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太平洋戦争

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  「虜人日記」 小松真一 (2004年、ちくま学芸文庫、1300円) *初出版は1975年

  20年ほど前、太平洋戦争関係の本を、夢中で読んだ時期がありました。
  あの戦争についてじつは何も知らないことに、とつぜん気づいたのです。
  知りたい、知りたい、とにかく知りたい。
  とくに、名もない兵士たちの戦争を知りたい。

そのころこの本のことを知って、とても読みたかったけれど、入手できませんでした。
最近、新聞書評で、この題名にめぐりあってびっくり。
絶版になっていたわけではないんだ、新たに文庫化されていたんだ。

著者小松氏は、1944年2月、33歳で、フィリピンに派遣されます。
兵士としてでなく軍属 (化学技術者) として。
1945年9月に投降して捕虜となり、1946年12月に、解放されて帰国します。

筆が立ち絵心もある小松氏は、捕虜収容所のなかで、
3年ちかくにおよぶフィリピン体験を、9冊のノートに、イラスト入りで記録します。

ノートは、その後何十年も、小松家物置の中に放置されますが、
小松氏の死後 (1975年)、 遺族がノートを発見して、自費出版。
それがたまたま、山本七平を始めとする文壇・出版関係者の目にとまり、
翌年、筑摩書房から出版されて、その年の毎日出版文化賞を受賞。
...というような経緯をたどってきた本です。

敗戦間近のフィリピン駐留日本軍のようす、
いよいよ敵に追いつめられて、密林を敗走するようす、
終戦を知ったときの、周囲の兵士たちのようす、
捕虜収容所での日々のようす、

などが、まったく歯に衣をきせぬかたちで、率直に (ときに辛らつに) 記録されています。
たいへん興味深い本です。 オススメです。

<ひとまずおしまい>

◎<ひとまずおしまい>

太平洋戦争の関連本を、長々とご紹介してきました。
うんざりなさったでしょうか。

これらの本を、わたしは、20年もまえに読んだのですが、
どの本も、図書館ではまだ現役です。
ぜひ、さがしてお読みになってみてください。

さて、小説では、以前 <国内小説> の書庫でご紹介ずみの、 「真空地帯」 (野間宏) も、
軍隊内部をえがいて、たいへんなオススメ本です。 → 2006年12月
あわせてどうぞ。

◎「レイテ戦記」−−−大岡昇平 (1971年発表)

文学史上に名を残す、高名な作家 大岡昇平は、35歳で召集され、フィリピン戦線でたたかいました。

戦後26年、かれは、太平洋戦争最大の激戦地のひとつ、レイテ島の戦い について、
克明な記録をのこしました。 (膨大な資料を読み解いての、たいへんな力作です。)
内容はノンフィクションなのですが、大岡自身は、あえて、小説として発表しています。

レイテ湾を強力援護するはずだった、戦艦大和の、ナゾの退却。
その結果、まるはだかで敵軍の攻撃にさらされた、レイテ島の日本軍。
全軍ほぼ全滅 (8万4千人中、7万9千人が戦死) という、激烈な戦闘。


大岡は、この作品で、イデオロギーを完全に排除しています。
侵略戦争うんぬん、などということばは、どこにも登場しません。 

戦争そのものは、否定も肯定もされず、
ただひたすら描かれるのは、兵士たちの、勇気と滅私と自己犠牲 です。

文字通り、最後の一兵となるまで、勇猛果敢にたたかう兵士たちを、大岡は、称えてやみません。
よくたたかって、よく死んでいった多くの兵士たち。

かれらに対する、大岡の、哀惜と鎮魂の思い が、読むもののこころに染みとおります。

戦後、太平洋戦争が侵略戦争と定義され、戦死者がまるで犬死にのように語られていたとき、
大岡が、このような作品を、このようなスタンスで、発表せずにいられなかった気持ち。
...わかるような気がします。

日にち、時刻、地点、人名など、記述が克明すぎて、かなり読みにくいことはたしかですが、
ななめ読み、とばし読みなどのテクニックで、何とか切り抜けられます。 ぜひ、読んでみてください。

◎「神聖喜劇」(一)〜(五) −−−大西巨人 (1975年発表、 光文社文庫−2002年)

怪作です。 驚きます。

1942年に応召した24歳の東堂太郎 (著者の分身) は、対馬要塞 重砲兵連隊に配属されます。
この小説は、連隊内での3ヶ月におよぶ教育訓練期間をえがいたものです。

さて、東堂は、どことなく 「ヤマザキ、天皇を撃て!」 の奥崎謙三を思わせる人物です。
奥崎は、<ぶち切れパワー> で周囲を悩ませましたが、
東堂の武器は、<頑固な理屈っぽさ> です。

たとえば、上官から理不尽な暴力をふるわれたとする。
あやまってしまえばすむところを、東堂は言わずにいられません、
『上官どの、軍隊で、このような私的制裁は許されるのでありますか』 と。


怒りで青黒くなった上官に、死ぬほどボコボコにされる東堂。
それでもかれは言いつづけます、 『こんなことは間違っているので、司令部に届け出ます』 と。

やがて、『あんな面倒くさい男とは関わらないでおこう』 という上官がふえてきて...。

東堂は、キャラが濃く、かなりヘンテコな人間です。
言動もヘンテコですが、考えることもヘンテコ。
軍隊について、戦争について、自己について、かれは小説中で膨大な考えごとをします。

その、とりとめもない思索につき合わされる読者こそ、いい迷惑です。 読みにくいったらありません。

ユーモラスで、不思議な魅力を持った本ではありますが、読みすすむのに、かなり苦労します。
数年前漫画化され、各種漫画賞を受賞 したようなので、そちらで読むのもいいかもしれません。

◎「ポロポロ」−−−田中小実昌 (1979年、中央公論社)

小説と言っても、自身の体験にもとづいているので、ノンフィクションとあまり変わらないのですが...。

著者は、1944年12月末に召集され、ただちに中国戦線におくられます。
戦況逼迫で、20歳以上という徴兵年齢が、1年繰り下げられたため、19歳での入隊でした。

南京について、そこから、長い長い行軍が始まります。
初年兵たちは、絶対に失くすなと言われて、非常に重い岩塩のかたまりを手渡されます。
リュックに入れると、立っているだけで、うしろにのけぞってしまいそうな重さです。

このリュックをしょっての、1日20〜40kmという行軍。
ろくな基礎訓練もうけていない初年兵たちは、バタバタと倒れ、
なかには命を落とす者も...。


何ヶ月におよぶ苦しい行軍が終わって、やっと目的地にたどりついたとき、
そこの指揮官たちは、『何のためにこんなものを運んできたのか?』 と首をかしげながら、
岩塩を全部捨ててしまいます...。

...というようなエピソードが、淡々としたユーモア とともに語られます。
『オイオイ、こんなとぼけた書き方でいいのか』 と思わず突っ込みたくなるくらいです。

高校生に毛が生えたような19歳の若者が、終戦までの8ヶ月間に、中国で体験したこと。
それらが、短編集のようなていさいで、さらりと、あくまでさらりと描かれます。

抑制の利いた書き方が、とても印象的でした。

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