驚いているような顔だった

確かに、俺が賭け事なんて、昔では到底考え付かないだろう

「でもホントさ。毎日汚れて疲れて意味なくて。それで、一発逆転狙ってさ、でもあげくがこのザマだ」

自嘲気味に話す

似合いもしない黒のスーツに貴金属

適当に選んだブランド物の靴に、嫌いな香水

仕事はコールボーイ

なんて不相応な姿か

「あ、でもおかげで借金はもうないんだぜ?すごいよな水商売ってさ」

今では、本当に昔では考えられない金銭感覚をしていると思う

もう食事に困る事なんてないし、自分を着飾る余裕すらある

プレゼントもできるし、奢る事だってできる

何気に貯金だってそこそこある

何も不自由はない

昔みたいな、辛い日常はもうないのだ

「そう、なんだ...」

そう言って、うつむいてしまう

やっぱり訊くべきじゃなかった、とか思ってるのだろうか

そりゃ、教え子が水商売に走っているなんて思いたくもないだろうけど

「別に先生が気にしないでいいよ。これは自業自得だし、今はそれなりに生きているんだし」

「そう...」

先生の顔は冴えない

ずっと下を見たまま、俺と顔をあわせようとはしなかった

自分のせいなじゃないのか、とか色々考えてそうだ

この人は、いつもそんな風に抱え込むタイプだった気がする

おかげで空気が重い

これ以上は、話さないほうがいいか

「そろそろ出ようか?」

その問いに、ふっと気づいたように、先生は顔を上げる

その表情が少しこわばっているように見えた

俺はそれを気にせずに、ウェイターに指で×印を作ってチェックの合図を出した

「さっき言ったとおりに奢るよ」

「あ、でも、私...」

先生は財布から数枚のお札を出そうとしていた

「気にしないでくれ。昔のお礼だよ」

俺は先生を留めて、さっさとカードで支払いを済ませた

先生は、そんなやり取りを気まずそうに見つめていた






「駅まで送るよ」

「え?」

店を出ると、開口一番そう言った

先生は驚いているが気にしないことにする

「ほら、やっぱ教師と生徒はまずいでしょ」

「でも、それじゃ...高橋君が...」

「何を気にしてんだよ。俺はもう金に困ってなんかないんだ。一人二人相手にしなくても問題なんて無いんだよ」

本音だった

それに、俺としても、やはり気まずい部分があるのも確かだ

「...だけど、私」

言葉に詰まる先生

多分、先生も先生で、意を決して、ここに来たんだろう

意を決して、見知らぬ誰かに抱かれに来たのだろう

それが、何かに対する当てつけなのか何なのかは分からない

分からないが...

「止めたほうがいいよ。先生」

心からそう思った

「だって、旦那さんいるんだろ?なら、大事にしろって」

家庭ってのは、温かくあるべきだと思ったのだ

「ぁ...」

気づいてたの?と言わんばかりの驚きの表情

この人は、昔から顔に出やすい

まして、俺みたいに、人の顔色ばかり気にしているような奴からみれば、もうあからさまとさえ言える

「今日は、たまたま一人の問題児だった教え子に出会って、つい懐かしくって話し込んじゃった...そうしとけよ」

「............」

「住んでるのも、この辺じゃないんだろ?多分、誰にも見られてないさ」

「............」

「それに旦那さん。きっと家で待ってるって。先生を心配しながら、さ」

こんなとき、俺には気の利いた言葉は出てこない

そんなボキャブラリーはないことが恨めしく思う

それでも、自分が正しいと思える言葉を口にしたつもりだった

「...ぃわよ...」

「え?」

だけど、それは間違った言葉だったのかもしれない

その時の先生の顔を見て、なぜかそう思ってしまった

「...ないわよ。そんなこと」

「ないって、ああ、今日は旦那、仕事か?そうだよな。今時はどこも忙しいらしいし」

「違うわ...」

「...違う?」

自分で訊き返しておいて、既に何となく察してしまっている自分がいる

先生の表情とか、言葉づかいとか

今まで抱いてきた女の事とか色々と考えて

もう、とっくに気づいていて

俺の言った言葉は、単純に先生を遠ざけていただけではなかったか

「あの人、今日もどこかのホテルで...知らない誰かと...」

「だから、私...」

よくある話、だと思う

俺が相手をしてきた人の中にも、やはりそういう人が何人かいた

そんな狭い世界でも、俺は何度かそういう人と会ってきた

「今日は、そのつもりで来たの...」

何度か、そういった女達を抱いてきた

金を貰えるからと、抱いてきた

遠ざけることなく近づいていった

「だから、お願い...」

そう...

取れかかった仮面を、また張り付ければいいだけの話じゃないか

「私を、抱いて...」

ただ、それだけだ






先生を、優しく抱いた

努めて努めて、優しく抱いた

知りうる限りの優しいキスと、知りうる限りの優しい触れ方で抱き締め続けた

時折零れる喘ぎが、俺の心を締め付けた

締め付けられた心が、俺を先生に近づかせた

遠ざけていくべきだった先生を抱き寄せていた

途中、裸のままベッドの上で話をした

もう、教師は辞めていること

お見合いであったその人と結婚したこと

その人は悪い人ではなく、とても優しかったこと

けれど、子供はできなかったこと

どうやら旦那の方に問題があったらしいのだが、それが原因で気まずくなっていったこと

いつしか、旦那は先生以外の人との時間が増えていったこと

そんな...苦しい話をした

俺の腕の中で、先生はそんな話を俺に聞かせた

誰かに聞いて貰いたかった話を、聞かされた

もしかしたら俺は、そんな彼女の話を聞きたかったのかもしれない

だから、近づいてしまったのかもしれない

その話の後...俺は、彼女を強く激しく求めていることに気づいた

求める事に際限がなくなっていくことに気づいていた

仮面なんて、張り付きやしなかった

Call (4)

サヤカを抱いて、3ヶ月が過ぎた

季節が秋から冬に変わろうとしていた

その間も、一週間から二週間のうち一度、サヤカを抱いていた

あの晩で終わると思っていた関係は、今も続いている

お互いの呼び方も名前に変わり、サヤカは俺の上客となっていた

それに、最近特に思うのだが、今のサヤカには、どこか色気が漂ってきている

化粧はやや濃いものとなり、服装もそれに合わせている

いや、そんなことよりも立ち振る舞いに自信が表れていて、どこか堂々としていた

もう所帯じみた印象はなく、誰から見ても綺麗だと感じられるようになっていると思う

特に、待ち合わせの場所で、俺を見つけたときの最初の表情が、とても可愛らしく思えた

そんな、昔とは、また違う魅力に溢れていた

これは、嬉しいと思うべきだろうか

正直、今は分からない

ただ、サヤカと会える時は、どうしようもなく心が弾んでいることに気づいていた

サヤカと会う時は、普通に街中をデートすることもあれば、飽きるまで体を求め合う事もある

少ない時間ながら、二人の時を積み重ねていった

けれど、時間のある時は、もはや規定の時間など関係なく、サヤカに会える日は、次の日の朝まで彼女を求め続けていた

あの頃、感じていた憧れがそうさせているのかもしれない

けれど、それ以上の別の想いが生まれてきていることを否定できなかった

抱いてはいけない感情であると分かりつつも、想いが募っていった

これは...不倫になるのだろうか

ただの、金だけの関係なのだろうか







その日は雨だった

冬の、冷たい雨が降っていた

そんな中を...サヤカが一人、歩いていたのを見つけたのだ

彼女は、傘も差さずに、雨に打たれながらトボトボと歩いていた

行き交う人達は、訝しげにその姿を眺めては、でもすぐに、まるで最初から気にとめなかったかのように通り過ぎていく

そこは俺とサヤカが出会った歓楽街

サヤカを見た瞬間、俺は察した

その時、俺は別の客の相手をしていたが、でも、そんなサヤカの姿を見てしまっては、もうどうにもできなかった

俺は、その客に丁寧に詫びをいれて、その場を離れる

恐らく、この客は、もう俺のことを呼ぶ事はないだろう

もしかすると、後で上から何か言われるかもしれない

それでも、俺はサヤカの側に駆け寄りたかった

彼女の側に、いてやりたかった

「サヤカっ!」

雨の中を叫ぶ

でも、雑踏に阻まれて、声は掻き消えてしまう

雨の冷たさが、顔や手を冷やしていく

冷たい

それに、傘なんて意味がないほどに、俺の黒のスーツは濡れていった

「サヤカっ!!」

人ごみが邪魔だった

掻き分けても掻き分けても、別の誰かが邪魔をする

しかも、差していた傘が、誰かにはじかれて落ちてしまう

知るかっ

俺は、彼女の側に行きたいんだ

彼女の側にいたいだけなんだよっ

「サヤカっっ!!!」

そして、ようやく、俺は彼女の側に辿り付いた

「ぁ...タクト...」

俺を見て、呆然とした様子のサヤカ

「はぁ...はぁ...サヤカ...はぁぁ...」

一方の俺は、どうにも息が切れてしまっていた

くそっ運動不足だ

なんて、だらしない

「タクト...」

じわ...

「...ぁ」

俺を見た瞬間、彼女の目に涙が溢れていた

彼女の手に握られた携帯が、力なく地面に落ちて、小さな波紋を作る

「タクト...タクトぉ...」

でも、顔には笑みが漏れており、どこかホッとしたように見えた

それだけで、俺はもう耐えられなくなっていた

気づけば、何も言わず彼女を自分の胸元に引き寄せ

その華奢な体を、強く強く、抱き締めていた

冷たい雨も、人からの視線も気にすることなく、サヤカの体を抱き締め続けていた






「ほら、コーヒー」

マグカップを渡す

その白みがかった茶色の表面が、くるくると円を描きながら回っていた

「ありがとう...」

サヤカは、それを両手で受け取る

その瞬間、彼女の濡れた髪の毛から、一粒の水がはねた

サヤカはそれに気づくことなく、カップにしずしずと口を寄せる

「あちっ...」

コーヒーの熱さに思わず片目を閉じる彼女

そんな姿を見て、つい苦笑してしまう

「やっぱりまだ、猫舌なんだな」

「う゛...そうよ。悪い?」

「いや?別に」

ただ、何となくおかしくて、何となく懐かしい気分になっただけだ

昔、飯を奢ってもらった時の事を思い出しただけだ

あの後、俺はタクシーをつかまえて、サヤカを自分の家に連れ込んだ

家につくと、すぐに彼女にシャワーを浴びさせ、俺は彼女の服を用意する

さすがに、女物の服なんて持ち合わせていないので、結局、ジーンズとシャツとトレーナーを用意した

なんだか、恰好がつかないと思う

いっそ、男物のワイシャツとかの方が色気が出ただろうか、なんてことも思ってしまうが止めておいた

それこそ、歯止めが利かなくなってしまうかもしれない

すでに、サヤカの表情や仕草、何でもないことにすら感情が揺れ動いているのだし

ちなみに、サヤカが着替える時は、部屋の外に出た

彼女は「今更気を遣わなくてもいいのに」と言ったが、なかなかどうしてそういう風に思えない自分がいた

意外とウブらしい自分に笑ってしまった

「でも、ほんのちょっと意外だったかな。タクトがこんなとこに住んでるなんて」

ベッドの上に座りながら、サヤカは辺りを見回してそう言う

「おい、そんなにジロジロ見んなよ。恥ずかしいだろう?」

俺は、少し離れた場所に座り、そんな彼女を制す

つい、自分も見渡してしまうが、別になんてことない部屋だ

3点のユニットバス

カーペット直の7帖の部屋

都心からは場所が離れている分、家賃は安め

特に、目新しいものはなく、ベッドとテレビと衣装ケースだけの部屋

何も特質したものはない

ないのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい

「へぇ、こんなことで恥ずかしがるのね。いつものタクトから見ればそれも意外かしらね」

フフッっと微笑むサヤカ

無意識になのだろうが、その口元に寄せた手が微笑ましい

どうやら、気持ちは落ち着いているようだった

タクシーの中じゃ黙りっぱなしだった分、余計に安心してしまう

「...うるせぇよ」

だから、軽口を叩いた

案外、もう大丈夫なのかもしれない

そう思った

でも、それは一瞬のことで

「...今日は、ごめんね」

彼女はすぐに、その表情は暗くなり、その言葉が重くなった

「あ?ああ...気にしないでいいよ」

俺は逆に、その変化に戸惑ってしまう

一瞬、サヤカを分かった気になっていたことが情けなく思えた

「...何が、あったの?」

だから、尋ねた

せめてものと思い、尋ねた

答えてくれないかもしれないことが怖かったけれど、聞きたかったのだ

「聞いて、くれるのかな?」

「...ああ」

迷うことなく答える

それに、彼女が話してくれることが純粋に嬉しかった

だから、どんなことでも受け止めようと思った

「ありがとう」

小さめのお礼の言葉

彼女は一口だけ、コーヒーを飲み

しばらくしてから

そっと...

話し始めた

Call (5)

「今日ね、あの人と別れてきたの」

「え?」

いきなりビックリしてしまった

「もうね。随分前から考えてたのよ。私達、もうダメなんだろうなぁ、って」

「...ううん、もしかしたらやっぱり最初からダメだったのかもしれないのだけど、それでも、私、頑張ってきた」

「あの人に愛されるために、幾つも努力して、頑張って、とにかく良い妻であろうとしてきた」

「近所の人達には、おしどり夫婦みたいに見られるように」

「会社の人達からは、良い奥さんだって言われるように」

「お母様には、非の打ち所のない嫁だと思っていただけるように」

「とにかくずっとずっと、私にできる事を頑張ってきた」

「頑張って頑張って、誰が見ても良い妻であるようにって」

「それで何とか、近所の人達からも会社の人達からも、お母様からだって、良い妻良い嫁だって思われるようになった」

「ほとんどの人達が認めてくれるくらい、私、頑張った」

「大変だったけど、頑張ってこれた」

「だって、私、あの人に愛されたかったから」

「けどね?結婚して5年間、私、あの人に、そんな言葉すら言われた事がない」

「ただの一度も、あの人に愛された事なかったの」

「だけど聞けない。どうして私を愛してくれないの?なんて...どうして私を見てくれないの?なんて聞けない」

「だって、怖いもの...全部お前のせいだろ?って言われるのとっても怖いもの」

「...でも、私理由は分かってる。知ってる。それが私達には子供ができないから、なんだって...」

「あの人、子供が好きだった」

「いつか、子供と野球ならわせたいんだ、とか...女の子なら可愛い子がいいなぁ、なんていつもいつも...」

「でも、私達には全然子供ができなくて」

「いつしかSEXすらなくなって」

「産婦人科の先生からは、私には問題ないって言われた。問題があるとすれば旦那さんかもしれません、って言われた」

「でも、あの人は、そんなの聞かないし、信じない」

「変にプライド高いから、病院に行ってみて、って言っても、あの人まるで行こうとしなかった」

「しかも、私がそう言ったことで、あの人拗ねて、怒って、それで、他の人と...」

「あの人ね?すごく分かりやすいようにしてたのよ?」

「ご丁寧に携帯の画面に別の人の写真貼り付けてるんだもの。私笑っちゃった」

「...耐えられなかった」

「...でも私それ見つけて、救われたの。ホント安心したのよ」

「もちろん許せないけど、それでも私、良かったって思っちゃった...」

「だって、これでもう、私、頑張らなくてもいいんだって、思えたから...」

「もう結果なんて着いてこなくて...もう決して、あの人に愛される事なんてないんだから、もういくら頑張っても無駄なんだからって...」

「それが分かって、自暴自棄になってたのかな?」

「インターネットであなたみたいな人のこと知って、それで電話かけて」

「すごく勇気がいったし、すごく怖かったけど、でも久しぶりに心臓がドキドキしてた」

「それで、随分着てなかった昔の服を着て」

「それが最近の服より派手なことに笑って」

「丁寧に、でも映えるようにお化粧をして」

「ボサボサだった髪を整えて」

「アクセサリーなんて付けてみちゃって」

「それで、全部終わって鏡見たら、自分の姿があんまりに滑稽で、似合ってなくて」

「だけど、昔に戻ったような気がして、教師やってた頃とか、大学生の頃、思い出しちゃって」

「それで、待ち合わせの場所に向かって」

「電車乗ってる間とか、道を歩いてるときとか...恥ずかしかったな」

「人の目が気になりすぎて。私変じゃないのかなって、どこかおかしいところないかなって」

「それに、誰かに見られたらどうしよう。あの人に見つかったらどうしようって」

「でも、それでもいいか、なんて思って」

「それで、待ち合わせの場所で、タバコ吸ってるあなたのこと見つけて」

「高橋君の姿、見つけて」

「少しギョッとして」

「最初は人違いだよねって思って話し掛けたんだけど、話してみたらやっぱりそうで」

「どうしようって思って」

「ホントは、逃げ出しちゃおうかなって思ったんだけど」

「何だか、それ以上に懐かしくなっちゃって...話してると楽しくて」

「でも、私が頑張らせて高校に残らせたキミは、会社辞めてて、それどころか水商売なんてやってて」

「全然大丈夫って風に話してたけど、どこか辛そうに見えて」

「...ごめんね?私、そんなあなた見て、安心してたの」

「あ、高橋君も私と一緒なんだな、って」

「この子にも、大変で辛くて、いくら頑張っても報われないことがあるんだなって」

「私、そんなこと、思ってたの」

「...ごめんなさい...私を軽蔑していいのよ?ううん、殴りつけたって構わないの」

「でもね、そんなこと思いつつも、私同時に、あなたのこと、助けたい...って、思ったの。本気でそう、思ったのよ」

「もしかしたら、何か希望にすがる思いだったのかもしれないけど...そう、思ったの」

「そしたら、あなた優しいんだもの...私を優しく抱いてくれて、話を聞いてくれて、それで強く抱き締めてくれて...」

「助けるつもりが、逆に、頼りたくなっちゃった」

「頼りたくなって、すがりたくなって」

「あなたに抱き締めてもらえるのが、嬉しくなっちゃってた」

「ごめんね?私みたいなオバサンを相手にさせて」

「今日もね?本当は、あの場所に行くつもりなんてなかったの」

「けど、気づけば会いに行ってて、会いたくなってて」

「もしかしたら会えるかな、って」

「私を見つけてくれるかなって?」

「そしたら、ホントに来てくれて」

「本当に私のこと見つけてくれて」

「嬉しくて...」

「私、辛かったの」

「すごく、辛かったのよ」

「今日、あの人に言われて...」

「お前となんて、結婚するんじゃなかった、って、言われ、て」

「子供も作れない、お前となんて、一緒になりたくなかった、なんて、言われて」

「あいつの方がよっぽどいい、なんて比較されて」

「何でもないような風に、でも、すごく蔑まれてる風、に、言われて」

「それで...飛び出してきて」

「もう、耐えられなくて...」

「雨が冷たくて」

「指先が凍えて」

「目からは涙が零れてきて」

「人からの視線が痛くて」

「ネオンがまぶしくて」

「自分がどうしようもなく惨めに思えて」

「もう、辛すぎて」

「でも、そこに、タクトが来てくれた」

「こんな私を、抱き締めてくれた」

「強く、抱き締めてくれた」

「優しく抱き締めてくれた」

「...ごめんね?」

「本当に...ごめんなさい」

「ごめんなさい...タクト...」

そう、言って

サヤカは笑った

泣きそうな顔で笑った

涙を零しながら、笑って

笑いながら、俺に、ごめん、なんて

そう、言って...

辛そうに、そう、言って

なのに

なのに俺は

一つの言葉も

出せずにいた

こんな時、俺は、言葉が出ない

言葉が思いつかない

気の利いた言葉が出せるほどのボキャブラリーがない

彼女に、何も言ってあげられない

本当は、サヤカの話の間にも、何かを言ってあげたかった

彼女に優しい言葉を言ってあげたかった

でも、何も言葉が出てこず、ただ、黙っているだけしかできなくて

何も、言えなくて

何も、癒せなくて

だから

「ぁ...」

だから、抱き締める事しかできなかった

優しく、その華奢な体を抱き締める事しかできなかった

それしかできない自分が嫌だった

そんな無力な自分が、嫌いになった

涙を流してしまう自分が、悔しかった

背中にまわされた彼女の手が、ひんやりとして、痛かった

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