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子育て本

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  「うちの子もいじめられました」 
   鈴木真治 
  (2018年、WAVE出版、1500円)

  <「いじめ不登校」 から 「脱出」 まで150日間の記録> と副題がついています。
  
  著者の息子は、小学校3年に進級してまもなく、クラスでのいじめをうったえて登校を
  渋るようになります。
始めはおどろき動揺する両親ですが、その後の対応はじつにすばやい。

*まず、すぐに担任や校長と会って事情を訊き、いじめを主導する4人の児童を割り出します。
*4人の児童が親と共に謝罪に来るよう、学校を通じて要求します。
*謝罪に来た3組の親子に 「もういじめないこと」 を約束させます。
*現れなかった児童の家庭にはこちらから出向きます。

学校側に対しても、アレコレ要求して一歩も引きません。
学校も、いやに低姿勢に、この両親のまえにひざまづくのですが、
それもそのはず、このお父さん、テレビ局勤務のジャーナリストなのです。
(学校は、マスコミに叩かれるのが何より怖いですからね。)

とにかくすごい! 胸のすく対応です。
このお父さん、 「がまん」 「持久」 などの日和見戦術はいっさい採りません。
子どもを守るため、終始、果敢に闘います。

しかし...、親がいくら勇猛に闘っても、問題はかんたんには解決しません。
子どもが、いじめに傷ついて不登校になってしまうのです。

苦悩する両親...。
幼い息子の苦しみに、日々直面しなければいけない親の気持ちは、察してあまりあります。
だって、子を持つ親にとって
『いちばんうれしいのは、わが子が幸せであること』、
『いちばんつらいのは、わが子が不幸であること』 なのですから。

著者夫婦に感情移入し、ひじょうに身につまされて読みました。
  「母、ぐれちゃった。 発達障害の息子と娘を育てた16年」 あじろふみこ
  (2017年、中央公論新社、1500円)

  「子育て苦闘もの」 は好きなジャンルです。
  わたし自身も、少しばかり、苦闘の子育てを経験しているので。

  この本は、ふたりの発達障害児を育てたお母さんが書いています。
長男は中程度の自閉症。 (特別支援学校に通っているけれど、知的障害はない。)
長女はADHD (注意欠陥・多動) とLD (学習障害)。

さて、読んでいるうちに、ムクムクと疑念が湧いてきました。
「これって、ほんとのことかな?」、 「この家族って実在するのかな?」

だって、このお母さん、タフすぎるのです、カッコ良すぎるのです。
どうも夫も発達障害っぽく (アスペルガー)、 人間関係能力・問題解決能力が著しく低い。
子育てへの協力や共感は、ほとんど期待できない夫です。

そんななか、自閉症赤ちゃん特有の、
*ほとんど眠らない *身体接触をいやがってエビぞりになる *パニックを起こして奇声を発する
息子をかかえて、孤軍奮闘する若いお母さん。

がんばる、がんばる、とにかくがんばる。
しなやかに、たおやかに、そして信じられないほど強靱に。

これって、発達障害専門家が書いた啓蒙書かもしれません。
架空の家族をつかって、読者につぎのメッセージを伝えるための。
①乳児期・幼児期のムチャクチャな育てにくさは、適切な対応により、成長とともに軽減しますよ
②支援の手は周囲にかならずありますよ、さがしてみてください

いままさに、大苦闘のまっただ中にある母親に、モリモリの勇気を届ける本だと思いました。
  「わが子の発達障害告知を受けた、父親への『引継書』。」 白山宮市
  (2017年、ぶどう社、1600円)

  企業など、組織ではたらくひとは、
  異動や転退職の際、自分の業務内容を後任者に引き継ぐ必要があります。
  このとき作成する文書のことを 『(業務)引継書』 と呼ぶのですが、
著者の白山さん、この比喩をうまく使って、この本を書いています。

「わが子が発達障害告知を受けた父親」 の先輩として、あとにつづく後輩 (後任者) たちに、
業務 (?) のノウハウを伝えていくのです。

こんなスタンスの本ですから、
いたずらに悲嘆に暮れることのない、テキパキとした文章がカッコイイです。
たとえば...。
<「運」 に命じられて、 「発達障害児育児プロジェクトマネージャー」 を拝命したと考えることで,...会社業務との類推で対処しやすくなります。...課題解決に必要なリソースを、①人、②モノ、③情報、④お金、に分解し、次に、障害告知の前後でどのように変えることが必要かを考えます。...>

冷静でタフなこういう父親がいたら、その家庭はどんなに心強いことでしょう。

もちろん、告知 (自閉症) 当初は、このお父さんだって、つらくてへたばっていたのです。
つよい 「落ちぶれ感」 を味わったし、孤独で不安で...。
でも、かれはすぐに自分を取りもどし、やるべきことをリストアップして対処していきます。

会社に事情を伝えることも、やることリストのひとつでした。
これ、勤め人として、つらかったろうなあ。
「子供に障害があってその対応に力を取られるので、会社業務はこれまでのようにはできません」 と言うのは。
(出世レースからの棄権宣言です。)

良い本でした。
世の中にはいろいろな種類の苦難があって、
ひとはそれぞれの苦難に向き合い対処しながら、がんばって生きているんだなあ、
と、いまさらのように、しみじみと思ったことでした。

  「母親やめてもいいですか」 文:山口かこ 絵:にしかわたく 
  (2013年、かもがわ出版、1400円)

  コミック (=漫画) エッセイです。
  <娘が発達障害と診断されて...> と副題がついています。
  発達障害にもいろいろありますが、著者山口さんの場合、
  ひとり娘のたからちゃんは、自閉症です。 (あまり重度ではない。)

不妊の不安を乗りこえて、やっとやっとさずかったわが子!
うれし楽しで、前のめりになって子育てに取り組む山口さん。
しかし...、しかし...、赤ちゃんの世話って、こんなに大変なものなの...?

*一日中泣いている (どんなことをしても泣きやまない)
*たまに機嫌がよくても、ちょっとしたことで大パニックを起こして阿鼻叫喚
*抱くと、いやがって、からだをエビぞりにする
*夜もよく寝ない

育児に疲れ果ててしまう山口さんですが、
2歳のころに 「自閉症らしい?」 の診断がくだると、そのままずるずると落ちこんで...。
けっきょく、母親をやめることになり...。

山口さん、つらかったろうなあ、苦しかったろうなあ。
育児に苦闘する母親には、つねに、全面感情移入してしまうわたしです。

さてここで、ある本のことを思い出して、ああなるほど! の気づきがありました。
「数字と躍るエリ」 (矢幡洋) という本です。
(軽度) 自閉症のひとり娘エリをかかえた臨床心理士の父親が、
娘の小学校生活をささえるため、ありとあらゆる努力をする内容です。

お母さんの影がうすいなあ、お母さん何してるの? と思って読んでいたけれど、
お母さんは赤ちゃん期・幼児期の子育てで 「燃え尽きてしまった」 んだなあと、いまわかりました。

矢幡家では、ダウンしたお母さんのリレーバトンをお父さんがしっかり受け取ったけど、
山口家も、そうなっていくといいなあ、と思いながらページを閉じたことでした。
 
  「障害児3兄弟と父さんと母さんの幸せな20年」 佐々木志穗美
   (2014年、角川文庫、480円)

  著者 佐々木さんは、3人の子供を持つお母さんです。
  3人とも、障害をもって生まれています。
  長男: 最重度の心身障害
  二男: 知的障害をともなわない自閉症
  三男: 知的障害をともなう自閉症 

長男は、重症すぎて家庭での養育はムリなので、ごく幼時から、障害者施設に入所します。
二男と三男は家庭で育てますが、その子育てはまさに 『苦闘』 です。

これほどの苦難を、果敢かつしなやかに生き抜いた (生き抜いている) 佐々木さん。
きっと、しあわせな家庭に生まれ育って、
しあわせな結婚をして、
基本的に、自信と安心に満ちあふれたたひとなんだろうなあ、と思います,。
そのことが、苦難にあっても倒れない、つよさの原動力なのでしょう。

苦しい闘病をするひと、また、闘病に限らず苦しい状況で奮闘するひとを、
わたしはひそかに 『冒険家』 と名づけているのですが、
佐々木さんは、大野更紗さん (「困ってるひと」)、  米本さんご一家 (「みぞれふる空」)、
などとならぶ、第一級の冒険家だと思います。

佐々木さん、
これからも、ご苦労がつづくでしょうが、どうかご自愛くださるように。

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