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「199×年 11月×日」

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※このスペースに書かれた内容は全てフィクションです。
また映像は本文とは直接関係ありません。




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今週も恙無く仕事は終わり、いつものように南伊豆。



ここ半年。 金曜の夜仕事が終われば逗子の会社の寮には帰らず、そのまま直接南伊豆へ向かうパターンである。心から、南と西の伊豆海(いずみ)を愛している(きゃ〜言っちゃった言っちゃった)。 仕事は俺にとってはそれ以上でもそれ以下でも無く、ただただ、プライベートな時間を充実して過ごすための資金稼ぎであるということに他ならない。 家族を持たず、自分にとって100%ピュアで完全なる時間を捻出しようという姿勢、これは高校時代の恋愛トラウマから来てるのかも知れない(ばははは)、けれども、そんなこともう今更どうでもいいや。 自分が幸せでなければ他人を幸せに出来る筈もないしと自己弁護しつつはや30代。 へっへっへ。

行軍の際は、自分は波乗りするのが主目的。 だからサーフボードを車に積むのは当然なのだが、そのほかにも第二第三の目的達成グッズも用意。 それは例えば「素潜りセット」「バーベキューセット」「カヤック」「サンドバッグ」「プラモデル(模型 がはは)などである。 自分の好きな漫画「浮波雲」や「二十手物語」なんかも数十冊積んではいるけど荒天時以外は結局読まないことが分かった。 何しろ、目の前に広がる砂浜と海岸が、最高だからねえ。




何しろ、景色が最高。




今週は、上に加えて自分の尊敬するK-1ファイター「アー○スト・ホースト」の教則ビデオを入手したからさらに御機嫌である。 ジムの会長ヨハン・○スお得意のパンチとキックの対角線攻撃パターンなんかをじっくり酒を飲みながら車中で検証する。 ああ考えただけでも、なんて至福の時なんだろうと思うわけで。 左のジャブ連打から左フック、そしてハイキック(なんてね〜)。 ちゃ〜んと、サンドバッグ(いや正確にはウォーターバッグか)も積んである。 ビデオ見たら蹴りたくなるのは当たり前だし、波がなきゃ明日は朝から浜で鍛錬じゃ、お〜!(ははは) 明日は野となれ山となれ。



逗子から3時間程して到着。 ここが自分の、第二のふるさと。



愛車「般若号」も外見はだいぶくたびれてきた。 逗子自宅の駐車場が海岸から数百メートルだからだろう、塩害で板金がボロボロだ。 プラスして例の「NOX規制」とやらが深刻な問題、来年はこの般若号もそれに該当し、車検を通すには「NOX」排ガス量を緩和する触媒(マフラー)をつけなければならないのだが、それがン百万円もするらしい。 金のない自分からしてみれば「なにそれ」って感じである。今や般若号の身の降りを考えてやらねばならない、多分いや、おそらく廃車だろう。 売った人も規制した人も俺から見れば自作自演の茶番にさえ見えてくる。 くっだらね〜!なんて。 誰か一握りの人間はこの状況笑ってるんでしょうけど、まあ、よい。世の中そんなもの、しかし最後はちゃんと、なるようになるもので、得た分以上に寂しい思いをするのが常。 ピュアな気持ちで、俺は死ぬまで背伸びすることなく生きましょう(と自分に)。  



満天の星空、南伊豆。



Y浜の素晴らし過ぎる夜空の眺め。 キラキラ輝く星屑はあたかも粉々になったパン屑、それをまぶしたように天上のドームは覆われている。 俺には天文学とかの学は無いけど毎週この凄すぎる夜空が見れるだけで幸せだなと〜と、見るたびに思う。 冬の夜空にただずむ30代の男ひとりは絵的にさえないが(ぎゃはは〜)この先何十年もこうしていたいと、心の底から思う。 まあまあ、とりあえずビールをグビグビ。うまいのう〜。



徒歩移動して隣のOヶ浜。 ここで焚き火をするのがいつもの締め。 



いつもの定位置に。 50センチほどの石がゴロゴロしているT岬への登り口から数十メートル離れたこの場所に、会社で廃材廃棄となった輸入品用梱包木材を細かく切断、その下にはネジリンボウ状態にした新聞紙を20本ほど敷いて着火。 傍には海水が満ちたバケツを用意して消火万全の体制、右手に持つウチワを鬼のように仰ぎ、火を際立たせ、十分に風と空気が注ぎ込まれて、ボウッと。 こうなったらシメタモノ、火力が弱まらぬよう木屑や新聞紙を満遍なく補充しながらも空気穴を塞がぬよう細心の注意。火力は安定、よし。 落ち着いて、ゆっくり酒を飲もう。 




クーラーボックスから、冷酒。 ヒンヤリ冷えたそれを、おもむろに紙コップへ。



グビリと、うまい。 焚き火は、焚き火をすると「愛おしい」気持ちになるとジョージ秋山先生の書かれた「浮浪雲」の中で、その主人公浮第浪雲は語る。 自分もそのような気持ちになりたい、しかし邪心のカタマリである自分には毎回それをパーフェクトに感じることは出来ない(勿論修行不足なのでしょう)、だが焚き火をするたび、何か神々しいというか、ニュートラルな気持ちにはなる。 パチパチ音をたてて燃える焚き木を観ながら酒を飲むだけで、心の底から安堵と充実感を得ることができる。 嗚呼、俺は生きていると、精神安定剤の役割。 心が洗われる、浄化される瞬間。 



さて、水平線に、大挙釣り船。



イカ釣り漁船だかなんだか知らん。 右にいったり、左に行ったりせわしない。 だがこうこうと輝く灯火が水面に映ってえらく綺麗だ。 そんなふうに見えるのは酔っ払っているからもあるのでしょう。 ほう、ジリジリと焼け音をたていいニオイのハマグリちゃん。 醤油を上からちょっと垂らしてジュッ。 フーフーしながらパクッ。おいちい〜〜。 明日は低気圧が二個玉、下から来るらしい。 波も上がるだろう。




明日と、明後日は。




波のことだけしか考えないで生きようっと(は〜しあわせ〜)。




(おしまい)

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