ポケットにミステリを

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静かな炎天

若竹七海氏の葉村晶シリーズ。文春文庫の作品では第4弾なのかなあ(『プレゼント』は中公だったり、光文社の短編集にバラで入ってたりする)。

暴走トラックによる多重事故現場に居合わせた晶は、後日目撃証言を求められた。巻き込まれて死亡した小型車のドライバーの持ち物が行方不明だという。現場でそれらしきバッグを持ち去った人物を見たのを思い出した晶に、遺族は捜索を依頼する。(「青い影」)

誰がどう見てもイヤな人間が出て来る“イヤミス”は“イヤ〜な感じ”はするけれど通り越していっそ可笑しくなってしまう。だけれど若竹氏の作品にある怖さは、ごくごく普通の、特別悪気のない人物の振る舞いが晶に災難となって降りかかってくるところにある。事件を直接構成する人物が我が身可愛さに隠し事をしたり、他人を出し抜いたりというところではもちろん、それ以外の人物がちょっとしたワガママを押し付けることによって次々とさんざんな目に遭う晶の運の悪さは、年をとるにしたがってよりワラエナイ域へとエスカレートしていく。

全体に面白かったところあえてイチオシ訊かれたら『副島さんは言っている』か表題作。

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ささやく真実

ヘレン・マクロイのウィリング博士もの。巻末のリストに依ればシリーズ第3弾だそう。原題“The Deadly Truth”、発表は1941年。

型破りで豪華な暮らしぶりでパリの社交界を賑わせた実業家の未亡人・クローディアが戦禍を避けて3番目の夫と共にニューヨーク郊外へやってきた。彼女は自分に気のある化学者から研究中の自白剤を盗み、自宅のパーティ客に飲ませて混乱を引き起こす。それが文字通り自らの首を絞めることになるとも気づかずに。

文学的表現かと思いきやそれがガチな手がかりだったりして“華麗なる本格”というキャッチコピーが浮かぶ。手がかりの提示はフェアだし、論理がすんなり納得いくしで読後感◎。

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さよならの手口

2014年には出ていたそうです。その時点で13年ぶりの登場だったらしい、若竹七海氏の葉村探偵もの文庫書き下ろし長編作品。

探偵稼業を休業しミステリ専門古書店に勤めた晶は遺品整理の依頼で出向いた先で建物損壊の事故に遭い、しかも大量のカビでアレルギー性肺炎を起こし入院を余儀なくされた。めでたく退院した日、同室だった元女優・吹雪に失踪した娘の捜索を依頼される。

晶さん満身創痍。若いときはともかく、四十路を過ぎてこれでは治りも遅かろう。捜査の目の付け所や発想は良いがこうして怪我が続くなどしてハッピーエンドに届きにくいのは、やはり人間性になんらかの問題があるのだろうか?

謎の本筋に至るまでのくだくだしくさえ思えるエピソードの連続が本題の謎を解くためのヒント、というのは当然わきまえるとして、数本の謎物語をわざと絡め合って本筋がどれかわかりにくくするやり口がちょっと京極風というか。最後の最後まで読み切るとすべての謎が解明されることになるあたり、さすが謎の残存を許さない若竹氏らしい律儀さ。

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裁く目

久しぶりに我孫子武丸さんの作品が目にとまったのは、お友だちの記事で『.jp』を読んだのが記憶に新しかったからかもしれない。人間の脳は意識化でいろんなものを記憶しているそうだ。

好きな漫画を何度も読み返し、模写して遊ぶ子供だった。元々観察力があるところに美大で確かな画力を身につけた。それでも漫画家になるには足りないものが鉄雄にはあったのだろう。三十過ぎてもくすぶる鉄雄に法廷画家の仕事が舞い込んだ。彼の絵がテレビに映し出されたその日、鉄雄は自宅前で何者かに襲われる。犯人の目的は…?

謎解き物語ではない。「犯人は誰か?」の問いに論理的推理抜きで答える方法を提示した作品と言えよう。鉄雄が襲われるための必要条件が都合よく片付けられているとか、明らかに殺され損でしかない登場人物とか不満が残らないではないけれど、アイディアの面白さは買う。

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宰領 隠蔽捜査5

今野敏氏の警視正・竜崎シリーズ。

有力な与党議員・牛丸が地元から都内へ戻る途上で姿を消した。当初は牛丸の勝手な行動と思われたが、大森署管内で乗り捨てられた車から運転手の遺体が見つかり、警視庁に誘拐を告げる電話が入る。

恥ずかしながらタイトルの単語を知らなかった。警察の無線は“宰領無線”というシステムで中央の警視庁が各所轄からの情報を集約しまた所轄を采配する。そんな具合に、竜崎が実質的な司令塔となって子飼いの所轄捜査員と警視庁からやってきた組と事件の進行により合同捜査することになった神奈川県警をまとめて仕切る様子をこの言葉で象徴させているらしい。

なかなか意味のわからない中途半端な事件を机上の空論として解くならば読み手にはちらほら思い浮かぶ無茶な可能性というものがあり、それを実際話のなかで誰かがポロッと示唆しては「イヤイヤまさかねw」と却下されたりする。そんなところでは既刊作品中あまり好意的に見られて来なかったキャラも捨てたもんじゃない働きをしたりするからまた面白い。竜崎がみんなに認められてきたからそうなるとしたら、そろそろ「変人」の突破力・破壊力が薄れてしまわないかしら。

事件の進行と同時に竜崎の家族に様々な危機が訪れるのもこのシリーズの魅力と言われているのだけれども、そっちについては今回がいちばんどーでも良いというか。息子の非行、妻の病気、娘の結婚ときて今回息子の受験というのは、そんなん親はなんもしようがないじゃんね。

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