「シエラレオネの真実」 アミナッタ・フォルナ(2018年、亜紀書房、2400円) シエラレオネは、ダイヤモンドの産出で名高いアフリカ西部の小国ですが、
長い内戦のさなか、一般市民が残虐行為の犠牲になったことでも知られています。 恐怖を植えつけるだけの目的で、革命軍が、ひとびとの腕や脚を切断したのです。 新聞報道でこの事実を知ったときの衝撃!
それ以来、シエラレオネという言葉を聞くと、平静ではいられなくなりました。 なので、この本が新聞書評欄で紹介されたとき、すぐに、読むことを決めました。
恐怖のヴェールにつつまれた暗黒の内戦を、ぜひ明快に解き明かしてほしいと思ったのです。 ところが...。
その期待はかなえられませんでした。 文章に魅力がなく、読み進めることができなかったのです。 語るべき主題を持ちながら、語る技倆がともなっていない。
前記事の三澤慶子さんとは大違いです。 (「夫が脳で倒れたら」) 前半3分の1くらいまではふつうに読み、つぎの3分の1で斜め読み・飛ばし読みに切り替え、
その辺で力尽きて、残り3分の1はあきらめました。 ちなみにこの本は小説です。
著者の父親は、シエラレオネ政府で財務大臣をつとめたあと、逮捕されて死刑になります。 父の死と、その後の自分の人生を描いた、自伝的物語です。 題材的に気になるので取りあげましたが、 <オススメではないけれど> の書庫に収納します。
|
オススメではないけれど
[ リスト | 詳細 ]
|
(2019年、文藝春秋、2300円) 韓国発のミステリ小説です。
一人称主人公 「私」 は、20代後半の女性。
年の離れた妹がいますが、家庭の事情で、もう10年近く会っていません。 (母親の死後、妹は父と、 「私」 は母方の祖父母と暮らすことになったのです。) そんなある日、 「私」 は刑事の訪問を受け、妹が失踪中であることを告げられます。
さらに、妹 (高校生) に、同級生殺害の容疑がかけられていることも。 いったい妹に何が?
この10年、妹にまったく関わってこなかった自分に罪悪感をおぼえる 「私」 は、 妹失踪の謎を追い始めます。 意外な事実がつぎつぎに明らかになり...。
まさかと思う人物が、謎のカギをにぎっていて...。 ウーム...。
「読ませる」 ちからは、無いことはない。 少なくとも、途中脱落なしに、最後までページを繰りましたから。 でも、読後の感想は 「オ・ソ・マ・ツ」 のひとこと。
ストーリーがどんどん破綻して整合性がなくなるし、最後はハチャメチャ。 人物描写もうすっぺらです。 この程度のミステリをわざわざ翻訳紹介するって、どういうことかな。
韓国ミステリがめずらしいから、話題性を狙ったのかな。 ...いろいろ考えてしまいました。 |
「小保方晴子日記」 小保方晴子
(2018年、中央公論新社、1500円)
小保方さんです。
あの小保方さんです。 STAP細胞の小保方さんです。 どんな内容だろう?
恐いもの見たさのような気持ちで、読み始めました。 .ああやっぱり。 予想どおりの本でした。
日記は、騒動直後の2014年から始まっていますが、そのころの文章には、
「つらい、苦しい、どうしていいかわからない、ひとに会うのが怖い、いっそこの世から消えたい...」 といった心情吐露が、延々とつづきます。 前記事の 「たそがれてゆく子さん」 どころではない 『自分フォーカス本』 なので、途中からふつうには読んでいられなくなり、飛ばし読みに変えました。
*早稲田大学から学位を取り消されたこと (悔しくてならない)
*講談社から手記を出版したこと (売れ行きがよくてうれしい) *瀬戸内寂聴に会ってなぐさめられたこと (ありがたい) *小説を書こうと思っていること などが、ダラダラと語られます。 ハッキリ言ってつまらない本でした。
数年まえ講談社から出た手記 「あの日」 のほうが、数倍良い本 (少なくとも内容のある本) でした。
STAP細胞騒動の一部始終を、小保方さん目線で率直に記していました。 100万部超えのベストセラー? と思わせて、すぐにフィーバーダウンしてしまったあの本。
どこかから出版社に圧力がかかったのでしょうか? W教授が、名誉毀損で訴えると息巻いたのでしょうか? 謎です。
(あの本がしっかり売れていたら、いまごろこんなショボい本を出すこともなかったのに。)
|
「たそがれてゆく子さん」 伊藤比呂美
(2018年、中央公論新社、1400円)
好きな作家だからと、つい油断して、
読まないことにしているジャンルの本を読んでしまいました。 どんなジャンルかというと、 「自分のことを語る本」 というジャンルです。
遠いアメリカの地で老いを迎えている日常 (身辺雑記) を、アレコレと書きつづっています。
*夫を亡くしたあと、娘と同居することになった...
*うちで飼っている犬は... *好きなTV番組は... *フェイシャルエステに行ってみたら... ウーム...。
こういう感じのものはあまり読みたくないわたしです。 もっと言うと、書いてほしくもない。 (好きな作家だと 「好き度」 が下がります。) 今回の本のような、 「とりとめのない自分語り」 は好きになれません。
ただ、それなら読まなけりゃいいだけの話なので、読んで文句を言うのは筋違いかもしれませんね。 |
「ののはな通信」 三浦しをん
(2018年、角川書店、1600円)
ふたりの仲良し女子高校生が登場します。
野々原茜 (のの) と牧田はな (はな) です。 ふたりは学校で会うだけでは足りず、電話したり手紙を書いたりと、話したいことが無限にあります。
やがてふたりは、自分たちの関係が 「友情」 でなく 「恋愛」 だということに気づきます。
いっきに高まる恋の熱ですが、ある事件をきっかけに、この恋は短期間で破局をむかえます。 大学時代に再会を果たして、 「恋人」 でなく 「親友」 にもどるふたり。
その後、 「はな」 の結婚をきっかけに、長いブランクがありますが、
ふたりの 「友情」 (やっぱり 「恋愛」?) は20年ぶりに再び復活し...。 何とも壮大な恋愛小説でした。
いくつもの書評で称賛されていたし、 「よく書けている」 感はたしかに伝わってきたのですが、 わたし的にはあまり楽しめませんでした。
女性同士の恋愛に対する違和感、とかではありません。 小説としての好みの問題です。
ストレートすぎるというか...。 姫野カオルコに、同じ趣向の小説 「終業式」 があり、
そちらの方の、抑制の効いた書き方のほうが、わたしは好みです。 (同じ趣向というのは <全編が手紙文やメール文だけで成り立っている> ことを指します。) |
「シエラレオネの真実」 アミナッタ・フォルナ
「小保方晴子日記」
「たそがれてゆく子さん」
「ののはな通信」 



